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未だ現役!?80歳を超えても旅に出る超人の話

若いうちに世界を見たい。と留学や海外就職をする人もいれば、いつか子育てや仕事が終わった後にゆっくり旅をしたい。と願う人もいるだろう。

関西のとある町に、60歳になってから本格的に旅行を始め、80歳を超えた現在も、新しい場所や経験を求めて動き続けている女性がいる。旅をする理由、旅先に何を求めているのだろうか。


何者なのか!?80歳でアフリカに行く女性の過去とは


彼女の名前は初枝。1943年生まれ、今年で81歳になる。関西で生まれ育ち、19歳で結婚。3人の子どもを育て上げ、6人の孫に恵まれた。現在は長年住む自宅で、穏やかな老後の時間を過ごしている。

と思いきや、好奇心旺盛で知らないことはなんでも知りたい性格のため、習い事をたくさん経験し、80歳を超えても慌ただしい生活を送っているようだ。

幼少期の貴重な親子写真(左)

実はこの女性は筆者の祖母である。80歳で筆者と共に2週間のアフリカ旅行をするほど、アクティブな彼女の思考を垣間見てみよう。

シニア期から旅を始め、訪れた国は15カ国以上。きっかけは一体何だったのか

19歳で結婚して子どもを3人授かりました。若い頃はそれはもう忙しい毎日……。子育てをしながら、喫茶店を開いたり、土地を購入したり、夫の事業を手伝っていました。

20代前半の頃

昔から家族や友人と北海道や九州、海外だと韓国、香港へよく旅行に行っていました。遠方の国内外旅行を本格的に始めたのは、60歳前後だったと思います。子どもたちを育て上げ、すこし落ち着いた50代の時に夫が亡くなったんです。

60代のころ 国内旅行で花見

悲しみに暮れ、寂しい毎日を過ごしていましたが、子どもや孫に支えられてなんとか時間を経て前を向くようになりました。突然夫を亡くしたことで、「人生はいつ終わりが来るかわからない。今までは妻として、母として生きていたけど、これからは自分自身の生活が始まる。元気なうちにいろんな景色が見たい。」と思うようになりました。

この20年で行った国は15カ国はあるかな。アジア、ヨーロッパ、北米、南米、アフリカ、「行きたい」と思ったところは、とにかく行くようにしています。

60代の頃 イタリアのアナカプリ島

ーー直感で生きる彼女は、どうやらこれだと思ったら突き進む性格のようだ。

60代になってからの旅は、一体何をもたらしたのだろうか

60を過ぎてからの旅行は、習い事で出会った友人と団体ツアーで参加することが多かったです。よく友人や、現地の人に「80歳には見えない」と言ってもらえることがあります。

24年4月のアフリカ旅行 南アフリカのケープポイント

楽しみがあると頑張れる性格なので、旅の日程が決まると今まで以上に散歩して、少しでも体を鍛えるようにしています。可能な限り体力をつけて、健康な体で挑めるように。

わたしがこの歳になってもいろいろな国を訪れるのは、旅に出るともっと健康になるからです。日本では考えられない壮大な自然や景色があり、そこでの時間や経験はお金にかえられない価値を生みます。

72歳 極寒のアイスランド

旅に出る前「いったい何があるんだろう」という抑えきれないワクワクは、帰ってからは「こんな景色があった、こんな考えの人がいた、日本とはここが違った」と刺激に変わり、次の旅に向けて元気でいよう。とより健康に気を使うようになります。

ーー年齢なんて関係なくパワフルに動き続ける彼女にとっては、旅そのものがいいスパイスになっているのだろう。

旅をより楽しむための秘訣とは

チリのマチュピチュや、アイスランドにオーロラを見に行った時は団体ツアーだったので、特に大きなトラブルはありませんでした。しかし、フリーで回る時は予想外の出来事もたくさんありました。

留学中の孫に会いにアメリカに行った時は、訪れた場所が数日後事件でニュースになっていたり、ヨーロッパに行った時は、1番楽しみにしていたベルサイユ宮殿はデモで閉鎖中でした。ドイツのマーケットはクリスマスだったので、家族で過ごす文化らしくどこもかしこも休みでした。

74歳 アメリカのジョンエフケネディミュージアム

コロナで数年間は旅に出れず、体力が落ち、習い事がなくなって人との交流も少なくなりました。円安で旅行代金が上がり、財布にも厳しくなっています。

旅先でも、日常生活でも、思うようにいかない事がたくさんありますが、その分特に時間が限られる旅では、マイルールで気分転換をしっかりするようにしています。

たとえば、旅先では知らないものを必ず毎食1つは食べる。トラベルノートを作って、泊まったホテルにメッセージやステッカーをもらう。などです。今回のアフリカ旅行では、孫も感化されたのか同じようにトラベルノートを持ち歩いていました(笑)。
(筆者の声:はい、あなたの影響です。)

自作のトラベルノート

トラベルノートとは:旅の予定を書いたり、記念の切符や航空券を貼ったり、忘れたくない思い出を絵や文章で残すノート。100均やトラベラーズノート専門店など幅広い範囲で入手することが出来る。

(具体的な規定はないため、筆者の認識)

頻繁に出歩いていると、お金持ちなんだね。と言われますが、全然そんなことありません。若い頃貯めたお金は、生活費や子どもの教育費でほとんど使い切りました。ちょっといい買い物や旅をする時は、お金を気にせず過ごしたいので、趣味で野菜を作ったり自炊をして、少しずつ確実に貯めるようにしています。

ーー見た目はどこにでもいる、ちょっと元気なお年寄り。その内側には、旅に出たいという強い願いと努力があるのだろう。

アクティブに動き続ける彼女が、現代の若者や同年代の人に対して思うこと

誰もがいつ死ぬかわからない。後悔のない人生を送るためにも、特に若いうちはいろんな経験をしてほしいです。外国に行ったり、自分にとってハードルが高いことにチャレンジをしたり、勉強を頑張ったり、それが何につながるかはわからないけど、必ずいい経験になります。

お金と時間の余裕は歳をとれば生まれるけど、体力や健康は若い頃には敵いません。

もちろん、旅や出かけることに楽しみを感じていない人もいるんでしょう。わたしの周りの同年代の人たちは、資金があっても健康や体力に不安があったり、お金・体力・時間の全てが揃っていても、気持ちがブレーキをかけて外に出ない人がたくさんいます。

アクティブだった友人ともコロナで交流が途絶え、最近の旅行は子や孫と行く事が増えました。次はトルクメニスタンで地獄の門を見に行ったり、親戚が住むベトナムでのんびりしたり、孫(筆者)が住むアメリカでサイドカーに乗って観光したいと思っています。きっとその楽しみが、さらにわたしの寿命を延ばしてくれることでしょう。

まだ見ぬ世界へ向けて今日も元気に生きる

編集後記


今回は旅の大先輩で、1番身近な存在である祖母へインタビューをしました。普段の生活でも、先日フリーツアーでアフリカに行った時も、どうしてこの人はこんなに元気なのか。と疑問に思っていました。面と向かって話を聞くのは恥ずかしい気持ちがありましたが、祖母の思考や発想の源を知る機会になりました。

世の中には歴史上の人物や、何かを成し遂げた人だけではなく、普段スポットライトを浴びないけど、縁の下の力持ちのような存在で社会を支える人たちがいます。当たり前を作るために働くサラリーマンや、誰かのお母さんお父さんがいて、余生を楽しむ年配者にもその価値観が生まれた理由や、覚えきれない選択してきた歴史があることでしょう。

みなさんも家族や親戚、ご近所さんなど、身近な先人に話を聞いてみてはいかがでしょうか。新しい一面を知ることで、その人をより近く感じ、まだ見ぬ価値観に出会えるかもしれません。


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