CoCシナリオ『証言』
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注意書き
センシティブな内容が含まれています。
お子さんをお持ちの方、感受性の高い方は
避けた方が良いシナリオです。
また、救いのない後味が悪い内容です。
以上ご理解の上お読み戴ければ幸いです。
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女性探索者推奨
ロスト率低め
(継続して使ってほしいので新規探索者は
使い回しが効く技能振り推奨です。)
あなた方はとある部屋で目覚める。
そこは白く照らされた扉のない部屋。
異様なほどに、寒々しく思えるほどに
生活感がなく無機質な部屋。
ここに来る以前何をしていたか覚えていない。
記憶はどこまでが記憶であるかすら曖昧だ。
(探索者紹介、NPC井高るりむもいる。)
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井高るりむ
職業: 私立探偵
年齢: 25 / 性別: 男 / 身長: 175
体重: 70
STR 12
CON 10
POW 10
DEX 13
APP 16
SIZ 13
INT 12
EDU 12
HP 12
MP 10
IDE 60
幸運 50
知識 60
現在SAN値 45 / 99
DB +1D4
【技能値】
こぶし 60
鍵開け 76
聞き耳 65
忍び歩き 60
精神分析 71
図書館 70
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【部屋を調べる】
なにもない半球状の部屋だ。
よく見ると角がないことがわかる。
壁に触れるとさらさらと
繊維のような質感をしている。
引きちぎれなくもなさそうだ。
床も同様である。
壁を少し押してみれば思いの外
しっかりとした弾力が伝わってきた。
【引きちぎった場合】
引きちぎられた部分に
赤黒い色が透けて見える。
不吉な予感がした。
SAN値チェック0/1
(胎内の壁、まだかすかだが
当然錆のような匂いがする)
【アイデア】【目星】
室内が明るいことに違和感を覚える。
また、影から光源を辿ろうとしても
ここにいる人物それぞれの影が全てない。
この事実に気づいた探索者は
1/1d3のSAN値チェック
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遠くで歌が聴こえることに気が付く。
まるで水中にいるかのような
くぐもった音ではあるが、
若い女性が歌っているようだ。
その旋律は探索者の意識を
消し去るように酷い眠気を誘ってくる。
10CON対抗発生
失敗した場合は床に崩れ落ち
眠りにつくことになる。
【アイデア】もしくは
【聞き耳でクリティカル】
この歌は子守唄であることを直感する。
また、ところどころすすり泣くような
声が混じっている。
【一度目の眠り】
断片的な映像を夢に見る
それは「流れる景色」「布の模様」
「ガラスに反射する自分の顔」だ。
(事故が起こる前のバスの風景)
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「うわっ」という井高が驚いたような
声を上げる。
見れば部屋の中央に
白いドレスを纏った少女がいた。
ドレスは裾のリボンの一部が
床と一体化しているのがわかる。
少女の足元には手のひら程の
鏡の欠片がいくつか散らばっている。
年は5-6歳だろうか。
端正な顔立ちをしているが
無表情で立ち尽くすその姿は
人形のように生気を感じられない。
【話しかける】
「…」
反応は返ってこない。
【アイデア】
無表情なためわかりにくいが、
顔のパーツだけ見ると
井高るりむによく似ている。
【心理学】
何かを考え込んでいるように思える
【鏡を拾う】
割れた鏡を拾うとキラリと赤い光が反射した。
鏡の中で炎が燃え盛っている。
また、鏡にうつるあなたの顔は
皮膚がところどころ剥げ落ち
赤黒い肉が見えている。
1/1d2のSAN値チェック
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くぐもった歌が近く遠く揺れるように響く。
ひどい眠気に襲われる。
15とのCON対抗。
失敗した場合は眠りに落ちる。
【二度目の眠り】
「悲鳴」「ブレーキ音」
「何かが割れる音」を聞いた気がする。
【起こされた場合】
1d4でいずれかの部位に痛みを覚える
1:頭(2ダメージ)
2:胸(2ダメージ)
3:腹(1d2ダメージ)
4:足(1d2ダメージ)
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ぽつぽつと床に水玉模様が浮かんでくる。
どうやら上から何かが降っているようだ。
手のひらをひろげてみると赤い液体と
灰がぱらぱらとまだら模様を広げていった。
「外は、綺麗ですか」
くぐもったような、イントネーションに
違和感のある声があなた方に問いかける。
(具体的には舌ったらずのようなイメージ)
「雨とは、このようなものなのですか」
少女がどこを見るでもなく言葉を発していた。
灰が少女のドレスに当たる度に、その場所が赤く染まっていく。
(ここから少女との会話が可能になる)
(ただし、少女は何も知らない)
(少女はこの場所から出たことはない。)
【言葉を返す】
「私は見たことがありませんでした。」
液体は止まり、灰だけがはらはらと降ってくる。
「外には何があるのですか?」
「花とはどういうものですか?」
少女はあなた方に問いかける。
(ここでコミュニケーションを
ある程度取らせる)
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歌が途切れ途切れに聞こえている。
20のCON対抗。
燃え盛る炎の中で一人の女性が
膨らんだお腹をさすっている。
あなた方はそれぞれ倒れながらも
その光景を見ていた。
女性は涙を流しながら歌を歌っている。
【目星】
女性のすぐ横に井高るりむが倒れている。
【聞き耳】
鼓膜が破れているようだ。
それでもけたたましいサイレンと怒号、
爆発音が遠くに聞こえる。
【起こされた場合】
全身が痛みにひりつく。
1d2のダメージ。
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全身に灰が積もっていく。
部屋を覆う白い繊維はほどけていき、
赤黒い部屋が顕になっていた。
少女のドレスは端まで深紅に染まっている。
「雨を、雪を、花を見たいと思いましたが、
それよりも父を、母を生かしたい」
「失われたものは取り戻せませんが、
残されたものは守りましょう」
【アイデア】
少女が何かを諦めたように感じる
そしてその決意は、
あなた方に向けられた
優しさでもあるように感じる。
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25のCON対抗、もう誰も抗えない
女性の歌声はあなた方を
深い眠りに引き摺りこんでいった。
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また白い部屋だと君たちは思った。
遠くに喧騒が聞こえる。
身体中に何かを巻かれていて動きにくい。
どこかのベッドに寝かされているようだ。
(病院のICU)
【起き上がる等のリアクションをした場合】
「何しているんですか!!」と
白い服を着た人達が慌てた様子で
あなたの回りに集まる。
消毒液の匂い、単調なリズムを刻む電子音、
身体中のガーゼと包帯に腕に繋がれた点滴。
ここが病院であることは
容易に想像できるだろう。
あなたの周りで女性スタッフが
慌ててどこかへ連絡している。
「起き上がらないでください!
痛くないんですか!?」
別の男性スタッフが焦ったように
あなたの身体を確認し、
その表情が凍りつくのを確かに見た。
その後、あなたの家族と
担当医と名乗る男性が訪れて
状況を説明してくれる。
曰く、あなたはバスに乗っていて
大規模な交通事故に巻き込まれた。
不運にも大火災へ発展し、
事故の怪我だけでなく
全身に重度の火傷を負った。
曰く、あなたは先ほどまで
命を危ぶまれるほどの危篤状態だった。
実際にあなたの家族は呼び出され
その説明を受けていた。
曰く、あなたが目を覚ましたその時に
火傷も怪我も全くもって
なにもなかったかのように消えていた。
内臓にも損傷はない。
次の日あなたは大部屋へ移される。
数日間経過観察をし、
退院することとなったらしい。
そこにはあの夢のような部屋で
一緒だった人々がいた。
そして椅子に腰かける井高るりむと、
その隣のベッドにもう一人の女性。
夢で出会った彼女は
暗く光のない眼差しであなた方を見ていた。
(話しかけても返事はない)
【るりむに話しかける】
「彼女は僕の妻です。」
「…昨夜、あの子が生まれました。」
「泣き声をあげることはありませんでした。」
「…全身が黒く、
真っ黒く焼け焦げていました。」
るりむがそこまで呟くと
女性は耳を塞ぐようにして歌いはじめる。
それは確かにあなた方の
聞き覚えのある旋律だった。
「僕はこれからどうすれば
いいのかわかりません。」
るりむはそう言うと
歌い続ける女性の肩を抱き、
病室の外へ出ていった。
【アイデア自動成功】
彼女の腹の中にいたあの子が、
井高るりむとあなた方の身代わりになった。
ただそれだけの事実がそこにあった。
【SAN値チェック自動失敗】
あなたがふさわしいと思う値を
減らしてください。
ダイスを振ってはいけません。
固定値で、あなたがふさわしいと思う値を
減らしてください。
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退院の日まで、結局るりむとあの女性は
病室に戻ってくることはなかった。
久しぶりの外へ出たあなた方は
暖かい日差しに目を細める。
季節外れの彼岸花が、風に揺れていた。
シナリオクリア
『その証言は誰の為のものなのか』
クトゥルフ神話技能+5
SAN値回復無し
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解説
女性は神話生物の血を引いている家系。
るりむと夫婦でバスに乗っている際に
事故に巻き込まれる。
るりむも瀕死状態であったため、
魔力を持っていた胎児が
魂を子宮の中へ保護し
探索者達の身代わりとなった。
少女のドレスを床から引き剥がすと
部屋が急に暗くなり
探索者は闇に包まれる。
その闇は温かく泥のように
探索者にまとわりつき
探索者の意識は失われる。
(ロストするか、幸運1/4で
HP4の状態で病院にて意識回復)
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キーパリングのコツ
後味を悪くさせるだけのシナリオなので
女の子とPLのコミュニケーションを
取らせるようにすること。
夢は眠らない人がいれば
井高るりむが眠り内容を伝えると良い。
the GazettEの「紅蓮」のMVで
女の子の大体のイメージがわかる。
彼岸花の花言葉は「諦め」
なお作者はこのシナリオを執筆中に
妊娠が発覚しました。