室町時代創業の京都・北野天満宮の「長五郎餅」は秀吉が名付け親
旅行者と京都人との、冗談ともつかないこんな会話が知られています。
東京のから来た旅行者が、西陣の呉服屋さんを訪ねた時の事。
「こちらのお店はずいぶんと古いんでしょうねぇ」
「そんなことあらしまへん、ついこの前です」
「でも、この柱は、あめ色に光っていて、歴史を感じます。老舗でいらっしゃるんでしょ」
「いえいえ、戦争よりずっと後です」
旅行者は、「戦争」と聞いて、「第二次世界大戦」を思い浮かべました。当然のことです。
「え? そんなご冗談を。いくらなんでも、6、70年なんて訳は・・・」
「いややわ~応仁の乱のことやないですか」
ずいぶん誇張された笑い話だと思われます。
でも、実際に、京都の街をぶらぶらしていると、「室町時代創業」とお店にいくつも出逢います。
羊羹で有名な和菓子の「とらや」さん。
お菓子の「そばぼうろ」も有名な蕎麦屋「本家尾張屋」さん。
「松風」で知られる和菓子の「亀屋陸奥」さん。
田楽豆腐が名物の料亭「中村楼」さん。
「大徳寺納豆」で有名な精進料理「大徳寺一休」さんは、なんと一休禅師の命名だそうです。
そんな中、太閤秀吉が名付け親の和菓子があります。
北野天満宮の門前「北野商店街」に店を構える「長五郎餅本舗」本店の「長五郎餅」です。
なんでも、秀吉が催した大茶会に、河内屋長五郎と名乗る者が茶屋を出店し、そこで餅を供しました。
秀吉がに献上したところたいそう気に入り、
「以後『長五郎餅』と名乗るべし」
と言われたのが始まりというのです。
この「長五郎餅」、本店以外でも食べられます。
毎月25日の天神さんの縁日と、北野天満宮の梅苑の公開期間中の土日などは、天満宮内にある長五郎餅さんの茶屋でいただくことができます。
縁台に赤い毛氈が敷かれ、なんと!火鉢が置かれています。
梅の季節はまだ寒いので、風情もさることながら助かります。
京都では、お饅頭一つにも歴史の重みを感じます。