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気象予報士試験を受けた話
どうもこんにちは。今回は人生で一番勉強した時期の話を書いてみたいと思います。「気象予報士」という資格の試験を受けた話、悪戦苦闘・七転八倒の様子です。
【受けた人、受けた経緯】
受験しましたのは私、昭和生まれで文系卒の凡庸な会社員。学生時代に苦手だった科目は数学、物理は赤点。
2020年に入った途端、謎の疫病が流行って在宅勤務が始まりまして。1年ぐらい経てば正常な世界線に戻るという楽観的な観測もありましたが、実際は2021年になっても絶賛疫病フェス状態で「これ、在宅勤務まだまだ続くんじゃね…?」と。
既に某スマホゲームを開始して時間つぶしの手段を得ていましたが、どうせなら資格の勉強とかしてみるか…みたいな。
ミッキーマウスの追っかけをしていた時に、日々の天候(特に風の強さ)を尋常でないほど気にして天気予報をガン見していた私は宇宙とかもちょっと興味があり(分かるとは言ってない。星キレイだなー、のレベル)最も興味のある資格が「気象予報士」でした。
実は学生時代に一度興味を持ちまして…書店でテキストを手にしたことがあったのです。開いた瞬間に思いました。
「見てはならぬモノを見てしまった」
なんか変な式だか記号だか、とにかく見ると蕁麻疹出るような呪いの術式が書いてあって秒で冊子を閉じて撤退。
ですが…まぁ暇なので。多少の知識が付くだけでも面白いし…どんなものか本の一冊でも買ってみることにしよう、と思ったのでした。
【文系卒の中年が勉強するという現実】
今から勉強してみようかな、とお考えの方。
30代ならやってみる価値ありです。理系卒なら言うことなし。
文系の40代以上…多分 まあまあ 苦労します(笑)
就職や転職に役立つ資格ではないし(そもそも需要がないという噂ですし、どうせ雇うなら若くて理系卒が有利なはず)取ったからと言って特にメリットはない(天気はそう簡単に予測できないんだなー、ということが分かる)のでホントに趣味で、好きでやる感じじゃないと厳しいような気がします。主に精神的な面で。
まず記憶力の低下。それなりに暗記分野もあるのですが、覚えるのにめっちゃ時間かかる割に忘れるのは驚くほど早い、少なくとも私はそうでした。
更に、若かりし頃から徹底的に理系を避けてきたツケが酷い。
理系の人に言わせると気象予報士に出てくるのは「物理」ではなく「数学」でもない、それ以下の「さんすう」だそうで…。
しかし文系にとっては立派な物理であり数学だと思いました。指数の計算方法とか三角関数なんて覚えてないし、熱力学とか習った覚えすらないのですが…。
特に私の場合は計算以前に「単位面積」とか「単位体積」という言葉がもう分からない状態でして…。
法学部だった人は法律の文章に目が慣れているので法律方面の資格に有利、みたいなのと同じで「問題文をすんなり読めるかどうか」がマイナスからのスタートになりました。
問題の答えが分からないのではなく、問題文が何言っているのか分からないのです。そもそも問題文長過ぎ、前提条件読むだけで疲れちゃう。PだのVだのTだのアルファベットに置き換えすぎ。ワシらの専攻はA4用紙の一番上に問題文が「正義とは何か」みたいな一行だけだったんじゃ…(なお回答は用紙の裏面まで使っても良い)
また、試験は電卓持ち込み不可というのも地味に効きます。筆算…筆算て…30年ぶりくらいではないのか…。。。Excel様に全ての計算を任せていて電卓すら上手に使えないというのに…。。。
私は独学でしたが、苦にならない人はスクールに通うのも良いと思います。今はオンラインも結構あるみたいだし。分からないことがある時に「これってこういうことで良いんですか?」って聞ける相手がいるのはすごく助かると思います。
【参考書・問題集】
これも記念だと思って(?)使用した書籍など全部挙げさせて頂きます。
まず、諸々の基礎。
指数とか三角関数とか、そういう諸々の基礎的な話は家庭教師のトライさんがYouTubeで公開している教材(?)が非常に分かりやすかったです。
そんな難しいところまでは必要なくて(というか難しいことはもう理解できないので諦める)指数の基礎的な計算と三角関数の基礎。弧度法は諦めました、なくても行ける(多分)
学科(マークシート)方面は以下の通り。
一般気象学(小倉義光著 東京大学出版会)
バイブルと言われる一冊。しかし「ザ・理系」
試験に受かった人(その人も文系らしい)が「とても分かりやすくて面白い」と評しておられましたが、そう思える人は試験に合格できます。私はロクに読んでないし、未だに何が書いてあるのかサッパリ分かりません…。
ただ、(学科一般の)試験にこの本の文章がそっくりそのまま出てくる事が割とあるっぽいので余裕がある人は是非に。
イラスト図解 よくわかる気象学(中島俊夫著 ナツメ社)
イラスト図解 よくわかる気象学 専門知識編(中島俊夫著 ナツメ社)
問題文の意味が分からず途方に暮れた人はコチラから。
ただ、ここに書いてあることを学んでも試験はほぼ通らないと思います。このシリーズは過去問を見て「え…これフランス語で書いてあるんじゃないよね?」っていうくらい本当に何を言っているか分からない人が問題文を解読するために必要な辞書。
ゆるいイラストも今となっては心の友的な存在です。
らくらく突破 気象予報士かんたん合格テキスト 学科一般知識編
(気象予報士試験 受験支援会 著 技術評論社)
らくらく突破 気象予報士かんたん合格テキスト 学科専門知識編
(気象予報士試験 受験支援会 著 技術評論社)
問題文がある程度読めるようになったらコチラ。
色々詳しく書いてあるし、過去問ベースで例題を載せてくれているので使いやすいです。解説も丁寧。しかしやはり「例題」として載せているので割と分かりやすい(テーマに沿った)問題が主流。
あと決して「らくらく」突破はできない(主観)
気象予報士試験 精選問題集 2023年版(成山堂)
学科も実技も入っているてんこ盛りの問題集。問題の密度としてはこれが一番。ただし私が使用したのは学科の部分のみでした。
何が辛いって…おっそろしく字が小さい。
老眼始まっている中年は何も見えない(笑)
そして解説の難易度が高め。理系の「分かっている人」向けかなと思いました。
過去問
最終的にこれです。これしかない。
過去問と回答が公開されていますが、解説はない(多分)ので解説して下さっているサイト様が頼り。
学科に関しては主にこちらのサイトの解説に頼っていました。
めざてんサイト
https://kishoyohoshi.com/
微妙な語呂合わせもあるけど(笑)微妙すぎて逆に覚えちゃう不思議現象もあり。
そして実技(筆記)方面
イラスト図解 よくわかる気象学 実技編(中島俊夫著 ナツメ社)
まずはゆるく柔らかい素材から入りたい、そんな流れでやはりこちらから。
解説がホント初心者向きで非常に優しく(気持ち的な部分で)過去問とその解説も柔らか~~~く書いて下さっているので入門編として。
過去問部分が別冊子として外せるようになっていたり、解答用紙がきちんと付いているのも有り難いです。
精選問題集にもこの配慮があれば…。
らくらく突破 気象予報士かんたん合格テキスト 実技編
(気象予報士試験 受験支援会 著 技術評論社)
入門できたら実践。正直、この本は本当に役に立ちました。過去問とは違う例題(テーマに沿ったオリジナル問題)ですが、「こう聞かれたらこう答えないとダメ」「この語句を入れねば得点にはならん」みたいなシビアなところを教えてくれます。(当然解答用紙も用意されています。)
過去問と回答例だけを見てると「あー、私もこういうことを言いたくはあったんだよなー」なんて思って「2点くらい貰えるんじゃね?」なんて甘い考えがよぎりますが、この問題集によって「この記載がなければ0点」みたいな現実を把握できます(笑)
ただ、出版された時期が割と昔なので直近の試験ではちょっと空気が変わっている部分もあるような。しかしながら基本をバシッと入れて貰うには非常に有効だと思いました。
気象予報士試験 精選問題集 2023年版(成山堂)
ホント申し訳ないのですが、実技の部分は使いませんでした。
学科のところで記載した通り字が小さいのと解説が難解で私の脳みそでは理解できず…。
更に解答用紙がないのです…。。。気象業務支援センターのサイトからDLしろと言いたいのかもしれませんが、それにしては(公開されている過去5年よりも)古い過去問がわりと採用されていて…。。。
この試験は図に描き込む問題もあるので、解答用紙がないとちょっと面倒くさいんですよね…。
過去問
最後にたどり着くのはコチラ。上述した問題集の過去問、例題と併せて過去問も6~7年分×6~7回以上はやりました、それなりにしんどかった…。
模範解答だけ見てもサッパリ分からないので解説して下さるサイト様だけが頼り。
そんな私の神様がコチラ。
気象予報士 瀬戸信行の「てるてる風雲録」
https://ameblo.jp/teru-fu/
解説分かりやすい、そして口調が優しい(笑)
調べてみると解説サイト様は割とあるのですが、「この程度は分からないと受けても無駄」くらいのコメントが意外と多いんですよね。賢い人から見るとどんくさく見えるのかもしれませんが…分からない人に分かるように説明できるのが真の賢者。
と、いうわけで優しい口調で「考えてみましょう」って言ってくれる人は神。神様。あなたがいなければ200%受からなかった。お供え物をしたいくらいの大感謝です。
【試験の様子】
なんだか…どこかのサイトに「お天気キャスターを目指す若い女子が多い」とか書いてませんでした…?以前はそうだったのかもしれませんが…。
少なくとも今は8~9割男性です。男性でした。
年齢層も結構高め。40代とか50代の人がメインっぽく見えて、明らかに私より年上に見える人も結構いました。なので休憩時間には男子トイレが鬼混雑。
マークシートが免除されて午後から試験の場合、1時間前?くらいにならないと会場に入れないケースもありました。
資格試験ですから淡々と過ごす感じで。
大学の教室が会場になっていること多いですが、大学の机なので…超小さいっていうか狭くて(特に実技の)資料は広げられません。
資料ちぎる派、ちぎらない派、色々あると思いますが私はちぎる派でダブルクリップで留めておく(ページの順序は変えない)派でした。
私個人の試験で言うと、1回目は緊張で吐きそうになりながらも出題ミスがあったりしてマークシートをギリギリ突破。
2回目は実技のみですが勉強が足らず、問題の最後まで辿り着けないまま惨敗。
3回目も実技のみでどうにか最後まで辿り着いて、何だか分からないけど運良く合格できました。
正直なところ3回目も落ちると思っていたので結果が届くまで学科の勉強をし直していたのですが、実技死ぬほどやった後だと学科が少し楽に感じました(計算問題を除く)4択っていいな、みたいな(笑)
実技はトレーシングペーパーのありがたみが分かってきて、トラフ解析とか前線解析がエエ感じに出来るようになるとちょっと楽しいです。いやもうやらんけど。受かったらもう二度と見ないけど(気が向いたらチラッと見るかもしれない。笑)
【七転八倒の日々を経て】
何が嬉しいって、もう勉強しなくて良いってことですよ…。
全部忘れた、もう全部を忘れました。うずど…渦度って何?
自分が感じた良い点、学んだことを書いておきます。
(悪い点はめちゃくちゃ苦しんだことです…)
・空を見ることが多くなった。天気とか知らんけど。
・テレビで石原良純さんが天気の話を振られて「知らねーよ!」って言う意味が分かった。知らねーよ!!!(笑)
・初歩の初歩だけど、天気図の見方がちょっとだけ分かって、ごく簡単なトラフが追えるようになって、うっすら前線が見えてきた。閉塞点まで当てられるとドヤ顔がすごい。
・結構年を取ったけど、割と頑張った自分。えらい。
・気象庁が「ヤバい」って言い出したら「ヤバいのか…」って思うようになった。精鋭部隊がスパコン使って「ヤバい」って言ってるんだよ、もう外には出ない。
・そうは言っても「ヤバい」場所や時間には専門家的に若干の誤差、一般人にとっては割と大きいズレ、があるようだ。予想が外れても「ヤバい事にならなくて良かった」と思うようにしたい。
そんな感じで、今後は心置きなく自分の趣味を満喫したいと思います。
お付き合い頂きありがとうございました。