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声出し解禁したっていうのにきみはもういなくなっちゃうんだね

中野サンプラザが閉館すると噂を聞いたのは何年前だっただろうか。今回が最後のライブになるかなと思いながら10回以上は通った気がする。

私が最初に中野サンプラザは訪れたのはたぶん、リリィ・シュシュのライブだったと思う。昨年の年末、当時のライブ映像が1日限定で公開されていたのを見てそのことを思い出した。

このライブが2010年。そのころは社会人4年目で新中野に勤務していたのだが、ライブに行きたいがためにほとんど使ったことがない有給をとって、ちょっとしたうしろめたさとワクワク感を感じながら会場に向かったのを覚えている。高校の頃大好きだった映画『リリィ・シュシュのすべて』に出てくる架空の歌手が自分の目の前に現れるなんて、もうどういう次元なんだろう、なんてことを思いながら。

だいぶ時間があいてしまうが、次に中野サンプラザに行ったのは、どうやら2015年の4月らしい。これは大森靖子ちゃんのツアーだった。たぶんこれが初めて大森さんのライブに行った日だったと思う。

記事の中で大森さんが語っている通り、このころにはもう中野サンプラザ解体の話題が出ているようだ。
この日のライブの終盤に客席で「音楽を捨てよ、そして音楽へ」を歌った大森さんが衝撃過ぎて、こんなライブ初めてだ、と思って気づいたら8年追いかけているし、いまだにこんなライブ初めてだと思う瞬間がたくさんあるので、やっぱり大森さんのライブには通い続けたい。アンコールでこの次のシングル曲となる「マジックミラー」を歌ってくれて、そのときはマジックミラー号のAVを販売している会社にいたので、「うおおお私信だ!」とオタクっぽいことを思った。

その次に中野サンプラザに行ったのは、たぶん2015年か2016年、岡村靖幸ライブツアーのどれか…。岡村ちゃんのライブでは何回か来ているので、ちょっと記憶があいまいだ。ただ、ぎりぎりになってチケットを取ったら2階席でだいぶ見づらかったので、モバイル会員になったきっかけが中野だったはず。
そのくらいの時期にはもう中野サンプラザの解体はほぼ確定と言われていたので、好きなアーティストの公演があるときはなるべく見に行くようにしていた。

コロナ禍で、ライブが次々に中止・延期されていく中、1年越しで行けたのも岡村ちゃんの中野サンプラザ公演だった。2021年3月30日。自分の誕生日だったのでよく覚えている。久々にライブを行うにあたって、客席は1席あけ、声出しはもちろん禁止。ライブが始まって久々の爆音と照明と生の岡村ちゃんに胸が熱くなったものの、静かな客席に少し盛り上がり切れない自分がいた。

ただその後客席の規制はかなり柔軟に対応されていたような印象があって、2021年12月ZOCちゃんのライブを見に行ったときはもう客席をあける措置は取られていなくて、声は出せないものの人が多くて熱気を感じた。

私がその次に中野サンプラザに来たのは、2022年の11月。
もう後にも先にもこんなことは確実にない。出演者側で中野サンプラザを訪れた。いぎなり東北産というアイドルのライブの1曲で、サンバダンサーとして出演したのだ。

偶然この話をいただいて出ることになったのだが、こんなご褒美仕事はなかなかない。ダンス頑張ってきてよかったと思った。普通の会社員が中野サンプラザのステージに立てることなんてないし、自分が愛してやまないアーティストが見ている景色をこの目で見ることができて、一生忘れられない経験になった。

2023年最初のライブもやっぱり中野サンプラザだった。今回も岡村ちゃん。今回のツアー「アパシー」は昨年末から始まっていて、1月30・31日で終了。この二日間だけ声出しが解禁になった。
声を出せないライブにも慣れてきたし、もともと岡村ちゃんのライブは踊りまくるファンが多いので、声出しがOKだろうとそうじゃなかろうと楽しい。ただ声出し解禁でこの日は全員で歌ってみたり、リズムの難しすぎるコール&レスポンスをしてみたり、私たちの黄色い声援で岡村ちゃんが調子乗ったパフォーマンスをしてくれたり。私たちもライブの演出の一端を担っていたんだ。これまで、そんなこと気付かなかったよ。

この公演で岡村靖幸の中野サンプラザ公演はすべて終了。きっと私の中野サンプラザ行きもすべて終了。ライブにはまた行くけど、同じ景色は二度と見られない。

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