アンブシュアという処方箋-その2 舌づかいの妙。
トランペットを鳴らすためには、アンブシュアがとても大事だと一つ前の記事で書いた。私自身も、昔吹いてたときのアンブシュアは圧倒的に間違っていたと思い、正しい方法でやり直さねば、と思っています。だけど、どう変えればいいの?
大阪でプロとして活躍されている学生時代からのK大先輩に尋ねると、その人自身も何度もアンブシュアを変え、それは今でも試行錯誤し続けているという旨のことを言われた。また、ネット上のある若いプロトランペッターは、アンブシュアは変えるというよりも進化していくんだ、というようなことを言ってて、なるほどね、と思った。
私も、昔とアンブシュアを変えたつもりなんだけど、実はそれほど変わっていないんじゃないか?って気もする。ただ、さほどプレスしないようになった、下唇を巻き込むみたいなこともしないなど、変化〜進化はある。
ネットで調べたり、実際にプロの指導を仰いだりしている中で、ハイノートのためのスーパーチョップスと呼ばれる奏法を知った。これはトランペットの楽器も提供していたジェローム・カレというアメリカのトランペッターが提唱した奏法。実は詳細はわかっていないんだけれども、この奏法について概ねわかったことは、
①マウスピースを上方から持ってきて、上唇を支点に充てる。
②ハイノートは、フリーにしている下顎を上唇に向けてグーっと持ち上げていく。
こんな感じ。でも、なんだかなー。
このスーパーチョップス奏法の認定証を持っていると言うトランペット講師のT師匠にも手ほどきを得ようとしたけれど、先生は、急高配な崖のぼるよりも、緩やかな坂を登るように少しずつ練習を重ねていくことだ、と言って詳しくは教えてくれなかった。多分、スーパーチョップスっていうのは、故ジェローム・カレ氏だけができるというか、真似のできない彼独自のやり方なんだろうと思う。
もうひとつ、東京の若いプロのH氏がトランペット教室で提唱しているハイノート発声法がある。前の記事に書いた、息の出口に関する方法だ。ホースの水を遠くに飛ばすために、水の出口をキュッと細くするように、唇の息の出口を細くする。そのとき舌を使うんだって。
やってみたら、確かに。舌を下歯の裏に充てて、息の出口を狭めると、あら不思議。上のF音が軽く出た。ただし、普段の練習で鳴らしていかないと、やりにくい。タンギングにも工夫が必要だし。
この方法、本当にいいのかな?未だに半信半疑で、結局この先生にも師事することはしなかった。
しかし、アパチュアをコントロールする手立てとして、舌は重要なんだとわかったし、歯の裏に充てるというよりも、舌の位置によって口腔内の容量が変わるという大事なことを知った。これは、とても大事なことのようです。