北へ...... 8
シャワーの音が部屋に響く。
滴る水が外部の音をかき消す。
悩みふける頭の中のモヤのような湯気をぼんやり見つめていた。
「わからねぇ」
誰もいない。誰にも聞こえない。だからこそ口走った本当の気持ち。
呆れるほど単純だけど、呆れるほど複雑だった。
ただただ楽観的にこなしていたからこそ、楽観的になれなくなった瞬間。
これから先を見つけられなくなった。
疲労だろう。この考え方。
仮にも逃走中だ。ストレスも疲労も溜まる。
それが今、爆発しただけだ。
「寝たらマシになるか」
口先だけの答えを口走り、俺は湯船に使った。
モヤモヤと浮かぶ悩みを汗に流しながら、少し長めにお風呂に浸かった。
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