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『落研ファイブっ』第二ピリオド(16-2)「急所」
〔多〕「井原姉妹を両方下げて、フィクソ(DF)をワントップのタワーに変えるとはな」
餌をフィクソ(DF)に入れ、今井を長門と交代させた『落研ファイブっ』を見て、『かしわ台コケッコー』もメンバー交代をしてきた。
〔長〕「あれ、交代した女の子ってかなりのアスリート系。これは誤算」
三元が七月にウザがらみした跡出悠が、左アラに収まる。下野の女版のごときプレースタイルに、ベンチに下がった長門が目を丸くした。
〔多〕「参ったな。政木と服部はフェミニストが裏目に出て使い物にならんし。飛島君は戦術分析官枠で名簿に書いたから出せないし。井上君大丈夫」
〔井〕「俺が今の所出来るのはゴレイロ(GK)だけですが」
試合未経験の井上が念を押す。
〔多〕「天河君をフィクソ(DF)に上げて下野君をベンチに下げる」
その言葉に飛島がペンを動かす手を止めた。
〔飛〕「下野君、みんなで出来る最後の試合だから全部出るって」
〔多〕「元日本代表の荒屋敷さんが、二学期からサッカー部の監督に就任する。万が一にも怪我をした状態で送り出すわけにはいかん。この試合はどうあってもうちが勝つ」
〔飛〕「そんな」
飛島の曇り顔に関わらず、多良橋は下野をベンチに呼び戻した。
〔下〕「何でっすか俺めっちゃ頑張ったし。父ちゃんも母ちゃんもあーちゃんも来たのに」
〔多〕「第二試合以降はスーパーサブで出す」
〔下〕「俺全部の試合で活躍したいっす。今日はまだ点取ってないし」
〔多〕「だから第二試合以降で点を取れって。桂先生が荒屋敷さんと山下君を連れて、第二試合から視察に来るってさ」
〔下〕「本当っすか!」
多良橋の言葉に、下野の顔が一気に明るくなった。
試合終了まで残り四分弱。
落研ファイブっが三対一での勝利を確信した瞬間、天河が大きなバツ印を作った。
〔多〕「政木、天河君と交代。れんちゃんがいないなら普通にプレーできるだろ」
慣れないフィクソ(DF)で太ももを痛めた天河を下げたとたん、『かしわ台コケッコー』が動いた。
〔多〕「政木の弱点完全に読まれてら」
井原れんをワントップのピヴォに置くと、残り三分となった『かしわ台コケッコー』が前がかりに攻めてきた。
〔仏〕「井上、ロングフィード」
井上がバスケ仕込みのロングスローを放つも、中盤で拾われる。
〔仏〕「今井君、走って」
〔今〕「ちょ、もう無理かも」
さすが野球部アルプス席在籍らしく、スタミナ不足の今井。
〔大〕「れんちゃん、今だっ!」
今井とかみ合わない仏像がもたもたしているすきに、大和が仏像の背後にロングボールを蹴りこんだ。
〔仏〕「井上、蹴り出せっ」
完全に後れを取った仏像がコーチングするも、ボールに向かった井上とれんの体がぶつかって――。
〔うい〕「れんちゃん! れんちゃん!」
スライディングしてきた仏像の腹の上に崩れ落ちたれんは、ぴくりとも動かなかった。
※本作はいかなる実在の団体個人とも一切関係の無いフィクションです。
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