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【取材記事】大好きな地元を離れて「大人の島留学」へ

離島留学と聞いて、なにか思い浮かぶ景色はありますか?

数年前、はじめてテレビで知ったとき、都会に住む子どもが親元を離れて自然に囲まれて過ごす制度なのかなとイメージしていました。

国土交通省によると離島留学とは、島外の小・中学生、高校生が豊かな自然環境や多くの文化・伝統等が残っている離島で暮らし、勉学等に励む制度です。

楽しそうだな。でももう学生じゃないから無理だな。そう思っていると、大人向けの離島生活を体験している男性と出会いました。

その名はブランチさん。兵庫県で生まれ育ち、気がつけば大学生の間に兵庫県内の41市町全て訪れるほど、地元を愛しているそうです。そんな彼が地元を離れて、離島での生活をするまで何があったのでしょう。

今回は、ブランチさんの人生を紐解いていきましょう。


いつか地元に帰るためにも、まずは島に住んでみることにした。

ーーはじめまして。いまは離島で生活されているんですね。まず簡単に自己紹介をお願いできますか?

はじめまして。兵庫県で生まれ育ち、いまは「大人の島留学生」として島根県の隠岐諸島で生活しています。

大学を卒業してから6年間勤めた会社を退職して、24年4月から島での生活が始まりました。関西を離れるのは初めてですが、1年間の限られたプログラムなので、新天地での生活を味わい尽くしたいと思っています。

ーー20年以上生活した地域を離れての新生活なんですね。島ではどのような暮らしを送られているんですか?

地域おこし協力隊という制度を使っていて、人によって仕事内容は異なるんですが、僕は教育委員会で島の歴史や文化の記録や発信をしています。

6年間会社員をして、会社と家を往復するだけの生活に疲れていたころ、しまコトアカデミーという島根県について学ぶ関係人口の講座に出会い、興味本心で受け始めました。

大学のころから旅が好きで、兵庫県内や関西だけでなく、中国地方や東北地方など新しい景色や知らないものを知るのが楽しみだったんです。旅の計画を立てるのが好きで、知らない景色は地元を見つめ直すきっかけをくれるから。また、大阪で会社員をしていたころから、いつか地元に帰りたいという気持ちがありました。

旅先にて

地元に戻る前に、関西以外のどこかに住んでみたいと思っているときに、しまことアカデミーを通じてこの制度を知り、離島への憧れと、 一度がっつり住んで休みの日に近くを旅する方がコスト的にも体力的にもいいと思いました。

2泊3日のお試し移住があって、実際に島の人と話したり、壁塗り体験をしたり、シェアハウスで現地の生活に近い時間を過ごしました。そこでやっぱりいいな。と思ったので仕事を辞めて島に来ました。

4ヶ月以上経ちましたが、忙しい日々を送りながらも空や海を感じながらゆっくり過ごしたり、自転車で島を旅したり、充実した生活を送っています。

なにが今の彼をつくったのだろうか

ーーアクティブで決めたらやり切る性格なのかなと感じたのですが、幼いころはどんなお子さんだったんですか?

小中学生のころはゲームばかりしていました。あまりやりすぎると親に怒られるんですが、ドラクエやRPGをずーっとして、暇は全てゲームで潰す。長期休みはおじいちゃんの家にいって 1日ゲームっていう子どもでしたね。

中学3年間は剣道部に所属していたのですが、想像より忙しい生活で、自由時間が欲しいなあ。旅がしたいなあ。となんとなく思うようになりました。

初旅は実家から10キロ離れた道の駅に自転車で行ったことです。そこからすっかり魅了されて、長期休みは道の駅でスタンプを集めたり、青春18きっぷで遠くへ行く生活を送っていました。

ーー忙しい日々の反動だったんですね。今まではどんな街を訪れたんですか?

兵庫県内の41市町は気がついたら全て行っていました。大学の頃はサイクリングをしていたので、ふらっと近隣を走ったり、西国三十三所をしたり。それと、子どものころから集めるのが好きなので、旅先で御朱印や鉄道スタンプラリーをコレクションにしています。

西国三十三所とは
人々を救済する求道者として仏教において崇拝されている観音菩薩。 この観音菩薩を祀る、2府5県にまたがる33箇所の寺院を西国三十三所といいます。 穏やかに送る充実した人生とその結果として極楽往生ができると信じられています

公式HPより

僕は旅って行く前も、行った後もワクワクさせてくれるものだと思っているんです。どんなものがあって、どんな景色が見れるのか、限られた時間の中でいかに工夫できるのかを考える楽しさを味わい、帰ってからもコレクションや写真をみるとそこにいた時の感覚や匂いを思い出すことができる貴重な存在です。

大学のサークルを引退してから、クロスバイクで1日60-70キロ走って、制限なく自由に進めるのが楽しくて旅にもっとハマるようになりました。関西や東北、中国地方など、部活で行った町をもう一度訪れたり、行ききれなかったところを回ったりしていました。

仲間との旅の楽しさに出会ったのは会社員6年目だった

ーーずっとひとりで旅されていたんですか?
大学のころはひとり旅が多かったですね。6年勤めた会社の最後の年に、島留学に行く前に仲間が欲しいな。と思いノリと勢いでPOOLO LIFE 6期に入ったんです。

そこからはみんなでの旅の良さも知るようになりました。オンラインでメンバーと話すことで自分を深く知ったり、自分の時間を大切にしながらもリアルイベントは積極的に参加していました。

秩父や静岡を15人以上の大人数で旅行して、ドライブしたり、カレーを食べたり。地元で開催した写真やイラストの展示会に仲間が来てくれて、たわいもない話ができる存在が、大人になってできたっていう経験がすごく大きかったですね。

ーー素敵な8ヶ月間だったんですね。POOLOや、島留学を経験されてみて、これからの未来思い描いている理想はありますか?

やっぱり兵庫に住みたいな。と強く思うようになりました。生まれ育った場所だからというのもあるし、高校野球好きで甲子園球場にすぐ行ける場所だし、旧五国の影響か、地域ごとでの特性を強く感じるんです。

旧五国とは
現在の兵庫県域は、摂津・丹波・但馬・播磨・淡路の5つの旧国を中心に構成されています。神戸市を起点に反時計回りにみていくと、神戸市の主要部分から三田市、阪神間にかけてが摂津国全13郡のうち5郡にあたります。

ひょうご歴史ステーションより

兵庫の歴史や自然をもっと知って、ブログや県外の人に発信して地域に貢献したいなと思っています。関西を離れて、あらためて地元への想いだったり、興味を振り返ることができたので、まずは残り半年の島留学を味わい尽くして、これから兵庫とどう関わって生きていきたいのか、形を作っていきたいと思っています。

ーー編集後記ーー


POOLOの卒業コミュニティ繋がりで出会ったブランチさん。関西人同士、そして旅という共通点は、はじめましてとは思えないほどの親近感を与えてくれました。

やっぱり地元に住みたい。だからその前にほかの世界を見たい。いまの自分になにが必要なのか、言語化して行動していく強さをもつ方でした。もう大人だから。と諦めていることはありませんか?今が一番若い。本当はどうしたいのか、もう一度自分に問いかけてみましょう。


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