私たちはまだ恋をする準備が出来ていない #13 Satomi side
アラサー・アラフォーが恋をしたくなる小説。
あらすじ:さとみ32歳、琉生25歳。内緒で社内恋愛中。初めて二人で過ごしたクリスマスが終わり、あとは年末年始の休みを待つだけ。
※毎回1話完結なのでどこからでもお楽しみいただけます
週末が明けて月曜日。
うちの会社は、今日で仕事納めだ。
クリスマスに琉生がくれたリングは右手の薬指につけてみた。
もらったときは少し大きかったので、土曜日、琉生が買ったお店の実店舗に調整してもらいに行った。
ネットで購入したものも、実店舗で調整してもらえるのは助かる。
「お似合いですね!」
お店の店員さんが誉めてくれる。
「よかったら、伝票作成でお待ちの間、他のものもお試しできますので」
「ありがとうございます」
「なんか付けさせてもらったら?これとか」
琉生が指差したのはエンゲージリングだった。
「それ、エンゲージリングだから」
「だからいいんじゃん、つけてみてよ」
「全然大丈夫ですよ、ぜひ!」
すでに店員さんがショーケースを開けている。
「いろいろあるんですよ~。シンプルな飽きのこないデザインもいいんですけど、やっぱり一生モノなんで、ダイヤがついてるものとか」
「へー、それいいっすね」
「琉生!」
「試着だけだし、いいじゃん。俺もイメージしたいし」
琉生と店員さんにワイワイ言われながら10個くらいは試着しただろうか。
「お待たせしました!」
お直しの伝票を受け取り、私たちはお店をあとにした。
「ありがとうございます!またいつでも見にきて下さいね!」
「どうしても買いにいく時間なくてネットで頼んじゃったんだけどいいお店だったね」
琉生は上機嫌だ。
「うん。ありがとう」
私も琉生がご機嫌だと嬉しい。
そのまま、家に帰っていつものように一緒に過ごし、日曜日のうちに琉生は帰っていった。
同棲してみる?の提案は出来なかったが、年末年始もそれぞれ帰省はしないし、喋る機会もあるだろう。
「またその時に言おう」
「え?」
近くにいたヨシダさんが振り向く。
「あ、スミマセン、なんでもないです」
「そう」
私があげたネクタイは今日してきてるみたいだけど、本人はまだ見てない。
おそらく営業部は客先の挨拶回りなど、忙しくしているに違いない。
さて、私も一応掃除でもしておくかな。
「すいませーん」
振り向くと営業部の志田だった。
「志田くん、どうしたの」
「年賀状、発注してもらってたの受け取ったんですけど、俺、自分のお客さんの数数え間違えてて!あと10枚ほどわけてもらえませんか?」
「え?今頃!?」
「すみません~」
慌てて在庫を確認中するも、ない。最近は経費削減でほぼ各部署から依頼があったピッタリの数しか発注してないから仕方がない。
「会社の向かいにある印刷屋さんに行ってみたら?データあるし、やってもらえると思う」
「ヨシダさん、ナイスアイデア!」
志田が喜ぶ。
「もし年賀状もなかったら普通ハガキに印刷してもらって、お祝いの切手貼ればいいよ。それなら在庫あるし。さとみちゃん一緒にいってやって」
「わかりました」
「じゃ、俺支度してきます!一階で待ってますね!」
志田がバタバタと戻って行った。
さとみもコートを来て、現金を持ち出す手続きをヨシダにしてもらう。
「元気なワンコちゃんだねえ」
「ヨシダさんもワンコって思うんですか、志田くんのこと」
「ワンコにしか見えないねぇ」
ヨシダさんが笑う。
「ほら、ワンコちゃんが待ってるから早く行ったげな」
「はい」
私は「ワンコ」が待つ一階に向かった。
*** 次回は年明け1月4日15時更新を予定しています ***
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