【おっちゃん讃歌・人間讃歌②】やっぱ好きやねん・大阪篇

先日、NHKの『わが心の大阪メロディー』という番組を観た。
何を隠そう、私はこの番組の長きにわたるファンである。
何を隠そう、私の学生時代のゼミ(社会学部マスコミ学科卒なんですよ一応。芝居ばっかやってた学生時代やけど)でのテーマは、大阪文化(など)で、
当時の恩師は大阪学に精通している人なのである。
(※映画と大阪とケルトとお酒がテーマ。え、とツッコむなかれ。売れっ子エッセイストなんですよ)
と話が脱線したが。
やしきたかじんの『やっぱ好きやねん』をT.M.Revolutionの西川貴教が歌うていた。
盛大にツッコんだ。「ちゃうねん」「なんかちゃうねん」

SNSでの感想を拾うとほとんどが絶賛だった。
(まあ、否定的なこと書きませんよね)
でも私はずっとツッコんでいた。
怒っていた?いや怒ってはない。
なんかちゃうねん。それは『やっぱ好きやねん』やないねん。
なんでか。だって、かっこよすぎるねん。だから、ちゃうねん。

やしきたかじん。
御存じだろうか。
浪花の破天荒司会者、てか、歌手。
でもの最期は……あ、正確に言うと、最期の最後は、なんだかとても残念だった。
なんであんな風になってしもたんやろか。
なんかなー。
かっこわるいなー。
ゴラァ百田ァ!
詳細は長くなるからwikipediaとかで見て下さい。
要はお酒関係でも女性関係でも破天荒だったけど、
それが死後揉めたというか、掘り返されたというか……。

前記事でも書いた通り「さみしい(さみしそうな)おっちゃん」に弱かったり、
つい引っかかってしもうたり(過去の話です)
そんな私はJR「大阪」駅で流れる発車メロディーの『やっぱ好きやねん』を聴くたびに思う。

かなしいなー。
さみしかったんかなー。

思ってしまう。
ああ、≪大阪の男≫やなあ、って。
なんていうのかな、昔ながらの、本質的な意味でのね。
おっちゃんに弱く、かつ、典型的・大阪女な血の私は、そう思ってしまうねん。

「大阪」「大阪女」について。
よくわかりやすいたとえで言われるのが
織田作之助の『夫婦善哉』の柳吉と蝶子だ。
ええとこのボンボン(お坊ちゃん)な柳吉さんはふらふらしてて、
よぉ遊びなはって、モテて、本人も女は嫌いやのぉて、
で、ちやほやされることやさしくされることも好きで、
甘やかされて、甘えて、ちょい口もうまくて、
女が放っておけない男的なそんな色気とかわいげがある人。
そう、かわいげ。大阪の男はかわいいねん。
とは、大阪が生んだ最強の女流作家、私が憧れてやまない田辺聖子がよぉ書いてた。
で、しっかりもんの芸者の蝶子は必死に仕事して、「私がこの人をなんとかしたらな」と寄り添う。
浮気されても、きー!とか言いながらも。
そんな大阪女をいとおしむのが新しくは藤本義一、古くは井原西鶴。
あ、藤本義一ぜんぜんあたらしくないけど。

こういう男女観や男女像は現在では通用しなかったりも勿論ある。
男とか女とかジェンダー的なものやフェミニズム的観点が取り沙汰される昨今では
こうして書いたりするのもちょっと考えていかなあかんことでもある。
古い時代のものとはいえ、決めつけはその種の人に毛嫌いされるし、
私も肯定してはしない、好きでもない。
でも、なんか、大阪の、男と、女の、「血」?!
ケンミンショーは大嫌いな私だけれど、なんか、肯定や否定じゃなく、
「わかるなあ」「あるよなあ」(どっか、皆の血の中に)と思ったりするのはある。
ので、こういったもんを書いたりもしている。

たかじんさんや横山やっさんが愛される(いまだに)のも〝そんなとこ(そんな点)〟から、なんやないかなー、って。
わかる? わからん? 好きとか嫌いの話やないで。
そんなたかじんさんの歌は、
歌と、声と、人柄(?)、が相まって、なんか、ええねんよなあ。
好きかと言われると、別に好きかどうかはわからん。
この歌自体は嫌いかもしれへん。
なんやこの女。好かん。
最近の私がしつこく言う「昭和歌謡に書かれる(男目線の)女、なんか嫌」の典型。
(※宮本浩次のカバーについて書いた時【これね】も、同じこと書きましたね。笑)
調子のええ男、ダメ男に振り回されても「やっぱ好きやねん」。はあ?
歌詞内にはどうしても納得できないフレーズもいくつかある。
ん、でも、待て、先ほどから書いている「大阪男」「大阪女」の型やないか。
好かん、というている私は、過去形やけど、過去形やけど(二回言いました)、
同族嫌悪的な面から「好かん」もあるわ、きえー、やだなー。
でも、歌という作品と、声と、歌い方と、あのキャラ、
すべてが相まって、この曲は、なんか、ええなあ、ソウルフルやなー、と思う。
ああ、やはり、大阪の血が、ざわつくのかもしれない。
ほら、天童よしみも上沼恵美子も、泣くやん、泣いてるやん、カバーしながら&聴きながら。
いや、きっと、大阪だけじゃなく、どの地域の人にも、場所関係なく、
なんか、響くって。え、やっぱり、そない響きませんか。わしだけですか?

それをな、T.M.Revolutionの西川貴教が、歌っていたのである。
まあ、企画ですがな、今年の、あたらしい目玉企画。
近年なんかめっちゃNHKお気に入りな西川貴教に、この曲を、ね。
いや、あかんことないねんで。
下手じゃないし。上手いとも思わんけど、上手いし(どっちやねん)
私は何を隠そう彼が一番イケイケだったときに観たり聴いたりしていた世代だ。
ダイスケ的にもオールオーケー! 
まさか最近になってこんな風に再ブレイク(?)するなんて思いもしなかった。
せやけど、なんかな、『やっぱ好きやねん』は、やっぱ、ちゃうわと思ったわ。
かっこよすぎるねん。きれいすぎる、とまでは言わんけど。
哀愁なんて簡単な言葉も使わへんで。
出汁が出てないねん。まだ浅いねん、おでんで言うと。
ちょっとこれ味濃いわ、とか、2個は食べられへんわぁ、みたいなくらいの出汁。
その出汁は、トホホだけどわはは、みたいなさ、おいおい、みたいなさ、
「ちょっとどないやねん」っていう、時にダメダメくらいなものもある、芸と人、ステージから滲み漏れる、滲み、な。
その出汁の成分に大いに含まれる、「ダメダメさ」がないねん。
あかんなあ、どうしようもないなあこのひと、でも、でも……、なとこ。
それはそこは、、色気やねん。
きれいでかっこええ色気じゃない。
でも、どうしようもなかったり、「えー」とか「もー」とか、
その例えば「足りなかったり欠けていたり、どっかで落としたり置き忘れてきたり」な、なにか。
それ。
この曲には。
(年齢的に)おっちゃんじゃなくても、出てる人は出てる、何か。柳吉さんみたいに。(こじつけ)
でも、おっちゃんになればなるほど(嫌でも)見えたり滲んできたりする何か。
この曲はな、やっぱ、そういう出汁が出んと、もひとつよぉないというか、グッとけーへんのとちゃうかな。
だって、たかじんの曲(これ)やねんから。
公私共に、たかじんは、虚実皮膜の間に、見える、見えまくってたんやから。

なんてことを観ながら思いながら、考えました。
前記事【これね】の、「おっちゃん=メンマ」「わしはおっちゃんに弱い」の続きです(笑)

そういや、私的大事な役者さんの引退月間、
女形で観た『ラブ・イズ・オーヴァー』(桂銀淑ver,)は沁みたなあ。
私へのメッセージかと思ったし、私からのメッセージかとも思った。こじつけ。はい痛い。

ああ、私は(ええとか悪いとかじゃなく)大阪人、
このどうしようもない性癖(?)と、ツッコみながらも人をみる目(?)、
大阪魂(?)を、ある意味ひらきなおって、生かして、生きて行くのだ書いていくのだ、
みたいなことも、思いました。苦笑いしながら、ネ。



あ、これ、要約したら「おっちゃんは可愛げがあってそこが色気や、特に大阪のおっちゃんは」みたいな内容に(も)とれるな(笑)
でも、そういう意味(だけ)ちゃうで。勘違いとか、あかんで、おっちゃんの皆さん(笑)


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大阪の物書きでございます。
現在、lifeworkたる原稿企画2本を進め中。
大衆芸能(旅芝居(大衆演劇)やストリップ)や大衆文化を追っています。
下町・大衆文化も好きです。
女2人の立ち呑み旅、連載中。現在第7回まで更新中。
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(理想高すぎるねんけど←これがあかんねんな笑)
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