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アニメーターの観察する話2
アニメーターのやまだももこです。
昨日の観察する話のなんとなく続きです。
昨日は、主にキャラクターを描く時の話でした。
アニメーターはキャラクターだけ描くわけではありません。また、一枚の絵を描くだけでは仕事になりません。
キャラクターではない部分の話で言うと、レイアウトという作業工程では背景原図というものを描きます。美術設定にあわせて、キャラクターに合うように背景のアタリを描く作業です。
背景を描く時にも、また資料を探す作業が必要になります。美術設定が出ないシーンもあるので、普段の自分の身の回りのものを観察したり、また検索したり。
ドアや窓のサイズは、人間に対してどれくらいの高さなのか。電車はどれくらいの広さなのか。6畳の部屋にシングルベッドを置いたらどんな見え方になるのか。
キャラとの対比も合わせながら、映像の中の1カットとして、どうしたら成立するのか、そんなことを考えながら描きます。
動かすものでキャラクターではないものの一つとして、エフェクトもあります。
炎や水が動いているのをただぼーっと見ているのが私は大好きです。
1秒24コマのなかで、どんな絵を、何枚の絵を入れたらいいかな…と無意識に考えていたりもします。
炎や水や雷や爆発など、戦いや魔法が出てくる作品では定番のエフェクトです。
インターネットがない時代は、今ほど気軽に資料を探せなかったので、たくさんスクラップブックを作っていたということで、見せてもらったこともあります。
雑誌の切り抜きや、旅行のパンフレット、なんでも使えそうなものは切り抜いて貼ってありました。
それはそれは膨大な量で、執念を感じます。
そして、キャラクターもエフェクトも、動かせなければアニメにはなりません。
自然の物理法則を観察し、お芝居を観察し、描き起こすことができないと成立しないのです。
その動きは、何秒何コマで動くのかも観察する必要があります。落ち込んだ人の歩きはどんなリズムで、焦った人の走りはどんなリズムなのか。
アニメーターは、洗練された絵と、空間と、時間と、お芝居を巧みに操る、果てしなく高度で楽しいお仕事だと思います。
考えることは無限にあり、どんなに頑張ってもまだまだできないことがあります。
どこまでいっても、できるようになりたいと思うことが湧いてきて、それはきっと自分の伸び代であり可能性なのだろうと思います。
自分はこれが苦手でこれができるようになりたい…!!ということを発見するたびに、可能性を感じてワクワクします。
やまだももこ