オシャレな京都祇園の火災報知器
祇園の街は、観光客で賑わう花見小路から一筋入るだけで、いっぺんに静かになります。
拙著「京都祇園もも吉庵のあまから帖」シリーズでも、こんなふうに描いています。
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花見小路も観光客でいっぱいだ。その雑踏から逃れるようにして、細い小路を右へ左へと曲がる。するとそこは、お茶屋が軒を連ねる異次元の世界。まるで映画のセットのようだ。ふいに幕末の志士や新選組の隊士が、刀を手に飛び出して来ても不思議ではなく思えてしまう。
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そんな人通りの少ない小路の壁に、ちょっとオシャレなデザインの火災報知器を見つけました。
舞妓さんの後ろ姿が見事です。
祇園は、幾度も火災に見舞われて来ました。
しかし、狭い小路が多いため、大型の消防車が入ることができない場所がたくさんあります。
もも吉のモデルとなっていただいた女将の、祇園のお茶屋「吉うた」さんも2019年7月8日に、火災で隣焼しました。
それだけに、祇園の人々にとって、火の用心は何よりも重要です。
この火災報知器に近付いてみると、脇に「JRA」と書かれてありました。
なるほど!と
と膝を叩きました。
祇園甲部の芸妓・舞妓さんたちが総出演する「都をどり」が開催される祇園甲部歌舞練場のすぐ隣に、「ウインズ京都」(場外馬券場)があります。
おそらく・・・観光客は「なぜ、こんなところに?」と思うことでしょう。
おそらく・・・「ウインズ京都」のみなさんも、雅な場所に余所者がやって来てと、気を遣っておられるでしょう。
そこで、火災報知器を設置する際にスポンサーになったのではないか。
あくまでも推測ではありますが・・・。
京都府では景観条例で、コンビニも牛丼屋さんも茶色を基調とした看板になっています。火災報知器一つとっても、ここまで景観に配慮する京都ってすごいと思うのでありました。