【007シリーズ】ウォッカ・マティーニ、ステアではなく感想で。【映画感想】
〈はじめに〉
⚠️この記事は作品のネタバレを含みます!
この記事は007シリーズのお気に入り作品3選を中心に、歴代ボンドの印象や感想を述べています。あくまで個人の感想になります。
あらすじと画像はFilmarksに記載されているものを参考にしていて、文末に投稿主のアカウントURLが添付されています。お手隙の際にそちらも覗いてみてください。
一昨年あたりにアマゾンプライムビデオで配信されてから少しずつ観進めていた大作シリーズが現時点におけるゴールに辿り着いた。途中他シリーズに寄り道した時期もあったが、シリーズ計25作品を完走することができて達成感が大きい。このnoteを書いて達成感を倍増させたい。
時間がかかったが、世に数あるスパイアクション映画の元を辿ればこのシリーズが原点のような気がするので、やっぱり見てよかったと思う。
〈お気に入り作品3選〉
⭐️ゴールドフィンガー(1964)
主演;ショーン・コネリー
○あらすじ
英国の金が裏ルートで大量に流出しているという情報をキャッチ。ボンドはその犯人と目される億万長者のゴールドフィンガーとの対決を命令された。ゴールドフィンガーのやるインチキな賭博を見破ったボンドは彼に接近するが、用心棒に打ちのめされる。
○感想
007における一番好きな作品のシナリオ構成が出来上がった作品。これから先、007シリーズで好きになる作品傾向のストーリーテンプレートを作ってくれた。
Qによるガジェットの説明をうけて、それらを余すことなく使ってくれる。悪役も欲に任せて盲目にはならずかなり頭脳派だったし、ジェームズ・ボンドのことを「ボンドくん」と呼ぶところが挑発的でよかった。悪役(ゴールドフィンガー)の「人間はエベレストに登り、深海を潜り、月にまで行った。だが未だ不十分なところがある、犯罪だ!」ってセリフが印象的で、言い回しがユーモア効いていて大好き。
Qが「たまには無傷で返してほしいものだね」って嫌味があるにも関わらず、案の定それは盛大なフラグであり、車に搭載された武器は全て使い果たして突っ込むし、押すなと言われたボタンは力一杯押すし、GPSは潰されるし、かなり散々な扱いだった。Qのボーナス弾んであげてほしい。
最初の敵と最後の敵が、感電で同じ倒され方をする構成が上手い。
ガジェットお披露目会、爆発アクション、ギャンブル、セクシーシーンと好きなテンプレが仕上がった一作だ。
⭐️ムーンレイカー(1979)
主演;ロジャー・ムーア
○あらすじ
アメリカからイギリスへ空輸中だったスペースシャトル「ムーンレイカー」が何者かにハイジャックされた。事件の捜査を委任されたボンドは、開発者である科学者ドラックスと接触。彼は全人類の抹殺という大きな陰謀を目論んでいた。
○ここ好きポイント
スターウォーズの流行ったスペースブームあたりにあやかって作られたことが一発でわかってしまう。こういう流行りに乗っかっていく大作シリーズは潔くてむしろ好き。
オープニングの入りがコミカルで、しかしアバンから自然な流れで素敵だった。
前作の「私の愛したスパイ」(1977)から敵役のジョーズも続投しているのが、今までのシリーズにない新しい試みで楽しかった。ジョーズのロマンスシーンは、ボンドのロマンスと比べてしまうと霞んでしまうような、とってつけたような設定だったが、終盤はちょっと泣かせにくる。ジャパニーズオタクはおさげ眼鏡っ子に弱いんだ。
悪役の思想が大好きなテーマだったのもいいポイントだ。人類文明の滅亡や、選ばれた遺伝子を乗せたノアの方舟など、個人的に胸躍る単語のオンパレード!やったぜ!
アクションもコミカルなシーンが多くて面白い。何作か連続で水上ボートレースシーンが挿入されているが、評判がいいのかしら。ボートを変形させて水上から陸上へ颯爽と道路を走るボンドカーを見て、周りが二度見したり大惨事になったりするシーンが大好きで強く印象に残っている。二度見するハトで大爆笑していました。
悪役のやることは人類滅亡なのに、アクションシーンがコミカルだからテンションの緩急がついていて楽しい。
世界を救った後、宇宙船の中でボンドガールとイチャイチャしているのを全国ネットで流されて「彼らは何をしている⁉︎」ってコメントに「再突入でしょう」って答えるQのオチが秀逸だった。再突入(意味深)。世界を救ったボンドが陽の目をみる時はタイミング悪くベットシーンで、Mやお偉いさんたちが頭を抱えるコミカルなオチが鉄板になってきた。この締め方、大好き。
⭐️スカイフォール(2012)
主演;ダニエル・クレイグ
○あらすじ
ボンドは各地で潜入捜査をしているNATOの諜報部員の情報が記録されたハードドライブを強奪した敵を追跡し、その組織をあと少しのところまで追い詰める。後から駆けつけたエージェント・イヴと共に敵を追跡するボンドだったが・・・・・・。
○大好きポイント
クレイグボンドのちょうど中間にあたる作品であり、新キャラも世代交代も復活もあり、ターニングポイントになった作品だと思う。今まで誰かしら欠員があったシリーズ常連の役どころがしっかり揃って、新生007の誕生を感じさせてくれる。ガンバレルシークエンスをラストに持ってくるところも格好良かった。
いつもはボンドが敵のアジトに単騎特攻する展開が多かったが、ここにきて敵を迎え撃つタワーディフェンス型のストーリーは新鮮味が感じられた。
話の長い悪役はスキップされがちだから気をつけなさい。しかし、ネズミ蠱毒の話は結構面白かったし好き。
MI6のブラック企業っぷりが露呈する本作では、あまりにも殉職者が多すぎた。審問会さえ容易に潜入されて銃撃戦になるし、組織トップの自宅に部下が無断侵入するし、メカニックは逆ハッキングされるし、特級犯罪者は脱走するし、国家案件にならないほうがおかしい。ブラック企業とかそういうレベルではない。これでいいのか諜報機関。
〈それぞれのジェームズ・ボンド〉
○ショーン・コネリー
ジェームズ・ボンドの基盤を作った。ボンドガールやマネー・ペニーの腰に手をスッと回したり、ユーモアに富んだ言い回しをしたり、ピンチでも軽口を叩きながら切り抜ける。格好いい。常にスーツというわけではなく、ポロシャツなどカジュアルな格好もするのは少し意外だった。彫りの深い目元と、不敵に笑った口元が素敵。あと胸毛がふわふわ。
○ジョージ・レーゼンビー
ボンド役を担ったのは「女王陛下の007」(1969)の一作きりだったが、エンディングの幸福度の高低差で耳がキーンってなる。そんなのってないよ。
コネリーボンドに比べてベットシーンが少なめで硬派で一途なイメージが強い。
○ロジャー・ムーア
一番好き!シリアス路線が好きな人にはやや冗長に感じるところもあるだろうが、映画を娯楽として楽しむのならば、彼の007が一番満足度が高いと思った。
物語の構成のテンプレがあったことも好きなところ。マネー・ペニーやボンドガールを口説き、Qのガジェット説明会に参加して、世界を救って、でもオチはやっぱりMの頭を悩ませる。アクション中に女性とぶつかった時に「おっと失礼」と言って少し見つめ合い、ナチュラルにハートを奪ってからバトルに戻るところとか大好き。あとガンバレルシークエンスにおいて両手撃ちであるところも唯一無二で良い。
誰かに「どのボンドが好き?」と聞かれたら、ロジャー・ムーア!って答えると思う。聞かれたことないけど。
○ティモシー・ダルトン
露出のガードがガチガチに硬い、開けたところで第2ボタンまで。1作目においては水浸しになることさえ少なく本当に脱がない。ベッドシーンも物語の最後にふわっと演出が入るくらい。しかし2作目では、脱ぐわ濡れるわ爆発するわで結構ボロボロ。周りがみんな半袖で出歩いているのに、きっちりシャツとジャケットを着る真面目さが売りのダルトンボンドだと思う。
○ピアース・ブロスナン
グラスを持つ時の手元や、階段の手すりを指先でツツツーってなぞりながら降りてくるところとか、細かいところの所作がスマートだ。しかしアクションシーンになったら、前歯きらりと輝く笑顔のやんちゃボーイになる。カーチェイスをしながら口角があがってニコニコしているのが可愛い。ダルトンボンドの真面目さに慣れた後に、ブロスナンボンドの強引さを見てしまうとギャップにドキドキしてしまう。胸元を掴んで引き寄せたり、後頭部をがっちり抑えて離さなかったり、かなりセクシー。
あとコネリーボンド以来のふさふさの胸毛。ジェームズ・ボンドルックス部門だったら一番好き。そんな部門はない。
○ダニエル・クレイグ
シリーズでいちばんの狂犬っぷりをみせるボンド。いちばん怖い、敵に回したら終わりだ。銃撃戦よりは近接戦闘を得意とする印象が強い。
シリーズのテンプレであるガンバレルシークエンスからアバンタイトル、OP、名乗り、お酒の趣味なんかを新しく練り直してきた。「カジノロワイヤル」(2006)で特に顕著だが、最初の頃はパルクールが苦手っぽくて可愛い。敵がぴょんと飛び越えた壁を走ってぶち破ったりする。やっぱり怖いわ。
〈まとめ〉
自分が生まれる前、もっと言えば親が生まれる前の作品たち、それも25作品もあるシリーズをまとめて見ることができたのはサブスクサービスの恩恵が大きい。ありがとう、アマゾンプライムビデオ。一挙配信のお知らせを見て、さらに作品が一区切りついたタイミング(NTTDの配信に合わせての過去作の配信だった)できっかけをくれたのも大きい。
自分はシリアス路線よりコミカルな作品の方が性に合っていると改めて感じた。しかしボンドには世界規模のクソデカテロリズムを相手にしてもらいたくって。
シリーズものに手を出した者の宿命ではあるが、固定ネームドキャラクターに愛着が湧いてくる。一時期マネー・ペニーがいなかった時、M役が女性になった時、Q役がボンドより若くなった時など、シリーズ通してのキャラクターに変化があった時は寂しさを感じなかったといえば嘘になる。しかし、何作か見るうちにそのキャラクターにも愛着が湧いてきて、M役ジュディー・デンチの引退は喪失を感じざるを得なかった。
自作のボンド役はまだ確定していないが、ボンド役はもちろんのこと、MI6の各キャラクターも配役も楽しみだ。
あなたの好きな007作品や歴代ボンドをコメントで教えてくださいね
【参考サイト】
Filmarks; https://filmarks.com/users/wozwzw