私たちはまだ恋をする準備が出来ていない #37 Jun Side
アラサー・アラフォーが恋をしたくなる小説。
あらすじ:さとみ32歳、琉生25歳。内緒で社内恋愛中。それを知らずにさとみを口説いている潤が二人の関係に気付く。潤は琉生に片思いをしている由衣と結託して、自分と付き合えるように画策している。
※毎回1話完結なのでどこからでもお楽しみいただけます
↓時間軸としてはこの話の直後(続き)なので、前の流れを知りたい方はこちらからどうぞ
さとみさんが泣きながら出て行ってしまった。
そのことに若干罪悪感を覚えつつ、俺は由衣さんがいる会議室に入った。
「ちょっと。殴られるとか誤算なんだけど」
由衣さんが不満げに頬をさすりながら言った。
「すいません。俺もあそこまで怒るとは思いませんでした。あとで湿布買ってきます」
俺は頭を下げた。
「別にそこまでじゃないからいいけど。っていうか、あの人、あんたが追わなくていいの?」
由衣さんが廊下を指さす。
「あ~まあ。あとで探して・・・行きます」
「あの人。琉生と付き合ってるかどうかっていうのは、最後まで口割らなかったけど。あの怒りようは本当に付き合ってるんだろうな」
由衣さんが独り言のように呟いて、唇を噛んだ。琉生さんのことを諦められていない上、今カノが同じ社内にいるというのを突然知ったら・・・モヤモヤするだろうな。
「由衣さんも言ってましたけど。なんでそこまで隠してたんでしょうねえ。俺だったら逆にややこしくなるから、言っちゃうと思うけど」
「だーかーらー。いい恰好したいんでしょ。俺はさとみに一途です、みたいな」
「ふーん、そっかあ」
「あんたはどうなのよ。社内で手ぇ付けてる人はいないわけ?モテそうなのに」
「あ、それはないです。この前も言ったけど、最近まで彼女いたんで」
「で、なんで、よりによってあの女なのよ。あんたも、琉生も」
「いや~由衣さんみたいな人も嫌いじゃないんですけど、やっぱ癒されたいんですよ」
って言ったら由衣さんがガツンと蹴ってきた。
「痛ってー・・・」
「さっさと追いかけたら。私はいいから」
由衣さんは俺を会議室からつまみ出した。
「ありがとうございます!」
俺は一礼して、さとみさんが行った方向に向かった。
***
建物の中を見ていると、非常階段のドアがちょっと開いていた。
覗いてみたらさとみさんの後ろ姿が見えた。
偶然を装わないといけない、と思い、俺はいつものテンションでさとみさんに話しかけた。
「あー、さとみさんだー!どーしたんですかっ、こんなところで」
「志田くん・・・」
振り向いたさとみさんは、相当ヤバかった。タオルハンカチで顔半分が隠れているけど、めちゃくちゃ泣いたんだろうな、ということが分かった。
目元に落ちたマスカラが黒く付いているのが見えた。
「あ、すいません・・・」
慰めるつもりで意気揚々と来たけど、見てはいけないものを見てしまった気がして、本気でうろたえた。
どうしよう。
「ごめん・・・びっくりするよね・・・こんな・・・」
さとみさんは泣きそうな顔なのに、無理やり笑顔を作ろうとしていた。
確実に俺のせいなので、どう反応していいかわからない。
「あ・・・い、いや、俺、どっか行ったほうがよかったら行きます」
良心の呵責に耐えられなくなり、俺はその場を去ろうとした。
「ま・・・待って・・・」
顔を押さえながら、反対の手でさとみさんが俺のジャケットの裾を掴む。
さとみさんが呼吸を整えようとしているのが分かる。ううー。かわいい。抱きしめたい・・・けど、ここは我慢だ。
前回の失敗があるので、俺はさとみさんを抱き締めたい気持ちを抑えて、言う通りに待った。我ながら、お預けを食らっている犬みたいだ。
「具合悪いんだったら、早退します?俺、総務行ってカバンとか上着取ってきますけど。とりあえずここ、寒いから・・・」
「そう・・・しようかな・・・」
さとみさんはタオルで目元を押さえながら、非常階段から廊下の中に入ってきた。
俺は肩を抱くことも出来ず、さとみさんに寄り添い、総務まで行った。
「ヨシダさん、ちょっと具合悪いんで、早退してもいいですか?」
「あ、ああ。お大事に」
ヨシダさんも驚いたような顔で、さとみさんを見た。状況は飲み込めないけど、ただならぬ雰囲気だったので、了承せざるを得ないかんじだった。
「あ、俺、駅まで送ります!!俺も荷物取ってくるんでロビーで待っててください!」
俺はさとみさんの返事も待たずに、自分の部署へ荷物を取りに戻った。
次回更新は3月1日15時の予定です
雨宮より:お気づきでしょうか。。。15時に投稿したあと、実はちょこちょこ付け足したり書き足しているのを(汗)
あー、ここまで書きたいのに(時間で)書けなかった!とか、読み返してて、あー!やっぱここ分かりにくい!とゆー時に書きたしてます。
は~。潤かわいいわあ。悪いやつだけど(笑)
ちなみに名前でお気づきかもしれませんが、イメージは志尊淳くんの外見です!実写化したら絶対志尊くんにやってほしいです。
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