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アニメーターの仕事のイメージの話

アニメーターのやまだももこです。
昨今はアニメ自体がカジュアルな存在になってきているので色々なアニメの違いがわかる人も多いと思います。

昔は、アニメの仕事をしますと言ったら、「いつか本が出たら買うよ!」と言われて、アニメと漫画を区別せず同じものだと思っていたり、漫画家さんがアニメも一人で作っていると思われていたり…となかなかの認知度の低さだった経験があります。
あと、アニメを認識しているけれどよく知らないひとからは、ジブリを作るんだね!すごいね!と言われたり。
今はそういった認識の人も減っているとはいえ、興味がない層にはそんな違いは些細なことなのかもしれませんね。

「今はコンピュータが全部やってくれるんでしょ?」みたいなこともよく言われます。
そう思っている人に、作画のアニメは何千枚も一枚一枚手で絵を描いていますよ。紙と鉛筆で描いて動かしているところもまだまだ沢山ありますよ。という話をすると驚かれます。

今どき紙と鉛筆を使って仕事をしている職業がどれほどあるのでしょうか。
アニメ業界も今はデジタル化への過渡期ですが、様々な事情があり、完全なデジタル化になるのはもう少し時間がかかるだろうなと思っています。
私はもう紙と鉛筆で作業する環境を無くしてしまったので、よっぽどのことがない限り作画の仕事をするにしてもデジタルでの作業になると思います。
それでもやっぱり、紙と鉛筆で描くことの快感は忘れられないし、忘れたくないものです。

世界を見てみても、紙と鉛筆を商業アニメーションの制作に使っているのは日本だけだという話もあります。
いつか、一周回って、そのアナログな技術に価値が出る日がくるかもしれませんね。

日本で最も主流な作画のアニメの場合、デジタル化すると言っても、紙がタブレットに置き換わるだけで一枚一枚絵を描くことに代わりはありません。

私はカットアウトのアニメをメインにしているのですが、作画のアニメと3Dのアニメと、カットアウトのアニメを見て違いがわかる人は、アニメという文化にそもそも興味がある一部の人たちだけなのも理解しています。

私がやっているカットアウトのアニメがそもそもどんなものかというと、切り絵アニメをデジタル化しました、というのが一番簡単な説明になります。

パーツ分けしたレイヤーにボーンを入れて、ボーンの動きと、パーツごとの形を調整することでキャラクターを動かしています。
作画のアニメには、仕上げと言って、線をキレイに補正したり色を一枚ずつ塗ったりする作業がありますが、カットアウトは、パーツごとのパス情報に色の情報もすでについているので色を塗る作業はありません。
キーになる絵と絵の間をなめらかに繋げる、中割りという作業も、自動で行うので、正しく中割りされているか確認し調整するという最低限の作業になります。
アニメの知識がないひとに、コンピュータがちゃちゃっとやってくれるんでしょ?と言われると、まあ…そう言われてみればそうかもしれない…と思ってしまいます。

このカットアウトという手法、わたしはやりたくてやっているのですが、アニメを作る工程の中の絵を描く工程が好きな人には物足りなく感じるかもしれません。

それでもいつか、アニメを作る時の選択肢として、もう少しカットアウトが気軽に選ばれる未来を期待しています。

だって楽しいもん。

やまだももこ

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