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デコレーションケーキ的発想とシフォンケーキ的発想

ドイツに1週間滞在していた時に、何かを解決するために日本はデコレーションケーキ的発想をするのに対し、ドイツはシフォンケーキ的発想をすることが多いと感じた。


例えば、トイレ。(ケーキの後、トイレの話題ですみません)

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これはドイツのホテルのトイレなのだけど、とてもシンプル。あまりにも無駄がなくて、でも必要な機能は備わっていて感動を覚えた。

水を流すトイレのボタンは凹凸のデザインの大きさで、水を流す強さが表現されている。そしてトイレットペーパーのスペアは足元の壁から斜め上方向に出た銀のスティックに備え付けられている。他のトイレに入った時はトイレットペーパーのスペアがセットされていなくて、「この銀のスティックは一体…?」と疑問に思ったけれど、セットされている状態を見て合点がいった。補充も取り出すのも楽だし画期的なデザイン…!トイレットペーパーホルダーの奥にあるのは、サニタリーバッグ。箱のティッシュペーパーのようにここからビニール袋を取り出す仕組みになっている。


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こちらは洗面台。新たにタオル掛けをつける、のではなくて台をくり抜く、という発想なんですね!ティッシュもタオルもすっきりと収納されていて、使い勝手も良い。


一方、日本のトイレは至れり尽くせりで、とにかく文字が多い。そして機能が豊富。水を流す強さは「大」「小」で表されているし、便座はあたたかいし、こんなに使わないなーというほどいろんなボタンがある。フタが自動で閉まったり、トイレの中の水が光ったりするものもたまにあって、トイレだけでもうエンターテイメント化してる。そしてデパートなどのサニタリーボックスは、手をかざすだけでフタが開くハイテクなボックスになっている。ここまでトイレにこだわっちゃう日本って面白い国だなぁ。


多機能な炊飯器など家電もその傾向があるけれど日本はとにかく「足して」良くしようという発想をすることが多い国だと思う。ケーキにはイチゴも、ベリーも載せちゃう?砂糖でできたお人形も、ろうそくものせて、ホイップクリームはカラフルに!!といった、盛り盛りのデコレーションケーキ。

一方ドイツは、シンプルなシフォンケーキ。飾りは添えたホイップクリームだけ。飾り立てないからこそ素材の良さが際立つ。あれもこれもと加えるよりも、素材と味が何より大事でしょ、といったイメージ。引き算の美学がある。(社会や仕組みのデザインのイメージ。建築などはドイツの方がデコラティブ)


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ホテルの朝食のバイキング


それから、ドイツでは2つのホテルに泊まったのだけれど、どちらも「朝食券」がなかった。ロビー近くの朝食会場は、入り口でルームナンバーをチェックされるわけでもなく、朝食券もないので誰でも侵入可能だ。でも、バイキングで何を食べようか選んでいる時にたまにルームナンバーを聞かれる。毎日ではなく3日に1回ぐらい聞かれて、「こうやって管理しているのか〜」と納得した。全員をくまなくチェックするのではなく、抜き打ち検査をすることで管理している。完全に滞在者以外の侵入を防ぐよりも、手間を省くことと資源を守ることを優先するという発想なのではないだろうか。日本だったら朝食会場の人の管理は、朝食券を「足す」ことで解決することが多い。


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電車も似たような発想だった。日本のように改札機はない。これには本当に驚いて、ちゃんと道順に歩いてきたはずなのに改札を通らないままホームまで来てしまい最初は訳がわからなかった。(切符はホームの階段にある打刻機を通すシステムだった。でも現地の人は定期券のようなものを持っているのだろうか、この打刻機を真面目に通しているのは私たちだけのように見えた)正直、無賃乗車できてしまうほどゆるゆるに思えた。でもたまーに抜き打ちで車内検査が入って、無賃乗車の場合は罰金になるのだそう。日本にいると改札があるのが当たり前と思っていたけれど、改札がなくても社会は回るのだ。ないならないで、電気も人手も少なくて済む。ドイツがエコの国と言われるのは、マンパワーも含めての省エネルギー思考も理由のひとつなのでは、と思った。でも改札があってあんなに多くの人が行き来していて、電車の遅延も少ない日本って異常にすごくないか…とも思った。


モノやサービスを充実させることで日本は経済を回している。多様な文化や外食産業は日本ならではの素晴らしさがあり、世界に誇れるモノだとも思う。でもドイツから帰ってきてから、ふとした時に思うのだ、「ないならないで、問題ないものもある」と。日本にずっといると、とにかくなんでも多く持っている方がいい、何かを「足して」解決しよう、という思考になりがちになる。しかし「引く」ことは失うだけではなく、それと引き換えにゆとりやシンプルな美しさをもたらす。ドイツに行ったことは限られた時間、空間のなかでの豊さとはなんだろうと考えるきっかけとなった。デコレーションケーキにしか出せない華やかさもあるが、シフォンケーキでしか味わえないスポンジの味もある。





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