愛でるだけで、涼しくなる
よくぞまあ、「したたり」なんて名前を付けたものです。
菓子皿の上に載せて、愛でるだけで「涼」が伝わってきます。
黒糖、和三盆、水飴、寒天。
口中に上品な甘さが、ブルルンッと広がります。
祇園祭は、平安時代から続くお祭です。
そのハイライトは、山鉾巡行。
各山鉾町の保存会の皆さんの、長年の努力で毎年開催することができています。
ところが、京都は多くの戦乱と大火に見舞われて来ました。
応仁の乱では、ことごとく焼け野原になったといいます。
ホント、いつの世も権力争いにはあきれるばかりです。
町中が神社仏閣だらけの京都ですが、実は、応仁の乱以前の建物はほとんど残っていません。山鉾も例外なく、災難に遭いました。
菊水鉾は、昭和の鉾と言われています。
あの、明治維新前夜の蛤御門の変で消失した鉾が、88年ぶりの昭和27年に再興されたのです。
元々菊水鉾町は、千利休の師にあたる武野紹鴎が庵を構えていた場所であることから、菊水鉾では茶会を行っておられます。
その茶会で呈するためにと、「亀廣永」さんにに依頼して作られた菊水鉾オリジナルの和菓子が、
「したたり」
です。
まるで、琥珀のよう。
うだるような暑さの祇園祭の最中、
期間限定のお菓子です。