30歳恐怖症
「私をくいとめて」が12月18日に公開になる
その前に東京国際映画祭があったり
一般試写会があったり
いろいろとあるが
私のような地方民にはハードルが高いので
多分、初日に行く事になるだろうと思う
原作は読み終えている
これがどうなるのだろうとワクワクもしている
年齢の設定も少し違うし
多田くんの容姿も違う
どんな風になっているのかが楽しみだ
今の女性はわからないが
私がまだ若い頃には
「30歳」はとても高いハードルだった
まだ女性をクリスマスケーキに例えていた頃である
バブルも経験してそこそこお金を持っていて
海外も行ったしブランドバッグも買ったし
それなりに飲み会に行ったり
無茶もしてきたなぁという時代の中で
30歳の重みというのはとんでもなかった
早い子なら20代半ばまでに結婚・出産を経験する
大卒のバリキャリの子はどんどん仕事に没頭する
そんな同年代の人を見ていて
結婚も出産も予定がないどころか彼氏もいない
高卒で淡々と経理の仕事をするだけの私にとって
30歳はとんでもなく恐ろしいブラックホールだった
30になったら私の価値が半分くらいになってしまう
そんな強迫観念にさいなまれた20代後半だった
男性は30歳を前にワクワクしたり
充実感を覚えることもあるだろう
男女でこの差はなんなんだ一体、と
腹が立つことも多かった
だから20代後半は死に物狂いで
いろいろな習い事を経験した
フラワーアレンジメント教室に通ったり
習字教室に通ったり
着付け教室に通ったり
一番はずっと取りたかった保育士の免許を取ろうと
仕事をしながら学校へ通い始めたことかもしれない
それくらいもがいてもがいて
何かを成し遂げないと明日命が尽きると思うくらい
思いつめていた
30歳になる直前に今の旦那と知り合った
そのまま付き合って32歳で結婚して
33歳で長男を出産した
通り過ぎたらただの「通過点」だった
それがわかるのは通り過ぎた人だけだろう
みつ子が脳内で語り掛ける「A」の存在は
私にはいなかったが
もし彼氏がいないままなら
私の脳内にも爆誕していたかもしれない
「おひとりさま」などという言葉で
独身女性をひとくくりにするのも
まだ「クリスマスケーキ」に例えていた頃の
名残なのかと意地悪な発想もしてしまうが
結婚して出産した後
40代になるのが楽しみだった
40代を無我夢中で駆け抜けた後
50代になるのが楽しみだった
今は60代も70代も悪くないと思う
あの「30歳」に対する恐怖心はなんだったのだろう
それは多分
日本での女性の価値の押しつけ
20代が最高にキラキラしていて
そこを過ぎるとあとは価値がないと決めつけられる
人生80年の時代に
たったの20年でお払い箱にされるのは
失礼な話だ
私が半世紀生きて来て思うのは
年を取れば取るほど
面白くなってくるよ、ということ
もちろん見た目は徐々に年老いてくるし
記憶力も悪くなってくるし
耳も目も疎くなってくるが
それ以上に楽しいことは見つけられるということ
以前、40手前の女性が
20代の女性を敵視していて
自分も負けたくない、と
20代の子が行く店で洋服を買って
「若い」と言われる事を喜んでいた知り合いがいた
私はその頃既に40代で
20代のお嬢さんは可愛いと思っていて
ライバル視したことが無かったので
軽くショックを受けた
ああ、そんな風に張り合う人もいるんだ、と
私は過去には戻りたくない
常に前に進んでいたい
だから今の年齢で
楽しめることを存分に楽しみたいと思う
子供たちの進路や
老後への不安がないわけじゃないが
今が最高に楽しい
映画の中のみつ子と多田くんが
原作通りの恋愛をするのであれば
私はきっと嬉しくてワクワクするだろう
幾つになっても恋愛はできる
一歩踏み出すのがちょっと怖いけど
踏み出してしまえば
後は走り抜ければいいだけなのだ
まだ20代ののんちゃんと
今年30歳を迎える遣都くんの
瑞々しくてちょっと不器用な
可愛い恋愛を
早く観たいと今から楽しみにしている
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