読書感想文「燃えつきるまで」唯川恵著
恋も仕事も順調だった31歳の怜子は、5年付き合い、結婚も考えていた耕一郎から突然別れを告げられる。失恋を受け入れられず、苦しむ怜子は、最優先してきた仕事も手に付かず、体調を崩し、精神的にも混乱する。そして、友人の「好意」から耕一郎に関するある事を知らされた怜子は・・・。絶望から再生までを描き、誰もが深く共感できる失恋小説。
裏表紙に書かれた通りの小説です(苦笑)
306ページと、厚すぎず薄すぎず絶妙なページ数ですが、めちゃくちゃ読みやすいです。
私、一気読みしちゃいましたから。
まぁ、この作品は完全に女性向けの作品ですね。
あなたの恋愛観を問う問題作とありますが、
私は共感できました。
たぶん、同じ女性でも
「それは、さすがにやりすぎでしょ」って思われる方もいらっしゃると思います。
でも、私はそうは思いませんでした。
私がこの小説を読んで一番感じたことは
優しさは罪
ということです。
これは、男女どちらに対してもです。
よく、
「あなたは(君は)悪くない。」「あなたの(君の)せいじゃないの」
とか
「どこが悪いとか、そんなんじゃない」とか
「好きだけど、恋人としてみれない。」「恋愛対象としてみれない」
まぁ、いろいろな理由がありますが、
これらは、相手を余計に傷つけるセリフだということです。
たしかに、これらの理由は嘘どころか、本心なのでしょう。
本当にそう思ってるから、そう言っただけ。
だけど、言われた方は、それじゃあ納得いかないことがほとんどだと思います。
うーん。納得いかないっていうか、まだ、やり直せるチャンスあるかも。とか、恋人になれるチャンスが残ってるかも。って
どっちにしても、そうそうスッパリ好きな気持ちを断ち切ることはできない。なんなら、ほとんどの場合、引きずると思います。
っていうことを、この小説を読んで改めて感じましたね。
だから、私は主人公、またはサブキャラさんのとった行動についても、大げさだとは思いません。
それどころか、主人公を振った耕一郎はもっと痛い目に合うべきとさえ思うくらいです。
なので、私てきにですが、恋人になれないのなら
キッパリ、バスっと
「恋人にはなれない。これからもその可能性はない。」くらいのことを言った方がいいかもしれません。
まぁ、言えないだろうけど。。(苦笑)
だって、まぁ、キモい人でない限り、自分に好意を持ってくれてる人を傷つけたくないですもんね。
ああ
恋愛って難しい。。
だけど、この小説は裏表紙にも書いてある通り、絶望から再生までを描いてます。
ある意味、私は主人公が羨ましいと思いました。
そこまでやったからこそ、次にいける。
たぶん、主人公のようなことは、誰もができることじゃないと私は思います。
また、やった方がいいとも思いません。(読めばわかります(苦笑))
だいたいの人は、自分の中でじわじわと失恋を消化し、癒し、再生していく人がほとんどでしょう。
だからこそ、余計に引きずる。
でも、主人公はえてしてそうなってしまったというところもありますが、けど、決して人ごとでもない。
誰もが主人公のような行動をおこす可能性は十分にあるのです。
それも全て、私は
耕一郎の優しさゆえの罪だと思います。
残念ながら、恋が叶わなかった人。
それがたとえ片想いであったとしても
この小説はおすすめです。