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「想い」と「想いを実現する能力」両方ある人は稀

医療の現場では、医療者の「想い」で動いていると言っても過言ではありません。

今の時代にはそぐわないのかもしれませんが、自身を犠牲にして、身を粉にしてきた諸先輩方の努力があったからこそ、ここまで医療の技術は発展してきました。

時代は移り変わろうが、患者さんへの想い、というものが医療を動かす原動力であることには変わりありません。

医療者になりたいと思った方の動機は様々だと思いますが、地域住民のために、患者さんのために、貢献したいと思って資格を取ろうとする方も多いのではないでしょうか。

しかし、想いだけで、医療を動かしていくことはできません。

想いの具現化することは非常に難易度が高いのです。

どんなに患者さんを治したい、患者さんのためにこんなことをしたい!と思ったとしても、その想いを実現するための術を持っていないと、それは絵に描いた餅です。

理想を具現化する能力とは、まさしく医療の質の改善のプロセスです。

「こうありたい!」と思う状態をイメージして、そこまで到達するために、現状から何が足りないのかを考える。

そのためには、現状を正しく把握できていなければなりませんし、想いを実現するために必要なさまざまな視点(教育や運用、ルール、安全面など)を持ち合わせていないことには、改善すべきことを見つけることすらできないのです。


逆に、具現化する能力はあるが、患者さんへの想いや理想を持ち合わせていない方も散見されます。

言われたことを実現する能力は高く、期日までにきっちり仕上げることはできますが、0から1を作り上げたり、課題発見や問題発見することは難しい印象です。

具現化する能力は訓練でどうにかなりますが、「想い」を持ってもらうということはなかなかできません。

本人の性格や価値観に左右されるからです。

患者さんはじめ他社への共感能力や、もともとの医療業界に入ろうとする動機など、多様性が尊重される社会だからこそ、この想いを作ったり、伝えたりするということは、難しくなってきています。


経験上、想いと具現化する能力両方を持ち合わせている方は稀です。

そのような方は病院にとっても重宝しますし、現場にとっても非常に有能です。

しかし、想いも具現化する能力も後天的に身につけたり、芽生えたりすることができたとしても、時間がかかります。

そういう場合、やっぱりチームワークが重要となってきます。

想いがある方と、実現する能力がある方がしっかりと信頼しあって共感して組むことで、非常に大きい推進力が生まれます。

だからこそ、品質や経営を担当する部署は、現場のスタッフの患者さんへの「想い」を実現するために、「具現化」を支援することが重要なのではないかと思います。

常に現場の想いを聞いて、それを実現する術を身につけることができるように支援していくことが、これから求められていると感じます。

また、どんなところで働くにしても、「想い」と「想いを実現する能力」を持つことができるように、自身を訓練し、共感する能力を磨いていきたいと思います。

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