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「オーディオストック」ができるまで。音楽×ITで音楽家を支援する西尾周一郎さん。
「好きなことを仕事にしたい」
そうお考えの方は多いのではないでしょうか?
今回、取材したのは、「株式会社オーディオストック」の代表取締役社長、西尾周一郎さんです。
「株式会社オーディオストック」は、「音楽を生み出す人をハッピーにする」という理念のもと、音楽とITを組み合わせ、音楽クリエイターを支援するサービスを運営しています。
そのうちの1つが、ストックミュージックサービス「Audiostock」。
プロ、アマチュアを問わず、作った音楽を投稿し、販売することのできるサービスで、音楽クリエイターの収益の最大化を目指して運営されています。
ご自身も音楽がお好きで、音楽家を支援する活動をされている西尾さんに、
音楽との出会いや、現在の活動を始めたキッカケについてお聞きしました。
音楽に親しんで育った幼少期
ーー音楽と出会ったキッカケは何ですか?
両親が音楽好きだったんですよ。
父は、クラシック、特にバッハが好きで、小さいころからバッハを聞かされて育ちました。
母は趣味でエレクトーンをやっていて、近くの教室に通っていたんです。
それで、妹もエレクトーンを始めたんですが、それを見て、「俺もやる!」って言ったらしいです(笑)
全く記憶にないんですけど、子供なんで、楽しそうに見えたんでしょうね。
それがキッカケです。
ーー幼少期から音楽がお好きだったんですね。
あんまり覚えてないんですけど、始めたばかりの幼稚園の時から、小学校低学年くらいまでは、すごく楽しかった記憶があります。
理由は単に、人間って初心者から中級者になるまでは、すごく成長を実感できて楽しいじゃないですか。
でも、中級者から上級とか、上級の下から上級の中にいくっていうのは、時間に対する自分の成長率を感じにくくて、辛くなってくる。
なので、小学校5年、6年くらいからは、辛い思い出も結構あるような気はしてます。
小学校のころには、エレクトーンと空手とサッカーの3つをやっていたんです。
ただ、さすがに中学に入ったら、勉強も忙しくなるし、絞ろうと思って、サッカーに専念することにして、エレクトーンを辞めたんです。
それはもしかしたら、エレクトーンが厳しかったから逃げもあったかも知れないけど。
それから、サッカーをやり始めたんですが、途中で転校することになって。
そしたら、転校した学校にサッカー部がなくて、絶望して。
暇になったので、「改めて何をやるかなー?」と思っていたとき、父が持っていたクラシックギターを弾き始めてみたら、「やっぱり楽しいな。音楽好きだな。」と感じたんです。
中学の二年か三年くらいの時に、B'zの松本さんに憧れて、エレキギターを使い始めて、学校の友達を家に呼んでそれを弾いたり、自分で曲を作って遊んだりしてました。
高校に入ったらバンドやりたいなと思ったんですが、進学した高校には軽音楽部がなくて(笑)
でも、自分でメンバーを集めて、文化祭では3年間、毎年演奏したり、ちょろっとライブハウスでもLIVEやったりとかしてましたね。
ITと音楽
△音楽クリエイター MoppySound さん、レコーディングエンジニア 柳俊彰さん
ーーその後は、音楽の道に進まれたんですか?
父がシステムエンジニアだったので、中学、高校のときにお下がりでもらったパソコンで遊んだりしていて、パソコンとかITも好きだったんです。
なので高校生くらいの時に、「自分は音楽家になろう。もし音楽家になれなかったら、プログラマーになろう」と。
今はどちらにもなっていないんですけど(笑)
それで、東京の音楽大学とかにいきたいって話を父とかにしたら、「潰しがきかないだろう。」って大反対されて。
最終的には「一般の大学に行っても、音楽はできるじゃないか」と言われて、「そりゃそうだな」と思ったので、大学時代は岡山大学の工学部の情報工学科に進学をして、ITとかプログラミングとかをやりながら、趣味で音楽をやっていました。
でも、大学に入って、実際に学んでみたら、「俺、プログラマー向いてないな」ということに気づいてしまいまして。
コンピューターも好きだし、ITも好きなんですけど、中の仕組みがどうなっているかにあまり興味をもてなかったんです。
だから僕は、ITで音楽の企画をやるとかにはすごく興味があったけど、作ること自体は誰かにお願いしたいな、みたいな感覚だったんだと思うんですよね。
音楽を発表する場所を作る
△尺八奏者:田辺しおり さん
ーー起業のキッカケは何だったんですか?
大学時代、自作の曲を発表するための音楽サイトを立ち上げたんです。
その片隅に、音楽制作するのにおすすめのソフトや音源についてまとめた記事を掲載していたんですが、自分の曲より、その記事の方が圧倒的にアクセス数が多くて。
自分の曲が聴かれないのは寂しかったんですが、「西尾さんのおかげで自分でも作曲始めました!」といった声をいただくこともあったので、「皆の役に立てるんだ!」と感じて、やりがいが出てきたんです。
だから、「自分の曲はもういいや」と思って、情報サイトをメインにしたものを作りました。
その後、個人でも広告を掲載できることを知って、導入したら、最初は微々たるものですけど、お金が入るようになってきて。
最初は「誰かの役に立てればいいな」とか、「音楽を作る人を増やせれば」っていう気持ちで始めたけど、いざお金が入るとなると、それはそれでやりがいがあるじゃないですか。
そうなってきて、より頑張り始めた。
それがビジネスになっていったときの走りですね。
その後、当時は、YouTubeもニコニコ動画もできたくらいでそんなに盛り上がってなかったし、音楽を発表する場ってそこまでなかったので、音楽を投稿できるプラットフォームを作りたいなと思って、コンテストサイトを立ち上げたんです。
そこは、最初全然お金とかにはなっていなかったんですけど、一回目のコンテストでも数百曲くらい集まったりして、「やっぱ、みんな自分で作った曲を聴いてほしいんだな」と。
お互いに感想を言い合うって結構、楽しいんですよね。
今までは、友達に「聞いてよ!」って言っても、「あぁ、いいんじゃない?」くらい。
だけど、ネットだと、厳しいことをいう人もいますけど、建設的な意見をもらえるし、音楽家同士だと、マニアックなんですけど、盛り上がったりするので。
それで、ちょっとコミュニティができつつあって、面白くなってきたし、これをこのままもっと大きくしたいな、って思いが強かったので、就職はせずに、大学時代の最後の年に、会社を立ち上げて、一人でやり始めたっていう流れです。
コンテストがキッカケで生まれた「Audiostock」
ーー起業した当初はどんな感じだったんですか?
なかなか大変でしたね。
音楽サイトの方は、広告収入だけだと厳しいところがあって。
なので、当時「クックパッド」さんとかがやっていたレシピのコンテストに、スポンサーがたくさんついているのを見て、「これだったらお金になるな」と思って、それの音楽版みたいなのをやろうとしたんですけど、全然うまくいきませんでしたね。
まあ、今思うと当たり前なんですけど、「この調味料作ったので、全国の主婦の皆さんレシピ考えてください!」っていうコンテストは誰にとっても、僕らにとっても需要があるじゃないですか。
でも、「このテーマで音楽を作ってください!」っていうコンテストは、需要がある企業って滅茶苦茶少なくて、収益化には結構厳しかったんです。
それで「今後どうしようか?」って考えていたんですけど、コンテストを1回やると、多い時で1000曲とか集まるんですね。
1000曲の内、大体10曲くらいが選ばれる。
でも、残りの990曲がダメだったかというと、そうではなくて。
たまたまクライアントの好みだったりとか、方向性とか、いろんな条件に合致しなかっただけでいい曲はたくさんあるんです。
「他のクライアントであれば気に入ってくれる人がいるんじゃないか。」
「この曲たちを売れないかな?」
そう思い始めたのがキッカケでした。
集めた曲をカタログ形式でWEBに掲載して、気に入った方が1曲いくらで買える、みたいな仕組みを作りたいな、と思い、2013年に「Audiostock」をスタートしました。
ーーここから「Audiostock」が始まったんですね!
運営を始めて、大変だったことはありましたか?
コンテンツを、いかに増やすか、ということですね。
オープンした当初は1万曲もなかったんです。
1万ってなんか多い気がしますけど、ジャンルで絞ったら、ニッチなジャンルだと、10曲くらいしかない。
お客さんが来てくれても、「えっ、このジャンルだとこれだけしかないんだ。」ってなると、やっぱり弱くて。
「いいのがなかったから、他で探そう。」となってしまう。
初期のころは、コンテンツが不足しているが故に、結構離脱率とかが高くて、なかなか、うまくいかなかったですね。
なので、当時はコミケとかM3とかの、音楽系のイベントに行って、チラシ配ったりとかしてました(笑)
他にも、メールで呼びかけたりとか。
いかに曲を集めていくか、っていうのをすごいしてましたね。
好きなことだから続けられる
△箏奏者:岡戸朋子 さん
ーー今後、オーディオストックとしても、西尾さん個人としても目指す、未来の展望を教えてください。
より音楽家の方に収益を得ていただけるようにしていきたいですね。
「Audiostock」の音楽は、今は動画やCMへの提供が多いんですが、それだけではなくて、「Apple Music」とか「Spotify」にも配信していったり、配信先を増やして、収益の幅を広げたいです。
あと、「Audiostock」をよりプロフェッショナルが集まるプラットフォームにしていきたいです。
有名な作曲家とか、アーティストとか、声優さんとか、タレントさんとかが参加するようになると、やっぱり見る人が増えますよね。
そうなった方が、音楽家にとっても収益が増える可能性を広げられるので、みんなにとってハッピー。
その意味でも、もっとすごく強いコンテンツを集められるようなプラットフォームにしていきたいな、っていうのが今後の展望としてありますね。
たまにセミナーとか講演をさせていただくんですけど、「苦しい時になぜ諦めずにやれたんですか?」って質問をされたんです。
「何でやれてるんだろう?」って色々考えたんですが、きつくて諦めても、どうせ音楽好きだし、ITも好きだから結局また同じようなことをやるんですよ。
「だったら今踏ん張った方がいいんじゃない?」みたいな。
だから、きついときは何回かありましたけど、やめようと思ったことは一度もなくて。
ただ儲けるだけなら、もっと儲かりそうな業種とか、サービスをやってたと思うんですけど、好きなことだったら苦しくてもやれるじゃないですか。
なので、今後も好きなことをやっていきたいし、社員も楽しく人生を生きてほしい。
音楽家が楽しくできるようなところを追求していく、
結局、自分のライフワークなので、それを突き詰めていく。
音楽家を応援したいし、音楽業界を盛り上げられるプラットフォームが僕らの手で作り出せたら、すごくやりがいがあるし、楽しいし、人の役にも立てるので、突き詰めてもっと大きくしていきたいな、と思ってますね。
チャンスを求める人たちを応援したい
△株式会社オーディオストック メンバー集合写真
ーー最後に、これから音楽の道に進んでいきたいと思っている人たちに向けて、メッセージをお願いします。
今ちょうど、音楽業界も色々変わってきていて、皆さん、何をやっていいか迷っていると思うんですよね。
でも、逆に言うとチャンスはすごくたくさんあるので、そういうチャンスを求める人たちを僕たちも応援していきたいし、一緒に音楽業界を盛り上げていきたいです。
「Audiostock」は、やってみて合う、合わないは正直あります。
なので、全員が全員「Audiostock」をやるべきということは、流石におこがましくて言えないんですけど、「Audiostock」でお役に立てるケースもたくさんあると思いますし、ぜひ使ってほしいですね。
取材を終えて
インタビュー中、質問に真摯に向き合い答えてくださった西尾さん。
「好きなことを仕事にする」
それは、挑戦する前に諦められることも多い思いですが、
「好きなことだからこそ、続けられる。」
と断言する姿にとても勇気づけられました。
「音楽を仕事にしたい」そうお考えの方は、「Audiostock」で一歩を踏み出してみるのはいかがでしょうか?