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私たちはまだ恋をする準備ができていない #45 Ryusei Side

由衣から聞いた、さとみと志田がホテルに行ったという話を確認すべく、志田に話しかけたわけだが、返ってきた答えは予想外のものだった。

「なに、お前。佐倉さんとどういう関係?」

「それ、琉生さんに言う必要あります?」

NO、または最悪YESで返ってくると思って覚悟していたのに、スカされたのに腹が立った。

「べ、別に言う必要ないけど。雑談だよ雑談。お前、ちょっと前に彼女と別れたって聞いたから・・・」

俺はこみ上げてくる怒りと動揺を抑えながら言った。

「さとみさんに訊いてみたらどうですか?」

いつもの調子で志田が言う。余計な勘ぐられ方はしていないだろう。

「聞けないから、お前に聞いてるんだろ」

あ、しまった。正直に言ってしまって、焦った。

「なんで聞けないんですか?」

志田が畳み掛けてくる。俺はこれ以上追求しても墓穴を掘りそうな気がしたので、一旦退くことにした。

「・・・・・・・もう、いい」

俺は志田を残し、その場を去った。

***

夕飯の後、珍しく家でやらなければいけない仕事も残っていないので、俺は缶ビールを片手に映画を見ることにした。今はネットと繋がっていれば、わざわざ時間を作って映画館に行かなくてもいいので、楽だ。

リモコンで数年前に見たアクションものを選び、俺は見始めた。

さとみが好きそうなものではないので、誘うか迷った。

スマホが光りさとみがそれを開いた。

そのままダイニングでスマホを見ている。

「誰?」

「会社の人」

そう言うとすぐにスマホを閉じた。会社の人でさとみとLINEする仲の人って誰だろう。光先輩なら、光先輩、というはずだ。もしかして、志田?

あー、変な勘ぐり方してるわ、俺。

さとみに限って、しかも志田と浮気をしていることは考えにくい。考えるのやめよう。事実か分からないことを考えていても、仕方がない。

「さとみもこっちに来て見たら?これ、前に見てすごく面白かったんだよね」

なんとなく間が持たないので、さとみを呼び寄せる。

「うん」

さとみもお茶を持って、ソファの横に座った。

目は映画を追っているが、さとみと志田に付いて聞きたい、というのが頭から離れない。

“それ、琉生さんに言う必要あります?”

という志田の言葉も気になる。

ただ、あいつのことだから、もしさとみと何か合ったのなら喜び勇んで報告してくるはずだ。逆に、告白してフラれたとか、“そっち方向”の出来事があり、はぐらかしたのかもしれない。

あ、その方がしっくりくる。

俺はすこし前向きな気持ちになった。

その時不意にさとみが、ふふっと笑った。

「え?何?今の笑うところ?」

映画の中では俳優が真剣な顔で会話しているシーンだったので、不意打ちだった。

さとみは英語が得意なので、字幕には載ってない間合いで笑ったのかと思った。

「あ、ごめん。ちょっと思い出し笑い」

珍しくさとみがそんなことを言った。

「そっか」

おれは軽く流して、横にいるさとみの肩を抱いた。

服の上から伝わってくる体温と、もたれた重みに安堵する。

映画がクライマックスに差し掛かる頃、さとみが話し出した。

「琉生」

「ん?」

「同棲の期限、決めてなかったね」

「あ、うん」

予想外の話題だった。

「決めようか。いついつまで、一緒に暮らせたら結婚するって」

「ああ、うん。いつ、にする?」

俺はいつでもいい、と思った。

さとみはうーん・・・と考えている。決めたい、と思っていったものの、いつまで、と明確に決めて言ってきたのではなさそうだ。

俺もしばらく考えたが、俺の気持ちは付き合った時から変わっていない。

さとみは今まで見てきた中でも、理想の人物だし、結婚するならさとみしかいないと思っている。俺は提案した。

「半年。今から半年にしよう。そしたら付き合って1年だし。ちょうどいいんじゃない?」

するとさとみが驚いたように言った。

「半年って短くない?」

まあ、さとみならそう言う気はしていたのだが、俺は思っていることを正直に言った。

「そうかな。それ以上一緒に住んでどうするの?季節が一巡すれば十分じゃない?」

さとみはじっと俺の目を見ている。

「俺は今すぐでもいいんだけど」

正直、結婚してしまえば、志田の心配も、由衣からのちょっかいも無くなるのではないかと思っている。

映画はもうエンディングだった。クライマックスのシーンは見逃したが、もうどうでもよかった。

俺はさとみに唇を重ねる。

「半年経ったら結婚しよう」

「ん」

俺はもう一度さとみにキスをして、そのままソファに押し倒す。

さとみも抵抗せず、受け入れてくれた。

俺がさとみを大事にしたいっていう気持ち、伝わってるのかなあ。志田や由衣のこと。全部振り払いたい気分だ。

俺は奴らのことは考えずに、今目の前にいるさとみに集中しよう、と思って強くさとみを抱きしめた。


*** 次回は3月19日(金)15時頃更新予定です ***


雨宮より(あとがき):最近全然本業に力が入ってません。やばいなー。小説書くの楽しい。もっとうまくなりたい。私の小説はジャンル分けしたらなにになるんだろー。と思って本屋さんに行ってきました。最近ラノベとかすごいですね。ラノベとか相性いいのかしら、と思って見てたら、大体異世界でなんちゃらする話、的なやつで、うーん、異世界・・・には行かないなあ、と思い、違うな、という結論になりました。

まだ書き始めて3ヶ月?4ヶ月くらいなので、自分らしいスタイルを見つけていけたらいいなーとおもっています!


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