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10,000時間描くと、本当に絵はうまくなるのか

アニメーターのやまだももこです。

よく言われる10000時間の話。本当なのかな…?と思い自分に当てはめて考えてみました。

10000時間っていうと具体的に何年のことでしょうか。一日8時間の作業を平日5日間続けたとして、1年間約250日とします。そのペースだと一年で2000時間となります。
ということは、約5年。

アニメーターになってからは1.2年の動画期間の後第二原画、原画、とよくある流れで仕事をさせてもらいました。

その期間当然少しずつは上手くなっていたのでしょうが、自分で前よりは上手く描けるようになってきたと感じたのは、作監をやるようになった頃でした。

それまでも、それなりに必死にやってきたつもりだったのですが、上手く描けないことで苦しい…悔しい…と思ったのは原画になってからで、まだ描けないので作監はやりたくないですやりません。と言ってなかなか作監をやりますとは言い出せませんでした。

では、10000時間の話なのですが、作監をやり始めてなんとなく上達を感じられるようになってきた時から5年遡ると、確かにその苦しんだ原画期間が当てはまる気がします。

アニメーターの職種的に、動画、第二原画に画力は必要ですが、1から試行錯誤して描くという工程はほぼありません。
その期間に身につく技術は当然あるのですが、私の実感としてそこで身につけた技術だけではレイアウト原画が描けるようにはならず、上達を感じられませんでした。

ということで、私なりに結論づけると、10000時間にカウントできるのは、悩んで苦しんで試行錯誤して、それでも描き続けた5年間となります。

上手く描けなくて、描くのをやめてしまうのも、描いたものを誰にも見せずに封印してしまうのも簡単です。でも仕事として受けた以上、どんなに描けなくて苦しくても期限内に描いて提出しないといけないという状況は、ストレスも大きいですが成長も大きいのだと思います。

きっと、ストレスで潰れないくらいにうまく自分を追い込めるといいんでしょうね。

あの人めちゃくちゃ上達早いのなんで?って人がいたら、そうゆう人はそもそも一日の絵を描く時間が長かったりするものです。

わたしは比較的めぐまれた環境でのんびりやらせてもらえて、アニメの仕事以外のことも時々やらせてもらったりしていたのですが、それはそれで良い経験になっていて今にもつながっています。

そんな寄り道をした分のんびりのんびり成長して今に至るのですが、特に後悔しているわけじゃないけど、もっと早い段階でがむしゃらに全力で取り組めたら今頃どうなっていたかなー。という妄想は時々します。

そして上達というのはどうやら階段状であるというのもよく聞く話で、私自身も実感があります。

ある日気づきを得て、「あ、急に描けるようになった!」となる時の満たされる感じは嬉しいものなので、今後も色々なことに真剣に取り組みたいものですね。


まあ、これって別に絵に限った話じゃないですよね!

やまだももこ

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