記憶の片すみと(3)

父が亡くなったあとも2年間
父の実家に住んでいた。
母は長らく専業主婦だったし、私も兄もまだ幼く、
出ていく理由も無かったので、ただそのまま住んでいた。

父は5人兄弟で、姉と双子の弟2人と妹がいる。
双子の弟2人は、双子なのにあまり仲が良くなくて、
陰と陽、善と悪、のような2人だった。

悪の叔父は、
よく祖父と縁側で話し込んでいた。

後でわかったことだが、
父が亡くなる一年も前から
「兄さんが死んだらどうするのか」
という話をしていたらしい。

そんな悪の叔父の計画により
「悪い芽は先に摘んでおきたい」
と言われ、私たちは父の実家から追い出された。

私たちが出た家には、善の叔父一家が住んだ。
これも悪の叔父の根回しによるもので、
善の叔父の奥さんは何年も経ってから
「本当は引っ越すのは嫌だった」と言った。

追い出された私たちは、
母の実家がある高知県へ移り住んだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?