超回復インドカレー
私は社会人になってからインドカレーが好きになった。
元々、カレーがそんなに得意ではなかったのだ。
きっかけは、新卒で勤めた会社の近くに美味しいと有名なインドカレー屋さんがあり、同期と行くようになった、というものだった。
当時は営業職で、内勤の日は同期とランチ、外勤の日は仕事先の近くでひとりランチ、ということが多かった。
インドカレーの美味しさを知った私は、外回りのランチでもインドカレー屋さんに行くことが増えた。
その中でも、取引先近くにあるインドカレー屋さんは特にお気に入りだった。
外からガラス越しにナンを作る様子が見えるのだが、目が合うと店員さんがいつもニコッと笑ってくれる。
注文すると、
「オッケー、アリガトネ!」
食べていると、
「カラクナイ?ダイジョウブ?」
「ナン、オカワリ、イル?」
お会計が終わると、
「アリガト、マタキテネ!」
ニコっと笑顔で声をかけてくれる。
営業のお仕事をしていた時は、性に合っていないこともあり、精神的に落ち込むことが多かった。
そのインドカレー屋さんは、私が仕事で落ち込んだ時も、笑顔で迎えてくれて美味しいカレーを提供してくれたのだ。
救われることばかりだった。
そんな中、心身ともに限界が来てしまって、会社を早退させてもらったことが一度あった。
会社では人にとても恵まれていたので、
「とりあえず今日は美味しいもの食べて帰りな!」
と言ってくださった。
私は真っ先にインドカレーを思いついた。
食欲は無かったが、インドカレーなら食べられる。
そんな気がしたのだ。
お気に入りのインドカレー屋さんは遠すぎるため、家の近くにあるインドカレー屋さんに入ってみることにした。
その日は暴風と豪雨だったことを今でもよく覚えている。
そんな天候の中、目を真っ赤に腫らした客が入ってきたのだから、店員さんもさぞひっくりしたことだろう。
詳しい会話の内容や何を食べたか、正直覚えていないのだが、とても美味しかったこと、笑顔で気持ちよく接客してくださったことは、覚えている。
それからおかげさまで元気になり、転職して引っ越しもしたが、今でもインドカレーは大好きで様々なお店に食べに行く。
当時とは違うお店でも、インドカレーというもの自体が、私の心と身体をぽかぽかにしてくれるのだ。
当時お世話になっていたお店を調べると、今でも営業している様だった。
せっかく東京に引っ越してきたのだ。
今度行ってみようと思う。