北へ...... 14

「なんか、不気味だよね」
「何がだ?」

優奈は真っ直ぐに指を刺す。
田んぼ道の電線の上、大量のガラスが留まっていた。

「不吉なことがあるんじゃないかなぁ」

と心配する優香に「心配しすぎだろ」と返した。
考えないわけではない。が、不安を持ちすぎるのも良くない。
俺はとにかく単純に考えることにした。

「田んぼを耕した後だから、こんだけ沢山いるんだろうよ。別に、襲ってくるわけじゃないんだから心配しなくても......」
「いやさぁ、昔の話なんだけどね」

優奈は何かを思い出した様に話し始めた。

「昔バーベキューしてて、焼きそばを作ろうとしてたんだけどさ。何を考えたか、ガラスが焼きそばの麺を一袋掻っ攫ったんだよね。みんな唖然としてたなぁって......」

優奈の顔から、先ほどまでの強張った顔はなく。程よくほぐれた良い顔になった気がした。

「あいつら、食べ物ならなんでもいいのかねぇ」
「まぁ、食えればいいんだろうな。あいつら」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?