西野さん退社報道で考える「タレントと芸能事務所の関係と西野さんの場合」
西野亮廣さんの吉本興業退社が大きな話題となりました。関係ある人、無い人が口々に「あーだこーだ」言っているのを見て、私も「あーだこーだ」言いたくなっちゃいました。ちなみに私は西野さん退社に全く関係の無い、ネットウォッチに勤しむただの凡人です。
とはいえ、タレントさんの近くで仕事をする事もあり、それなりにこの業界の仕組みを知っているので、私の知っている事を話したいと思います。
まず「吉本興業を退社」という言葉に違和感を感じたのですが、多くのタレントは芸能事務所の社員ではありません。芸能事務所に「所属」「在籍」という言い方はしますが、「社員として芸能事務所に雇われている」という立場では無く、「個人事業主が、自身のマネージメントや様々な権利を芸能事務所に預けている」というのが多くの芸能人の労働形態かと思います。(中には雇用関係を結んでいるタレントさんもいるかとは思いますが。)
吉本興業は闇営業問題の時に、自社とタレントの関係性をハッキリさせるため、「専属マネジメント契約」「専属エージェント契約」の二つの契約形式をタレントに選ばせるという発表をしました。
https://www.oricon.co.jp/news/2141954/full/
この契約形式は何も新しい事ではなく、業界内はこれまでもずっとこういった契約でタレントと仕事をしています。何故、これが大きな話題になったかというと、それをきちんと書面化したからです。この時、各芸能事務所のタレントさんが口々に言っていましたが、契約書なんて書いたことも見た事も無いと。これまでは契約書なんて作成せず、口頭とお互いの認識だけで、タレントと芸能事務所は二人三脚でずっと仕事をしていたのです。それをきちんと書面化して、お互いの仕事の領分をハッキリさせた、という事が、画期的であり、吉本興業はちゃんとした会社…、グローバルスタンダードに一歩近づいた…というところでしょうか。
※ただし、吉本興業の言う「専属エージェント契約」は、売れているタレントさんにとってはありがたい話の様に見えて、タレントさん側にメリットはほぼ無いのでは…と思っています。それはまた別の機会にお話します。
しかし、今回の西野さんのLINE暴露からの吉本退社騒動、その後の西野さんの言い分を聞いていると、どうも西野さん自身がその契約の意味を理解していなかったのでは無いか…え?あれだけ「ビジネス!新しいビジネス!」と言ってる割りに、ものすごい簡単なビジネスの仕組みを、この人は理解していないのでは…と思えてしまうのです。
そして、今回の騒動で西野さんが吉本との契約が終わった事で「あちゃ~」と思うポイントがあるとすれば、それは「映画えんとつの町プペル」に係るお金の回り方ではないでしょうか?
これは決してタレントさんを馬鹿にするわけではないのですが、多くのタレントさんは、社会性が非常に乏しいです。せっかく何か素晴らしい芸を持っていても、お金の知識や社会の仕組みを知らない。そんな事でその素晴らしい芸が埋もれてしまうのはもったいない。だからこそ、その部分をサポートしてあげるのが芸能事務所なのです。そして、やっぱり人間ですから、売れる、売れない、だけの基準だけではなく、その芸に惚れ込みサポートしてあげたい!という気持ちがないと、芸能事務所なんかやってられません。
西野さんは、何かと全てを知っているような口ぶりで若者たちに世の中変えようぜと扇動しているようですが、本当は社会の仕組みなんて全然分かっていないのでは?分かってないのに偉そうにぶってるから叩かれる。そして、本当に西野さんに近い人達はそこまで熱くならない。だって、言っている事、やっている事があまりにも青臭く、対等に相手をするのも馬鹿らしい。まともに社会で仕事している人なら、彼の行っている事は大きなビジネスに繋がらない事も分かっているから。
もし、西野さんが本当に大きなビジネスをしたい、世の中を変えたい!と本気で思っていたのなら、吉本興業と契約が切れてしまったのは大きな痛手です。吉本興業は芸能事務所の中でも、あの闇営業を機にグローバルスタンダードな方向へ真っ先に舵を切り(実際はもっと前から舵を切って芸能事務所におさまらない仕事をしているのですが)、業界を牽引する立場になっていたのですから、そこと二人三脚でいくのが一番手っ取り早い。西野さんの好きそうな「合理的」でありながら「義理人情」も大切に出来る相手として、彼にとっては吉本興業が最適なパートナーであったのではと思います。
…とはいえ、上記の事は全て私の憶測です。実際にどんな契約を結んでたのかは本人と事務所しか知り得ないし、おそらく秘密保持の条項もあるでしょうから、どんな契約の内容だったかは私達が知る事はこの先も無いでしょう。
憶測の域を出ませんが、次回は「映画えんとつ町のプペル」の著作権はどうなっているのかという視点から、やっぱり西野さんの吉本退社はもったいない…というお話を書きたいと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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