北へ...... 10
身体がぎこちなく固まる。
双方、別の向きに眠る。むしろ、コレが限界だ。
バクバクと跳ねる心臓。顔を見たらやばい。身体が触れてもやばい。てか、いい匂いするのがやばい。
どうしてこうなった?どうしてこうなった!!
確かにイエスとは言った。言ったが!!だが、この状況はなんだ?
いや、悪くはないのだが、心臓に悪い。
普通ならご褒美だ!!なんて言えるが、生憎今は状況では何も嬉しくないワケで。
「ねぇ......」
「はい!?」
唐突に聞こえた声。
変な声が出た。
「......何もしないの?」
優奈の言葉は、いつもと変わらない挑発的な言葉だった。
だが、声はいつもより頼りない声だった。
「なんもするわけないだろ!!当たり前だ!!」
「ふーん。こんな場所じゃ、全く説得力無いけどね」
「うるせぇ!!さっさと寝るぞ!!全く」
誤魔化すだけで精一杯。いや、誤魔化せてるか分からないが。
だが、これしか言えなかった。
言わなかった。
手を出さないのは、好きじゃ無いからだ。
そう言い聞かせるように目を閉じた。
「意気地なし」
そう聞こえた気がした。
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