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志望理由は『ただ…逢いたくて…』



僕には大好きな彼女がいる。

彼女の名前は掛橋沙耶香


高校3年の時に、
彼女から告白されて僕らは付き合い始めた。


沙耶香との毎日は楽しくて…
僕らは毎日そしてあちこち出掛けるようになった



沙耶香:〇〇これとってー!

〇〇:うん、頑張ってみるっ

沙耶香:がんばれー!

うぃーん…ぼとんっ

〇〇:やった!

沙耶香:わーい!〇〇ありがとうー!


2人でゲームセンター行ったりっ!



沙耶香:〇〇どう、似合うかな…///

〇〇:うん、すごく似合ってる

沙耶香:えへへ、ありがと〜


2人でオシャレなところ行ったり…


沙耶香:〇〇っ!!

〇〇:ん?え、その格好!!

沙耶香:逮捕しちゃうぞっ♪♪

〇〇:くっ(鼻血たらぁ〜)


コスプレデートしたり…


〇〇:沙耶香かわいいねっ///

沙耶香:えへへっ///

〇〇:写真撮っていい?

沙耶香:いいよ、クマさんも一緒ね〜


沙耶香との毎日は楽しかったっ



そんな僕らが有頂天だったころのこと
季節は確か…夏の終わりごろだったと思う…


沙耶香:ねぇ、〇〇…花火見たい…

〇〇:花火!いいねっ、見に行こう!

沙耶香:うん…


今思うとその時の沙耶香は元気がなくて、
でも浮かれていた僕はそんなことに気づかなくて…

僕ら2人は隣の町の打ち上げ花火を見にきた



背伸びをして浴衣を着て…

いつも通りに手を繋いで…


夜の花火までは、
僕らは縁日を楽しんだ!


沙耶香が好きなクレープをたべている

〇〇:沙耶香…笑

沙耶香:なあに?(モグモグ)

〇〇:ほっぺにクリームついてるよっ笑

沙耶香:んっ〜、とってー


〇〇:はいはい。笑

頬を僕に差し出す沙耶香
最初こそは照れていたけど、慣れた手つきで僕はクリームをとる

こんな楽しい毎日がこれからも続くと思っていた






〇〇…私たち別れよっか…



唐突な彼女のひと言を…僕は静かに聞いていた

いやあの時の僕がただ何も言えなかったんだ


ピュ〜〜〜 ドーーーン

打ち上げ花火の音だけが虚しく響く



沙耶香:ごめんなさい…


何も言えない僕に、
涙を流しながら彼女はいなくなった


ドーン



ドーン



その次の日、
沙耶香は転校して学校からもいなくいった



あぁ、だからか…
だから別れたんだ…

そんなことを自分に言い続け、なんとか自分が生きる意味を毎日、正当化していった





〜〜




あやめ:〇〇〜。

〇〇:んっ、あやめ、どした?


あやめ:ここ分からないから教えて〜

〇〇:あー、いいよ


あの花火から4年が経ち、大学4年生になった
沙耶香を忘れるために僕は勉強に没頭。

気づけば筑波大学に進学し、
そこでも俺は勉強に没頭していた



〇〇:うん、これで出来たでしょ

あやめ:なるほどね…ありがと

〇〇:いえいえ。

あやめ:本当に頭いいね

〇〇:これはただの記憶力なところもあるよ

あやめ:まぁそうかもしれないけど…ねぇ

〇〇:うん?

あやめ:就活してるの?

〇〇:うん、まぁボチボチ、

あやめ:希望あるの?

〇〇:正直、あんまない

あやめ:まぁ〇〇ならどこでもいけそうだけど…

〇〇:それは流石に無理だよっ笑

あやめ:そんなことないと思うけど……ねぇ

〇〇:うん?今度は何?

あやめ:今日の夜、飲み行かない?

〇〇:うーん…やめとく

あやめ:わかった。

〇〇:毎回誘ってくれるのにごめんな

あやめ:ううん、慣れた…私じゃ勝てないんだって

〇〇:え?

あやめ:〇〇が失恋した人に、、、

〇〇: ……

あやめ:その人はどこに転校したの

〇〇:たぶん、実家だから岡山…

あやめ:いけば?

〇〇:え?

あやめ:行ってみたらいいじゃん

〇〇:いや、でも…それって気持ち悪くない?

あやめ:うん、気持ち悪いと思う

〇〇:じゃあ無しだよ

あやめ:忘れているならね。

〇〇:え?

あやめ:もし、その人が今でも〇〇を好きなら嬉しいと思うよ

〇〇: ……

あやめ:あとは〇〇の勇気と決断と気持ちでしょ

〇〇:勇気と決断…気持ち…

あやめ:うん、自分に嘘つかない

〇〇:うん…ありがとう、あやめ

あやめ:今フラれた私に気を使わせないでよ…(ボソッ




家に帰宅…リュックを投げ捨て

ベッドにダイブ…そして天井を見上げる




えへへ、〇〇のトレーナー着ちゃった///





ねぇ…今のキス…私、初めてだったんだよ…






〇〇…これからもずっーと一緒だよっ!





〇〇:沙耶香…





プルルルッ プルルルッ

ガチャ


〇〇:あの〜もしもし、、


いてもたってもいられず、
僕はとある所へ電話をしていた






〜〜




〜山陽新聞本社〜


面接官(以下面):え〜それでは、弊社を選んだ理由、希望する理由などを教えていただけますか?

〇〇:はいっ。



僕は岡山県まで向かい山陽新聞の面接を受けた
※山陽新聞…岡山県に本社を置く新聞会社


〇〇:私が御社を志望した理由は〜〜〜


元々考えてきていた志望理由を語る。
ウンウンと頷く面接官、掴みはバッチリだった


面接官:最後に1つ聞いてもいいかな?

〇〇:はい、お願い致します。

面接官:〇〇くんは岡山県出身ではなく都内出身だよね

〇〇:はい。

面接官:なぜ岡山に…そして山陽新聞社を選んだんだい?

〇〇:それはですね、、、

面接官:うん


これも想定していた質問
別に問題ない、考えてきたことを伝えれるだけ


だけど…



〇〇:自分に嘘をつかない…か…


面接官:ん?


〇〇: ……申し訳ありませんっ!!!!


面接官:え?どうしたんだい?

〇〇:嘘をついておりました。あの改めて志望理由をもう一度言わせてもらえないでしょうか?!!

面接官:あぁ、いいけど…

〇〇:はい、ありがとうございます。




〇〇:私の本当の志望理由は、



ただ…逢いたくて…





そこからの面接は謝ってばかりだった
ポカンとしていた面接官の人に事情を話すと、



面接官:あっはっははははwww



声を荒げて笑われた
それがまた恥ずかしさをより一層引き立て僕の顔は真っ赤になっていた




面接官:うん、面接は以上です。

〇〇:あの、すみませんでした。

面接官:こんなに楽しかった面接は初めてだよw

〇〇:はい…あ、いや、すみません。

面接官:合否は改めて連絡します。






〜〜





1ヶ月後
僕は岡山のアパレル会社で働く彼女に会いに行った



沙耶香:ご来店ありがとうございま…

〇〇:久しぶり。

沙耶香:〇〇くんっ…

5年ぶりの彼女は僕の知ってる記憶と違ってとても魅力的な女性になっていた

〇〇:いきなりごめんね…

沙耶香:ううん…

〇〇: ……

沙耶香:あと少しで休憩だから待っててくれる?

〇〇:わかった


15分ほど待って沙耶香と近くの喫茶店に入る

沙耶香:そっか、〇〇くん大学4年で就活中なんだ

〇〇:うん、そうなんだ。沙耶香は?

沙耶香:私は大学には行かずに高校卒業して、そこからずっとあそこで働いているの…

〇〇:そうだったんだね

沙耶香:〇〇くんは就職したいとことかあるの?

〇〇:あー、一応…1社から合格もらってる

沙耶香:どこ?あーでも私じゃ分からないかな…

〇〇:わかるよ。だって…山陽新聞社だからっ

沙耶香:え…なんで…

〇〇:まぁまだ仮だけど…

沙耶香:仮…?

〇〇:条件だされたんだ…

沙耶香:なにそれ 笑  どんな条件?


〇〇:志望理由が"これからも"叶うならいいよって


沙耶香:志望理由がこれからも?


〇〇:僕の志望理由、掛橋沙耶香に逢いたいなんだ

沙耶香:えっ…///


〇〇:あのさ、沙耶香…
もし今、相手がいなくてそして、こんな僕でも良かったらもう1度やり直さない?


沙耶香:ほんとに言ってるの…?


〇〇:うん


沙耶香:私、〇〇くんのことフったのに…


〇〇:本気でそうなら諦める


沙耶香: …諦めないでください


〇〇:えっ…


沙耶香:やり直したい… 一緒に…


〇〇:うん、沙耶香っ!


沙耶香:な、なに?


〇〇:僕、沙耶香のことずっと好きだからっ


沙耶香:〇〇…ありがとう…







僕はこうして山陽新聞社に就職が決まった





月日は流れ…




沙耶香:〇〇…緊張してるの?

〇〇:そ、そりゃあそうだよ…

沙耶香:大丈夫。いつも通りにして

〇〇:う、うん。

沙耶香:ふふ…もっと緊張させちゃおうっと…笑

〇〇:や、やめてよ笑

沙耶香:〇〇…

〇〇:うん、な、なに?

沙耶香:あの時の返事いましてもいい?

〇〇:あの時の…

沙耶香:うん、私ね…





〇〇のことずっとずっとだいすきっ





終わり。

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