オンラインで熱気と盛り上がりを生むためにできる6選【世界のイベント参加実体験談2020年5月版】
オンライン化が進んで、今あなたは主催者として「飽きられていないか?」という不安を抱き始めていないでしょうか?
この記事にはイベントや体験の提供する皆様にとって、オンラインで熱気と盛り上がりを生むためにできることのアイディアを詰め込みました。
私が実際に世界と日本のイベントに参加して集めた最新事情の「体験デザイン」という視点からのまとめです。
フレームワークではなく、個別具体的な実例なので、すぐに活用できるものばかりだと思います。
よかったらお役立てくださいませ!
では早速、具体例を6つあげていきます。(長文なので、フォローしていただき、後ほど読んでも良いかもしれません)
YouTubeには代替できない特別体験
メキシコ人が主催するAirbnbオンライン体験に参加しました。
一番感動したのは、圧倒的なウェルカム感です。
自然とオンライン世界への没入感を感じられる演出で、始めからグッと引きつけられました。
家の前の通りを歩いて家のドアに近づいていく生中継の映像。
ドアに寄ると、ドアには「ようこそ!ももえ!」という紙が貼ってあります。
自分の名前を見ると、「歓迎してもらってる印象」が強まります。
カメラから見える視線は自分が歩いているように見える高さ。
自分がドアを開けて、会場に入っていくような気分にさせてくれます。
「どうぞ私のお家に入ってください。あなたのソファーはこちらですよ。」
そのソファーに座った想像を働かせて没入していると、目の前のお香の香りまで想像できるような気持ちになってきました。
参加者がその世界観に浸れるような誘導が素晴らしかったです。
個人と個人が友達のように繋がることを大事にしている、体験のプラットフォーム、Airbnb体験(オンライン)。
おうちに招かれるというLive中継から始まる「体験」は、友達のように招かれたい参加者の期待を汲んだ素晴らしい演習だと感じました。
(写真:Airbnbオンライン体験の一つ、メキシコの郊外の先生の瞑想会に参加した時の様子。参加者はロンドンの女の子と私の2人)
主催者は参加者が雰囲気に没入できる大小のきっかけを用意してあげると、YouTubeなどの動画を見ているだけとは違う価値のある体験になると感じました。
また、地図を用意してくれるとプチ旅行に行った気分になることも気が付きました。
遠方からの参加者もいる場合は、「今日は東京から中継します!」と地図も使いながらの体験提供、検討してみてくださいね。
日本全国から参加者がいる場合には、日本地図を用意して画面上で今いる地域にピンを落としてもらうのも面白いかもしれませんね。
Zoomのホワイトボード機能でできそうです。
体を動かすと、笑顔が生まれる
ミニゲームや簡単な手遊びで体を動かすことで、驚くほどみんなの表情が明るくなります。
オンライン疲れの原因は、映像(視覚)と音声(聴覚)しか情報がないからだという体感がある人も多いはずです。
(写真:アイスブレイクにも休憩にもなる、体を使った単純な遊び。隣の人と手を合わせてみよう!「○○さんもう少し右です!」などと言っています。参加者は日本人9名)
話を聞く時間が長かったり、頭を使うようなセミナーなどでは、身体を使うワークを取り入れてみてはいかがでしょうか?
一人で出来るストレッチより、参加者同志で会話が生まれるような運動が楽しかったです。
「場」の雰囲気をオンラインで作る【会場編】
場の雰囲気作りが素敵だと感じたイベントの例を2つご紹介します。
①会場が想像できる映像
お寺が主催しているとあるオンライン坐禅会に参加して感動しました。
というのも、イベント開始と同時にZoom画面にカッコいい動画が流れてきたからです。
会場に歩いて向かっているような気分になる画角。
門からお寺に入って、豊かな自然を眺めながら歩いて会場に入る様子。
そのビデオでお寺の様子を見てから体験した30分の坐禅は、自分がその会場にいることを想像しながら参加できる楽しい時間でした。
先ほどのドアに名前を書いて歓迎する事例は、大人数だと実行しにくいですが、
会場のPV(または世界観が伝わるコンセプトビデオ)を作成するのは、どんな規模感の催しにも活用できそうですね。
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参加者が想像上で会場にいるような気分を作れると、オンラインでも没入感と気持ちの盛り上がりが湧いてきます。
**自宅で過ごすことが多い今は、特に満足度に直結すると感じました。
場所への誘い(いざない)という視点は盛り上がりを生む上でキーポイントになりそうです。
(このオンライン坐禅会は定期開催で参加者は日本・アメリカ・香港・ヨーロッパ他50~100名程度/日本語&英語バイリンガル開催)
「場」の雰囲気をオンラインでも作る【人編】
②他の参加者に仲間意識が芽生える
「どこからですか?」「そちらは晴れてますか?」
などと無駄話に思えるような声掛けが主催者からあると、どんな人が参加しているのか想像ができます。
合理的なコミュニケーションが相性が良い、情報商材のようなセミナーではここまでの巻き込み方は過度かと思います。
ただ、人を含めた「場」の居心地が良いということが体験価値に繋がるような性質のイベントにはおすすめです。
こうした主催者からの声掛けで、どんな人が隣に座っているのかが想像できます。
正直に言うと、あるイベントで一言目の"無駄話"が始まったときは、冗長に感じてしまいかけた私でしたが、
1時間のイベントが終わるころには印象はすっかり変わっていました。
ご一緒した参加者達に囲まれていたような、自然と「場」の雰囲気に癒されていたような気持ちが芽生えていました。
日々の会話がZoomだと効率が良い面もありながら、余白がなくて心を失いがちな気持ちになることもあるのではないでしょうか。
参加者が人間味を求めている場合は、参加者同志が知り合えるように声をかけてあげるのも良さそうです。
(オンライン瞑想会。参加者は日本・シンガポール・アメリカ・ロンドン他40~60名程度/日本語&英語バイリンガル開催)
始まる前にワクワク感を高める
事前の連絡は業務連絡だけでなく、世界観に触れられるコンテンツが届くとワクワク感が高まります。
例えば、ベルギー人が主催するAirbnbの体験に参加した時には、
自分が好きな名言を紹介するね!と主催者から事前メールが届きました。
"笑うと病気にならないんだよ!"という主催者の世界観に触れてから参加したので、
テンション高めで臨んだ方が楽しそうだな、と気持ちを作った状態で参加できました。
オンラインイベントはリアルの場でのイベントより短時間で開催している方も多いと思います。
集中力の関係で短時間の方が総合的な満足度は高そうですよね。
ただ、仮に1時間のイベントだと、ようやく気持ちが盛り上がってきたところでおしまい、という残念な気持ちも味わうことがあります。
(写真:序盤からぬいぐるみを見せながら自己紹介する人、筋トレマシーンを写す人と全員テンション高めで開始したのは、恐らく事前メールの影響もあると仮説を立てています。参加者:ベルギー・ロンドン・フランス郊外・スイス・アメリカCA・シンガポール・韓国・私日本の10名)
参加側としては、どういうテンションで当日を迎えたら良いのか事前情報がもらえていると、出だしから温度を合わせやすいです。
序盤で温度感が合っていると、参加者のテンションへの着火が早いのです。
その結果、全参加者が初対面同志でのイベントでも熱気と一体感を生むことができると感じました。
事前に予習できることや、あらかじめ知っておくと満足度が上がりそうなものがあれば事前にシェアしてみるのはいかがでしょうか?
入室と同時に特別ビデオで迎えてくれる
ある坐禅会で「5分前に入室してお待ちください」と事前案内に書いてありました。
その5分間はビデオが流れていて、坐禅前に心を整えるのによい時間になりました。
ビデオの内容は会を楽しむための説明でした。
・ミュートにする/ビデオはONにしてほしいなど事務連絡
・用意する物の確認
・空間が1m×1mあるといいですよという居心地の良さを作る案内
(動画:ビデオはイメージです。私が主催する「食べる瞑想会」での開始時刻まで流しているビデオ)
待ち時間を活用しビデオを通して確認を促すことで、
イベント開始後に繰り返し事務連絡をする必要がなくなります。
イベント開始直後の説明が長くて退屈に感じると、退出してしまうこともあります。
オンラインだとクリック一つで離脱できてしまうので、イベントの本題に速やかに移るということも大事だと思います。
この坐禅会は交流ではなく、体験を目的としていたので、
数分間ビデオを見ながら気分を落ち着けておいて、境目なく静かにイベントが始まる演出に感動しました。
リアルの場での体験だと会場に向かう道中で、段々とモードを切り替えられるけれど、
オンラインだと直前まで日常モードなので、参加者としては切り替えが難しいですよね。
5分前入室でビデオを見ているうちに日常モードから切り替えられるという演出は満足度高いです。
また、大人数のイベントで早めに入室してしまった人は待つ間、気まずい思いをしている可能性があります。
体験デザインという視点から見ると、「待たされている時」に満足度は急降下するので注意です。
テンションを上げるのも、落ち着いた雰囲気を作るのも、
オンラインで参加者の気持ちを盛り上げ満足してもらうという目的は同じです。
待ち時間の雑談が満足度を下げてしまいそうな場合には、心の準備ができるようなビデオを待機中に流すというのは相性が良いかもしれませんね。
(オンライン坐禅会。80名程度)
まとめ:新しい時代の体験デザイン
以上、世界と日本の最新事情を中心に、実際に開催されているオンライン体験から学んできた、「熱気と盛り上がりを生むポイント」を6つご紹介しました。
あなたが提供しているものがイベントや体験でも、そうでなくても、新時代の体験価値をデザインするという視点で参考になる部分があったのではないでしょうか。
コト消費志向の消費者が増えている現代では、顧客との接点がある時間は全て体験と呼んでもいいと私は考えています。
どんな業界の方も、体験をデザインしていくという視点で読んでいただけたら幸いです。
何か一つでもあなたが新しい時代の「体験デザイン」をするにあたって、ヒントになることがあれば嬉しいです。
シェア・拡散歓迎です^^
著者プロフィール
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ももえ@体験デザイナー
●体験デザイン駆け込み寺
デジタル時代に「価値の高い顧客体験」を作り出すための、体験と時間のデザインをお手伝いします。
お気軽にご質問・お問い合わせくださいませ!
●活動:禅とマインドフルネスの国際カンファレンスZen2.0体験デザイン担当(今年はオンライン開催)/食べる瞑想会主催/マインドフルクッキング/ボーダーレスクッキング代表
オフライン体験提供実績:100回250名以上/オンライン体験提供実績:20日間で35回開催100名参加
●住んだことがある土地:山形/インド/エジプト/現在東京
●好きなこと:マインドフルネス
●経歴:
旅雑誌TRANSITの編集社
⇒星野リゾート(体験時間のデザインとブランディング/ウェルネス分野で文化体験に付加価値を付けるお仕事)
⇒インド移住
⇒カフェ出店
⇒Cookpad(料理動画製作など)
⇒独立