大混雑。京都・城南宮の落ち椿に、素直な生き方を学ぶ
人混みが苦手です。
なので、花見の時期になっても、いわゆる桜の名所へは出掛けたことがありませんでした。
でも、自分ではわかっていました。
ただ、混雑が嫌なだけではない。
要するに「京都通」ぶって、
「みんなが押し寄せるところには行きませんよ」
と、見栄を張っていたのです。
ところが年を重ねると、「生きてるうちに、見ておきたい」と思うようになりました。
そうです、歳を取って少しは「素直な生き方」をするようになったのです。
清水寺、東寺、平野神社、醍醐寺、退蔵院、雨宝院・・・。
桜のシーズンは、週に二度、三度と上洛して花見をして回るようになりました。
そして!
この春。
大混雑も大混雑で有名な、城南宮へ行って来ました。
「しだれ梅と椿まつり」の期間中で、車も大渋滞。
細い通路の途中で、みんなが写真を撮っているのでなかなか前に進みません。
でも、本当に溜息の出るほどの見事さです。
「ああ~来てよかった」
と思うとともに、もっと素直に生きるべきだったと、後悔しきりです。
さて、苑をぐるりと巡ると、後半は「しだれ梅」と「落ち椿」の競演スポットです。ここでも、スマホや一眼レフを構える人たちで、満員電車並みの混雑。
青い苔の斜面に、点々と紅い椿が落ちています。
その向こうには、ピンクの枝垂れ桜が、まるで雨のように降り注いで見えます。
「ああ~なんてキレイなんだろう」
そんな中、
人ごみの中から、こんな声が聞こえて来ました。
「ねえねえ、知ってる?」
「なになに?」
「これって、お寺の人が、毎朝、椿の花を通路に向けて正面になるように置き換えているらしいよ」
「へえ~そうなんだ」
確かに、苔の上の椿の花の、大半が「こちら」を向いているのです。
せっかくの光景にも、いっぺんに興ざめしてしまいました。
でも、カミさんに叱られました。
「そうかもしれないけど、それはそれで、お寺の方が一生懸命に参拝者の一つのために尽くしてくれていることなんだから、『ありがとう』と言って見ればいいのよ」
その通り。
ここでも「素直な生き方」を学んだのでありました。
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