マガジンのカバー画像

良質/面白い/ステキと思う記事

81
気が向いたら整理します。
運営しているクリエイター

#法律

他分野からみた法学の強さ:経済学分野

他分野からみた法学の強さ:経済学分野

筆者

日本大学教授〔雑誌掲載時〕 安藤至大(あんどう・むねとも)

 私は労働経済学を専門としている。当初はうまく機能する契約や組織のデザインを研究対象としていたものの、次第に働き方に関する法制度設計に興味を持つようになり、労働法の勉強が避けられなくなった。現行法がわかっていなければ政策についての議論に参加できないからだ。

 そこで政府の会議や研究会等に参加すると同時に労働法の定番教科書を読ん

もっとみる
他分野からみた法学の強さ:司法・犯罪心理学分野――法学専攻の人たちとの関わりから

他分野からみた法学の強さ:司法・犯罪心理学分野――法学専攻の人たちとの関わりから

筆者

大阪大学教授〔雑誌掲載時〕 藤岡淳子(ふじおか・じゅんこ)

 筆者の専門は「司法・犯罪心理学」なので、法学が専門の方々と知り合ったり、一緒に仕事をさせてもらうことが多い。キャリアの前半は、法務省矯正局で、主に心理・教育の職務に携わり、後半は大学で心理学を教える傍ら、性加害・性被害に関わる治療的教育やサポートを行う一般社団法人「もふもふネット」の代表理事として、性犯罪者たちの回復を支援する

もっとみる
登記事務を管掌する国家機関の変遷と登記申請行為の性質論

登記事務を管掌する国家機関の変遷と登記申請行為の性質論

旧登記法は,登記事務を取り扱う国家機関を,「登記所」と呼び,登記事務は治安裁判所が取り扱うものとした。これは,権利義務を強固にするには,法律に明るい裁判官を用いるのを良しとするプロイセン(ドイツ)の制度に範を求めたものとされている。

この点,従来の公証制度が内務省の下,戸長により管掌されていたのと大きく異なる。そのため,元老院の審議でも登記の所轄を内務省とするか司法省とするかで激論が戦わされた経

もっとみる

金製弁護士バッジが作成されるようになった経緯について(powered by 国立国会図書館デジタルコレクション)

 「国立国会図書館デジタルコレクション」がとても楽しいです。

 本稿を読まれるような好事家には説明不要かも知れませんが,これは,国立国会図書館が保有しているデジタル化された昔の資料を利用者登録してログインすれば(一部はそれすら不要で!),全文検索して色々探せるという時間泥棒です。本当にこういう時間泥棒を次から次へと世に出すのを止めて欲しいんですが・・・。

 そんなおもちゃで先日遊んでいたところ

もっとみる
『教育現場と研究者のための著作権ガイド』リンク集

『教育現場と研究者のための著作権ガイド』リンク集

この記事は、上野達弘編『教育現場と研究者のための著作権ガイド』(有斐閣)のウェブサポートとして、巻末資料のリンク集を無料公開するものです。

フリー素材サイト※ライセンス条件については利用規約等を参照

① イラスト
・いらすとや
・イラストレイン
・プリントアウトファクトリー
・イラストAC
・タウンイラスト ※街並みイラスト・建物等
・ダ鳥獣ギ画 ※カラー化した鳥獣戯画
・フラットアイコンデザ

もっとみる
『条文の読み方 第2版』を読んで気になったところを書いてみました(令和6(2024)年10月26日更新)

『条文の読み方 第2版』を読んで気になったところを書いてみました(令和6(2024)年10月26日更新)

 法制執務・法令用語研究会『条文の読み方 第2版』(有斐閣、2021。以下「本書」とします。なお、特に指示のない頁表記は、本書の頁表記です。)について気になるところがありましたので、以下のように書き出してみました。基本的には、本書の性格からしてもう少し説明があったらとか、執筆者の先生方の意図を知りたいとかいうことを書いています。ですので、執筆者の先生方からのご教示があればいいなと思いますし、本書の

もっとみる
知っているとドヤれるかもしれない法令トリビア(2020年版)

知っているとドヤれるかもしれない法令トリビア(2020年版)

このエントリは、菱田昌義先生から(ちょいちょい煽られつつ)バトンを受け継ぎ、「法務系Advent Calender 2020」の19日目の記事として書かせていただきます。表・裏ともに、今年も個性あふれる濃厚なエントリばかりで楽しませていただいています!

 (表)https://adventar.org/calendars/4958
 (裏)https://adventar.org/calenda

もっとみる
法令における「等」の登場回数とそのパターンを検証してみた

法令における「等」の登場回数とそのパターンを検証してみた

11月11日の日経新聞に以下の記事(本件記事)が掲載されました。読めない方のために一言で雑に要約させていただくと、「法令には『等』が多用されており、それがルールを不明確にしている面がある」という内容です。

本件記事に対してはいろいろツッコミたい点はあるのですが、私も含め多くの法律実務家が違和感を覚えるのは、「法令中で『等』が用いられるのは定義語や略称としてのケースが大半で、キャッチオール的な意味

もっとみる
G・ボワソナードと日本の法制度|白取祐司

G・ボワソナードと日本の法制度|白取祐司

 フランス人、ギュスターブ・ボワソナード(Gustave Boissonade)が横浜港に到着したのは、明治6(1873)年11月15日のことだった。マルセイユ港を出たのが9月28日だから、実に90日間の船旅ということになる。余談だが、私はマルセイユに2週間ほど滞在したことがある。昔の佇まいを残した商港で、船旅の起点として当時はかなりの賑わいだったであろう。
 明治政府は、日本の近代化を推し進める

もっとみる