地方に"長期インターン"の文化を根付かせる。COMPUS CEO 「藤田圭一郎」さん。
”地方学生にとって長期インターンという選択肢を
当たり前の未来に”
ももスタのコーディネーターとして起業家支援を行い、2020年10月に地方学生に長期インターン文化を根づかせる「COMPUS」を立ち上げた起業家 藤田圭一郎さん。
この活動にかける想いは、自らの経験や、起業家支援的な働きをしていく中で課題を見つけたから。
起業家として自分自身がいろいろなことに挑戦しながらも、これからの時代を生きていく学生たちの挑戦をサポートしたい。
そんな、熱い想いを持っている、藤田圭一郎さんに「COMPUS」を立ち上げたきっかけや起業に至る前の経緯、またコーディネーターとして、ももスタでの起業支援について取材させていただきました。
「COMPUS」を立ち上げた想い
ーーどんなきっかけで「COMPUS」をはじめられたのですか?
もともと、起業の相談などを受ける中で、起業に興味のある学生は東京などの長期インターンを希望している学生がいることを知りました。
実際に、大学を休学して長期インターンに参加した学生もいましたし、インターン経験でさらに成長した姿を目の当たりにさせてもらいました。
実は僕自身も15年前、インターンの経験をしたことがあります。
関西に、まだ長期インターンという言葉がなかったころ、スキルアップするバイトをしたいなと思っても探す方法が見当たらず、たまたま起業セミナーに登壇されてた、ベンチャー企業のウェブシャークの社長に直談判し、インターン生として仕事をさせてもらいました。
テレアポや飛び込み営業の機会を頂けたことが僕の起業家としての礎になってると感じています。拾ってもらえて本当に運が良かった。
今の岡山は、僕が経験した15年前の関西の状況と似ていたんですよね。
岡山に住んでいる学生は、東京や関西に簡単に行ける環境の人ばかりではありません。
何かに挑戦したい学生のために岡山に住んでいてもスキルアップできる経験ができる環境があったら「東京に行かないと長期インターンができない」「長期インターンのためには、休学して東京に行かないといけない」といった学生の悩みを解決できるなと。
そういった想いのもと、地方の学生のために作られた長期インターンシップ求人サイト「COMPUS」を立ち上げました。
「COMPUS」で行っている具体的な取り組みは、長期インターンシップによって学生との接点を持ちたい企業と、自分のキャリアに対して意欲のある学生をマッチングし、長期インターンをサポートしています。
"インターン生だけ"で事業をつくる
ーーCOMPUSはインターン生だけで事業を作ったと伺いましたが、インターン生に事業を任せることに不安はありませんでしたか?
インターン生を信用し、社員と同じ裁量を渡しているのですが、学生のパフォーマンスが高く素晴らしいので不安はありませんでした。
取り組み自体が学生の課題を解決するためのものなので、ユーザーの声も拾いやすく、インターン生がいることを前提として事業を設計しています。インターン生でも出来るではなく、"インターン生だから出来る”事業にしていくことが重要だと考えています。
今はインターン13名が事業に関わってくれているのですが、僕自身がインターン生から学ぶことが多く、一緒に働けば働くほど仕事における学生と社会人という区別はないと感じています。
自分一人や大人と仕事をしていると、「まぁ、いいや。」となあなあにしていたことや後回しにしていたことなどに対して「これなんの為にするんですか?」「これって本当にユーザーの為になってますかね?」とかピュアに質問されたりするんですよね。
毎回本質に立ち帰らされて背筋が伸びる気持ちです。社会人に、負けず劣らずとも違う、そもそも若者の方が優秀だと本気で思っています。
僕も「COMPUS」のCEOとして、ビジョンを掲げ、インターン生もそれに向かって頑張っている分、責任感も増しますね。
ーー長期とはいえインターン生は一定期間でやめてしまいますが、企業側のメリットはあるのでしょうか?
「インターン期間が終わるとやめてしまうから、人材が定着しない」と思う企業もあるかもしれませんが、もし大学1年からインターンにきて、卒業までいてくれたとしたら4年ですよね?
一般企業で社会人として採用した場合、3年以内にやめる新卒が多い。そう考えると社員よりも活躍する可能性もあるのではないかと思っています。
大前提としてインターン生は在籍中にしっかりバリューを出してくれるのですが、彼らに「よい経験ができた」と思ってもらえたらそれ以上のものが卒業して5、10年後に返ってくるかもしれませんよ。それこそ仕事をくれたり(笑)
なので、僕自身もインターンを受け入れる上で、学生の成長にコミットしています。
若者に投資することは、自分の5年10年先の人生を豊かにするための有効な打ち手だと思います。
起業したいと思っている学生に伝えたい事
ーー藤田さんは”ももスタ”のコーディネーターとして起業家支援もされていますが、COMPUSの事業は起業家育成とつながるものもあるのですか?
COMPUSは起業家育成の文脈ではないですね。
起業したいと考えてる学生がいるとしたら、すぐにすればよいと思っています。
なぜなら、学生の内はリスクが少ない。30代半ばにもなると学生の時より確実にリスクがあるわけです。5年前より今のほうがハイリスク、リスクって1秒1秒増えていきます。
それにリスクと向き合う力、コントロールする力を養うことができるという点も起業のメリットです。これは生きていく上で結構大切な事だと思ってます。
起業に挑戦して、挫折や失敗があるかもしれませんが、リセットして会社に就職したり、選択肢はあります。
僕が今学生だったら休学して学生という肩書きを残した上で起業しますね。
自身の学生時代について
ーー藤田さんご自身はどんな学生時代を送っていたのですか?
また、学生の時から起業家になりたいと思っていたのですか?
幼いころから「人と違うことがしたい!」「自分は特別でありたい」と思って、小学校の卒業アルバムに誰も書きそうにない「社長」が思いついたんですけど、あえて「実業家」と書いてましたね。
そこから起業に向けてまっすぐに進んでいたかといえば、そうではなく紆余曲折。公務員になりたい時期もあったり、法学部で学び、弁護士になりたいと思ったりした時もありました。
ただ、いろいろ考えた上で起業したいなと、うっすら感じていました。
大学3年生くらいから明確に起業を志し、ベンチャーでインターンをしましたし、大学が主催する起業家育成プログラム的なものにも参加していました。
でも、就活していくうちに同調圧力に負け、波にもまれてしまって。
なんとなく周りのみんなと一緒に就活をして大学卒業後は、大阪で一般企業に就職しました。
社会人になってからは、バリバリ仕事というよりスノ―ボードにはハマり、休みも多い会社だったので、夏は室内施設でトレーニングしたりして一年中スノーボード中心の生活を送ってました。雪の上で死にたいと思うくらい。笑
スノーボードはお金もかかるので、スノーボードのために働いているって感じでした。
けれど、けがをしてスノボができなくなってしまい、働く意味を感じなくなって、仕事も辞めました。
仕事自体にやりがいを感じてなかったんですよね。
大好きなスノーボードも出来なくなったし、そろそろ起業してみようかと今まで趣味に向けていた情熱をプログラミングの勉強に注ぎました。
大阪での起業も考えたのですが、起業のネタもなく、実家のリソース使ったほうがよいなと思い岡山に帰りました。
岡山に帰ってからは、WEBサービスを開発・運営していましたが、WEBやプログラミングが好きな人と出会う事がほとんどなく、同じ趣味を持つ仲間が欲しかったので、シェアハウス「ギークハウス岡山」を立ち上げることにしました。
(↓当時の、地元メディアに頻繁に取り上げられていたシェアハウス)
ギークハウスというシェアハウスを立ち上げてメディアにも頻繁に取り上げられて、自分が欲しいものを一生懸命つくっていたら、、周りから「○○の藤田さんですよね?」と言われ始めて。
そのとき、何者かどうかは他者が決めるんだなと感じました。実際、今も自分自身は何者でもないと思っています。
「何者か」になろうとしていた自分
SNSなどで個が可視化される時代、「何者かになりたい」と思ってしまう時もあると思います。
僕も学生の頃は他者から「何者」とも思われてない自分に焦りを感じていました。
しかし、「自分は何者なのだろう?」「何者かになれるのかな?」と、不安に思わなくても、3年ほど本気でがむしゃらに走れば、だいたい何者かになるんですね。
実際、スタートアップ支援に関わって3年を超えて、起業支援者というイメージで見られることも増えてきました。
10年あれば、3回くらいはがむしゃらに頑張れるチャンスがある。いつのまにか何者かになってます。焦らなくていいんだよ!と学生時代の自分に伝えたいですね。僕自身もまだまだ何者にでもなれると思っています。
ももスタを起業家が育っていく場所へ
ーー起業家でもあり、ももスタのコーディネーターとして起業者支援もされている藤田さんの今後の展望についてお聞かせください。
ももスタのコーディネーターとして、スタートアップの文化を岡山に定着させ、起業家が集まる場として裾野を広げるために、高校生や、eスポーツ、教育などいろいろな分野のイベントを企画開催しました。
これから次の段階は、ももスタから起業家が育っていくことが重要だと考えているので、そこに注力していけたらと思っています。
特に、アクセラレータプログラム「飛行船」に力をいれていきたいですね。
ももスタの取り組みでフォローしきれない部分は、個人的に起業家に必要なモノや人を繋げる支援を行っています。
ももスタが起業家にとって必要とされる場になる為に尽力していきたいです。
また、起業家としては、挑戦することが尊いと思っているので、自分自身も挑戦を続けていきたいと思っています。
心身共に健全な状態で、リスクをとれるマインド、挑戦する気持ちを大切に、「地域の学生の価値を最大化する」というビジョンを叶えるために前を向いて進んでいけたらと思います。
取材を終えて
起業家でもあり、起業支援のアドバイザーもされてる藤田さん。
筆者は緊張しながらインタビューに挑みましたが、「僕自身は何者でもないので...」と謙虚な姿勢で、一つひとつの質問に丁寧に答えていただきました。
ももスタで藤田さんに起業相談をされた方に、相談後の感想を聞いた際、「やりたいことが明確になりました!」「とても話しやすい方でした!」「こんなビジネスを始めたい!と思ったらまず藤田さんに聞いてもらっています。」という声がありました。
インタビューしながら、私自身も「他にも聞いてみたい!」「こんなことも教えてもらいたい!」と思える”なんでも言える””話しやすい”雰囲気を自然に作ってくださり、多くの起業家に支持されている理由が分かりました。
また、挑戦するという姿勢を大切にされているという藤田さん。
「挑戦したくないと思う時はありますか?」という質問もさせてもらったのですが、「挑戦することで、今の自分のままではいられなくなるかもしれないという怖さはあります。ただ、それ以上に挑戦する気持ちを持てていることへの感謝があります。」とお話されました。
藤田さんは自分が挑戦する意欲が無くなった時を想像すると恐怖でゾワっとするのだそうです。
挑戦することで失敗したらどうしよう?とネガティブなことを考えてしまいがちですが、挑戦した後のその先はどんな世界が見えてくるか?
その挑戦はがむしゃらに頑張れるチャンスかもしれない!
そんなことを自分に問いかけながら、「もっといいことになるかも?」という視点があれば前向きな気持ちで挑戦への一歩を進んでいけると感じました。
また、起業家として様々な挑戦をし続ける藤田さんだからこそ、当事者意識をもちコーディネーターとして起業家ファーストの視点を持って起業支援のサポートが出来るのだと思います。
岡山にいても、学生が様々なことに挑戦できる環境をつくり、起業家としての熱い想いと挑戦が次なる起業家を生み出し、ももスタを拠点に岡山からたくさんの起業家が生まれ育っていくのだと確信しました。
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