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私たちはまだ恋をする準備が出来ていない #8 Ryusei side

アラサー・アラフォーが恋をしたくなる小説。
あらすじ:さとみ32歳、琉生25歳。社内恋愛中。週末はどちらかの家で過ごすことが多いが今週は土曜日だけ、水族館デート。日曜日は別々に過ごすことにした。
※毎回1話完結なのでどこからでもお楽しみいただけます。

久しぶりにさとみと一緒に居ない、日曜日。

正直何をしていいのかわからない。とりあえず、一週間溜まった洗濯と、掃除をしてみる。

が、男の一人暮らし、1Kの部屋の家事なんてすぐ終わってしまう。

いや、むしろ俺って家事ができる方なのかもしれない。料理は絶対さとみのほうが上手いけど・・・俺も作れないわけじゃないし・・・

世間の男より出来るほうなんじゃなかろうか。

そう考えるとさとみとの結婚も夢じゃない気がしてくる。

「結婚したいって、簡単に琉生は言うけどね・・・」

付き合うからにはいつかは結婚でしょ、と始めからいっている俺に対して、いつもさとみはやんわり諭してくる。

前回俺の家に来た時もブツブツ言ってたっけ。

「本当に一生一緒に居られるかとか、そんな簡単に決められないじゃない。親とか親戚のこともあるし・・・お互いのこと、まだまだ知らないし」

「え?まだ知らないことあるの?」

「あるでしょ?!」

ないと思うけどなあ、という俺に向かって、さとみは呆れたような顔をする。俺はちょっとムカついて反論した。

「だってお互い成人してるわけだし。そりゃあ親に報告はいるだろうけど・・・そんなの本人の意思で決めたらよくない?」

「でもまだ琉生は若いし、今は良くても、もっと遊んどいたらよかった、とか思うかもしれないでしょ」

「そんなの、その時にならないとわからないんじゃない。30でも40でもその後もっと遊んでおけばよかった、って言う奴は言うと思う」

「そりゃそうだけど・・・」

「むしろ俺はさとみが“適齢期”だから他の奴に取られないか心配してんの!」

「・・・それはないと思う・・・」

さとみが真っ赤になってうつむく。

「じゃあさあ、いつまで好きだったら結婚していいの?半年?1年?2年?5年?子供ができたら?芸能人とかで交際0日で結婚する人もいるじゃん」

うーん、とさとみが考えている。こういう話になると、別に今スグ結婚してほしいというわけでもないし。決してさとみを困らせたいわけじゃないんだけど。どうして分かってくれないんだろうとは思う。

「私が」

長い沈黙のあとさとみが口を開いた。

「琉生と結婚してもいいって思えたらかな」

それを聞いて俺は軽くめまいを覚えた。

「嘘。ってことは今は思ってないわけ・・・?」

「お、思ってないっていうか!だから、付き合うのってそれを確かめるための期間じゃない?まだそこまでは・・・わからないよ・・・」

ショックだった。でも確かに、付き合いたいっていったのは俺のほうからだし、お願いして付き合ってもらってるってこと、なのか?

俺は告白した時のことを思い出した・・・。

***#9 は2020年12月18日(金)更新予定です!***

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