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「京都五山の送り火」日帰り15分滞在弾丸ツアー

  8月16日は、京都では特別な日です。
 お盆の精霊を送る伝統行事「京都五山送り火」があるからです。
東山の「大の字」、松ケ崎の「妙・法」、西賀茂の「船形」、大北山の「左大文字」、そして、嵯峨の「鳥居形」と、午後8時頃から5分ごとに順々に火が灯ります。
5つの送り火はすべて京都市登録無形民俗文化財です。
拙著、「京都祇園もも吉庵のあまから帖」シリーズでも、「京都五山送り火」を物語の舞台に取り上げています。
 
さて、昨年のことでした。
京都に住む友人から、
「送り火を見に来られませんか?うちの近所に「妙・法」の「妙」がよく見える、知る人ぞ知るスポットがあるんです」
と誘われました。
これはもう行くしかありません。
 場所は、北山通沿いのさるお店の駐車場。
名古屋から新幹線に乗れば、30分余りで京都駅に着きます。
そこからタクシーで、混雑していることを考えても40分あれば余裕です。
ということで、
早めに夕食を食べて、午後5時前に家を出発しました。
 
ところが、です。
思わぬことが起きてしまいました。
名古屋駅コンコースに着くと、列車が大幅に遅れているというのです。岡山辺りで集中豪雨。山陽新幹線が一時ストップしたことが原因でした。
指定席は購入したものの、その列車がいつ来るのか目途が立ちません。そこで、とにかく来た列車に飛び乗り、車内で列車と指定席の変更をしました。
 
ところが、ところがです。
米原駅辺りから、超ノロノロ運転。
ちょっと走っては、止まる。
また走っては止まる。
時間はどんどん過ぎて行きます。
時計を見てイライラ。
ようやく京都駅に着いたのは、午後7時20分でした。
 
こういう時に限って、またまたタクシーがつかまりません。
ようよく乗ったタクシーのドライバーさんに事情を話すと、
「わかりました。
でも、大丈夫ですよ。楽勝です」
そう言われ、ホッとしたのも束の間。
京都市内も渋滞がひどく、
「迂回して空いた道を行きますからのも大丈夫ですよ」
と、ドライバーさんは余裕でおっしゃるものの、
ハンドルを切ったその先が、またまた交通規制。
「あれ、おかしいなあ。去年はここは通れたのに・・・」
おいおい、勘弁してくださいな。
 
「あっ!見えますね!!」
東大路通りを通過中、一番最初に点火される「大文字」の炎がチラリと見えました。
車内からの一瞬ですが、とても美しく神々しく見えて感激しました。
ところが、ところが、ところが、
というのは、路上に車を止めて車中から見物する人が多いため、
またまた渋滞です。
 
「もうダメかも」
と零すと、ドライバーさんは、
「行けます!頑張ります」
と強いお言葉。
そして、友人家族と待ち合わせをしている目的地に到着したのは、すでに「妙」に点火された10分後の午後8時15分でした。
「ギリギリ間に合いましたね」
と言われ、一緒に一番良いポイントへ異動します。
それが、写真の一枚。
とにかく感動、真正面に近く見えて感激。
ただ、10分も経たぬうちに、火の勢いも徐々に弱まっていき、夜空に儚く消えてしまったのでした。
 
その間、わずか15分。
待っていてもらったタクシーに再び乗り、
「もう帰るんですか?」
と言う友人家族に手を振ってもらい、再び京都駅に向かったのでありました。
 
なんという贅沢な、
そして諸行無常を感じる弾丸ツアーでした。
 

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