SIDS(乳幼児突然死症候群)から赤ちゃんのいのちを守るための知識
11月になりました。
厚生労働省が「乳幼児突然死症候群(SIDS)」の対策強化月間としています。
悲劇を繰り返さないためにもできることから始めましょう。
まずは正しい知識を身に付けるところから。
■ SIDS(乳幼児突然死症候群)とは?
そもそもの話になりますが、SIDSについてご存じですか?
SIDSは「Sudden Infant Death Syndrome」の略称で、「エス・アイ・ディー・エス」または「シッズ」と呼ばれており、日本語では「乳幼児突然死症候群」といわれています。
まずは、医学的な定義をご紹介します。
ざっくりわかりやすくまとめると、SIDSとはこれまで健康だった1歳未満の赤ちゃんが睡眠中に突然亡くなる病気です。
実際には生後6カ月までの死亡リスクが高いようです。
厚生労働省によると、令和2年には95名の乳幼児がSIDSによって亡くなり、乳児期の死亡原因としては第3位となっています。
みなさんはこの数字をどうとらえますか?
私にとっては1人でも多いと感じています。
■ 原因と予防方法
SIDS(乳幼児突然死症候群)の原因はいまだに分かっていません。
そのため治療方法はなく、完璧な予防方法もありません。
しかし、できることがあります。今日から行動を起こしましょう。
米国小児学会が2022年に発表したガイドラインの抜粋をご紹介します。
このガイドラインはSIDSの予防方法だけではなく、窒息などの事故の予防も含むので、その旨ご承知おきください。
あおむけで寝かせましょう。寝返りと寝返り返りができるまでは、すべての睡眠において背中を下にしましょう。
.母乳で育てましょう。
保育者(ママとパパ)と同じ部屋に寝かせましょう。ベビーベッドを使用し、寝床は別にしましょう。
固めで平らな表面に寝かせましょう。柔らすぎるマットレスや10度以上の傾斜があるものは寝床として適切ではありません。
ベビーベッドの中に枕やぬいぐるみ、毛布などの柔らかいものを置かないでください。サイズの合っていないシーツも窒息の恐れがあります。
就寝中におしゃぶりを与えましょう。ただし、母乳育児の場合はラッチオンが確立するまでおしゃぶりの使用は遅らせましょう。
赤ちゃんをタバコの煙にさらさないようにしましょう。ママや赤ちゃんと生活する人全員が禁煙することを推奨します。
アルコールや違法な薬物の使用はやめましょう。タバコとアルコールの使用により、SIDSのリスクはとても高くなります。
赤ちゃんを温めすぎないようにしましょう。大人よりも一枚薄着にし、帽子をかぶせるのはやめましょう。
妊娠中は定められた時期に妊婦健康診査を受けましょう。
乳幼児健診と予防接種は定められた時期に受けましょう。
退院したらタミータイムをしましょう。タミータイム中は赤ちゃんから目を離さないでください。(参考)タミータイムのやり方
米国小児学会のガイドラインに記載されている予防方法は細かくて大変と思うかもしれません。
しかし、基本は睡眠の土台の安全性と同じ考え方です。
すでに実践されている方は改めてチェックしてみてください。
■ 赤ちゃんの命をまもるために
ママは命がけで出産しています。
命がけは大げさだと思う方もいるかもしれませんが、身を削っているのは本当のことです。
せっかく生れてきた命を守るためにも、やるべきことはすぐにやり、やめるべきことはきっぱりやめましょう。
周りにも伝えてください。正しいねんねの知識は生きるための武器です。
最後に赤ちゃんの睡眠中の安全にかかわる記事をご紹介しておきます。
大切なことなので10月は週1回ペースで投稿してきました。
読んでスキ♡してくれたみなさまありがとうございました!
とっても励みになります。
参考文献
『ママと赤ちゃんのぐっすり本』 愛波 文 著
厚生労働省「乳幼児突然死症候群(SIDS)について」
Rachel Y. Moon, Rebecca F. Carlin, Ivan Hand, THE TASK FORCE ON SUDDEN INFANT DEATH SYNDROME AND THE COMMITTEE ON FETUS AND NEWBORN; Sleep-Related Infant Deaths: Updated 2022 Recommendations for Reducing Infant Deaths in the Sleep Environment. Pediatrics July 2022; 150 (1): e2022057990. 10.1542/peds.2022-057990
赤ちゃん及び保育者(ママ、パパ)に関して不安や心配がある場合は、医師等の専門家に相談しましょう。
本記事の内容については注意を払って記載していますが、アドバイスを実行する際は読者の方の判断で行ってください。