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超ムズ「言葉事典」を出版。京都にまつわる言葉、清浄歓喜団、白足袋族、曝書の意味を知っていますか?

 
 次の言葉がいくつわかりますか?
 
 青い悪魔、宇宙水道局、永久おけ、おっちゃんレンタル、偶然大吉、地獄組、虎小石、反射出血、宮崎スタディ、幽霊文字、ひみつ屋、笹の才蔵、国栖人、ナレムコの法則、使用窃盗…。
 
 このたび、全日本ことば探索研究会編「知っているようで知らない 知っていれば自慢できる言葉事典」(ごま書房新社)という本の編集・執筆に携わりました。
 
 冒頭は、この本の中に収められた100語の言葉の一部です。
 研究会会長の、こんどうよしひこ氏が半世紀にわたって採集した膨大な「言葉」コレクションの中から、難解かつ「へえ~ほー」と感心する「面白い」言葉をピックアップ。
 執筆を担当した私も、ほとんど意味がわからない言葉ばかりでした。
 
 ところが、その100語のうち、3つの言葉の意味を即答できたのです。
 拙著「京都祇園もも吉庵のあまから帖」シリーズを書くにあたって、6年間、京都を訪ねるだけでなく200冊ほどの本や雑誌を読み込んで来ました。
 そう、その3語は、京都にまつわる言葉だったのです。
 「芸は身を助ける」と言いますか、編集会議ではちょっと鼻が高かったです。
 
 まずは、そのうちの一つ「清浄歓喜団」
これは既に、このnoteのバックナンバーで「日本で最も古いお菓子」として取り上げていました。
こちら↓
 
 https://note.com/momokichian/n/n955bdf351c05
 
 
二つ目が、「白足袋族」です。
京都には、
「白旅族とは絶対に喧嘩をするな」
という言葉があります。
 京都は1,200年の都。いまだに京都の人に「この前の戦争で被害に遭って」と言われ、てっきり第二次世界大戦のことだと思っていたら、「応仁の乱のこと」だと真面目な顔をして言うので、冗談かどうか戸惑ってしまいます。
そんな京都の街には「白足袋に逆らうな」という警句があります。「白足袋」とは、お公家さん、茶人、花街関係者、僧侶、室町の商人たちのこと。この人たちに逆らうとひどい目にあうという意味であり、今も滅多なことで事を荒立てることはしません。
1985年に京都市では古都保存協力税という条例が施行されました。寺社の拝観の際に、50円をプラスして徴収するというものです。ところがこれに、「白足袋族」であるがお坊さんが反発。拝観停止や、条例の施行差し止め等を市に求める裁判[1]等の反対運動が行われ、わずか3年で古都保存協力税は廃止されました。
まさしく、「白足袋族」に行政が楯突いた末の結末でした。
 
そして三つ目は、「曝書」
書物の虫干しのことです。
寺の書庫や図書館などでは、虫に食われたり黴たりするのを防ぐため、蔵書を陰干しにして風を通しを良くします。「曝す」とは、日にあてて乾かすことです。
現在も毎年秋に、奈良の正倉院、京都の大徳寺などで「曝涼」が行われています。「曝涼」は、書に限らず衣類や掛け軸、絵画などの文化財を日に当てて乾かすこと。
正倉院曝涼は、さすがに公開されていませんが、大徳寺では「大徳寺曝涼展」が開催され、誰でも「寺宝」約100点を見ることができます。
何年か前、大徳寺を尋ねると、たまたま「その日」で、ガラス越しではなく、目の当たりに国宝級の画や書を見る機会に恵まれました。

小説のために京都の勉強をするということは、知らぬ間に「日本」の「文化」を学んでいることになっていたのでした。



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