【ももたろレビュー】ドラマ#1『チェルノブイリ -CHERNOBYL-』
1)あらすじ
1986年4月26日、ソ連のチェルノブイリ原子力発電所で大規模な爆発事故が発生。
科学者レガソフ(ジャレッド・ハリス)、政府高官シチェルビナ(ステラン・ステルスガルド)、物理学者ホミュック(エミリー・ワトソン)らは真相究明と被害拡大防止に奔走する。
彼らは政府の隠蔽工作や放射能の脅威と闘いながら、命を懸けて事故の真実を明らかにしようとするのだった。
2)ももたろレビュー
チェルノブイリ原発事故による悲惨な影響、市民の犠牲、そして真実を追求する勇気を描いた、実話に基づくドラマである。
唯一の核被爆国であり、原発事故を起こした過去があり、そして燃料資源の産出が乏しい日本という国に住む上で、原子力発電から目を背けて生きることは出来ません。
私も東北に住む人間として原発事故の恐怖は骨身に染みています。
このドラマはそんな原子力発電所の事故を極めて真面目に、妥協なく描いたものであり、事故現場の状況や高線量に晒された人々の描写からは目を背けたくなるほどです。
でも、面白い。
この面白いというのは適切な表現ではないかもしれません。
楽しいという事ではなく、このドラマには興味深いストーリーと緻密な状況描写をもって視聴者をラストまで導く極めて強い力があるという事を言いたいのです。
主人公である科学者ヴァレリー・レガソフに扮するジャレッド・ハリスの演技も素晴らしい。人類史上にない未曾有の事故に対応させられるくたびれた科学者を見事に演じています。
空気を読まないレガソフに最初は苛つきつつ、少しずつ関係が変化するボリス・シチェルビナ副議長を演じるステラン・ステルスガルドがその脇を固めます。
そしてキーとなるのがエミリー・ワトソン演じるウラナ・ホミュック博士。
ドラマ内で主に事故対応に従事するヴァレリー博士やシチェルビナ副議長は実際の人物です。
しかし現実の事故対応においては、さらに多くの科学者達が彼らを支えました。そうした科学者達を象徴する存在として創作されたのがホミュック博士なのです。
こうして登場人物を絞ることでチェルノブイリ原発事故を知らない視聴者にも分かりやすく物語が進行していきます。この点も見事という他ありません。
第1話の原発事故当日、異様な混乱に巻き込まれる職員や市民達。
第2話から始まる事故対応と検証。
そして第5話における極めて分かりやすい真相究明とその後の顛末まで無駄な描写は一切ありません。
のんびりとゆるく視聴できるドラマでは決してありませんが、腰を据えて観るとここまで完成度の高い作品は中々ありません。
お勧めいたします。
本日はももたろおすすめの海外ドラマをレビュー形式で紹介してみました。
もしこの記事がきっかけでドラマに興味を持っていただければとても嬉しく思います。それほど衝撃を受けた作品だったのでした。
今日も良い1日を。