言葉が生まれてこなかった話
この5ヶ月くらい文章を書きたくならなかった。
いま、私たち夫婦は3歳の長女と、1歳3ヶ月の長男と暮らしている。そして私はいま妊娠6ヶ月で、お腹の中には双子がいる。
夫と、3人年子を目指して取り組んできた妊娠プロジェクトがとんでもないことになった。親戚にも身近にも4人兄弟はほぼいない。双子もあまりいない。
事実を整理して受け入れるのに少し時間がかかった。(夫は5分くらいで受け入れているように見えて、すごいやつだと思った)
それからしばらくの間、文章を書く気になれなかった。自分の中から言葉がフレーズが全く出てこなかった。短歌も気持ちよく詠めない。かろうじてライティングの仕事は続けていたが、自分の文章を見てもよそよそしい感じがする。
ああ言葉が生まれてこない。
悲しかったけど、その感情を味わう前にやることも調べることもたくさんあった。
自分にしては珍しくつわりっぽい期間もあった。夕方になると結構気持ち悪い。今までの妊娠では甘いものさえ食べていれば万事オッケーだったのに、今回は食べたくない。カレーとかお好み焼きのソースとか、そういうのが食べたい。
それでも妊娠発覚から2ヶ月くらい経つと、ありがたいことに気持ちもつわりも落ち着いてきた。
パニック時は色々な感情が吹き荒れていた。
例えば、妊娠できたことはありがたいことなのに困ってしまっている自分はひどい人間だ、とか。3人と思っていたのに4人なんてどうすれば、とか。お金のこととか家のこととか。日常生活の移動はどうすれば、とか。
色々考えたり検索したり、ぐっちゃぐちゃの情報過多の時期を過ぎると、意外とシンプルな状態になった。
もうお腹にきてくれているのだから、私が産むしかない。産んだらその子が自分の人生を幸せに生きていけるようにサポートしたい。まずは無事に産めるようにがんばろう。
そしたら言葉がちらちら生まれてくるようになった。
この前、綺麗に選定された近所のお家のボリューミーな植木が風に揺れているのをみて「あっ、もりもりもさもさ動いているな」と思った。
私は自分の中から「もりもりもさもさ」というフレーズが生まれてきたことが嬉しかった。特に斬新でも素晴らしくもない謎のフレーズなんだけれど、自分が見たものに心が自然に反応して言葉を生んだのが嬉しかった。
余裕がなかったんだと思う。そりゃそうだよね。ないわ。今も特に余裕はないけども、やるしかないしやろうと思っている。
まず私が毎日幸せになる。自分が幸せじゃないと周りも幸せにできないから。
これは高校生くらいの頃から繰り返し感じてきたことだけど、最近はもっと強くそう思うよ。自分の人生だから自分が工夫して楽しくするんだ。