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〜生きた証もなく消えゆく命〜畜産動物の『淘汰』を無くすには

採卵鶏のオスヒヨコは生まれたその日に殺処分される
日本国内だけで年間推計1億羽以上/農水省調べ
しかし、採卵鶏オスヒヨコ以外の畜産動物について
農水省は出荷までに死亡した頭羽数を把握していない


現在の日本において
ヴィーガン(動物搾取しない生き方)を
皆が皆、選択することは現実的ではない
私もヴィーガンを意識しつつも成りきれずにいる1人だ
けれど肉食を肯定する人でも
『淘汰』という命の処理の仕方について
肯定的に見る人が果たしてどのくらい存在するだろうか知らないだけで、そのような現実を知れば
肉食に否定的になったり
少なくとも『淘汰』をやめるべきだと思う人が
大半ではないだろうか

畜産業において薄利多売を目的に
多産型の品種に改変し
過剰繁殖させては大量に成育不良を生み出し
殺処分されていく『淘汰』の数は
出荷され屠畜される頭羽数の
何倍にも及ぶと言われている

なぜ淘汰が行われるかと言えば
例外はあるにしても
消費者の需要や市場価格に合わせて
経営上そうせざるを得ない畜産農家も
少なからず存在する筈だ
それは小規模農家であればあるほど
そうならざるを得ない現状があると思う
そして淘汰された分については
申請すれば国から補償金が下りる
なので農水省が把握していないというのは
半分は嘘になる

ヴィーガンという生き方を選択している人々の間では
畜産業そのものを根絶すべきものと見做されているが
せめて淘汰を禁止したり制限したりするには
制限しても畜産農家の生活が保障されなければ
その実現は難しいだろう

打開策のひとつとして
山梨県をモデルとする
※畜産AW認証制度の取り組みを
全国に普及させる試みがある 
※AWは、アニマルウェルフェア(動物福祉)の略称

たとえ食用にされるとしても
生きている間の尊厳
死に至る瞬間までの尊厳が守られるよう
1頭1羽を天塩にかけて、福祉を充実させ
結果的に畜産動物の付加価値が高まることによって
価格も保証されブランド化されていく
それが畜産AW認証制度の
目指す成果のひとつになる

畜産AW向上の為には
先ずは農家さんを守らなければ
動物たち1頭1羽の福祉を充実させる事など
現実として、あり得ない
善いか悪いかではなく、現実の問題だ

そして命を大切にしていれば
必然的に肉食が減り、ヴィーガンになる人口も
自ずと増えるに違いない

農水省では
乳用牛、肉用牛、食用豚、採卵鶏、ブロイラーの
飼養頭羽数(ブロイラーは出荷羽数)を公表しているが
出荷されるまでに死亡した頭羽数については
いずれの畜種でも把握していない
農水省に問い合わせたところ
5年前に申請された淘汰数の集計に
未だ着手していないと言う始末だ
これでは殺処分(淘汰)の実態など掴める筈がない
『命』に対して杜撰な管理と言われても仕方あるまい
農水省は、飼養頭羽数だけでなく
出生数、死亡数と死因の報告を義務づける必要がある

世の中から肉食が無くならない限り
屠殺は無くならないが
過剰繁殖を制限すれば
無駄に殺される『淘汰』は確実に減らせる筈だ
淘汰を減らす為の
畜産AW認証制度の普及が急務だと思う

2023.05.13.

⬇️山梨県アニマルウェルフェア認証制度
https://www.pref.yamanashi.jp/chikusan/yamanashiaw.html

農林水産省からの返信(2022年11月6日)