あの子はかわいいを「むしゃむしゃ」食べる

ちゃこさんの『あの子は「かわいい」をむしゃむしゃ食べる ~恋をやめられない私たち~』

やっと買えたよー、やっとやっと読めたよー!!!

素敵な作品を読ませていただいた感謝の気持ちを込めて、【あなたの愛する「かわいい」エッセイコンテスト】への参加を決めました。


noteの企画への参加は初めてです。モブは、企画する方々と参加する方々に憧れながら、ひっそりこっそり、素敵な作品をたくさん読ませていただくくらいがちょうど良いので。

緊張しすぎて、キーをタイプしながら、無意識に息を止めていました。

最後まで読んでいただけたら嬉しいです。

*Special Thanks:わたしが書き終えるまで、家事と育児を全てやってくれた夫

以下、本文です。

日常は「かわいい」に溢れている

わたしの愛する「かわいい」存在。

それは、あまりにも多すぎて、誰のことを書こうか、迷ってしまった。

夫?母?子供たち?

おしゃれなファッションをこっそりと参考にしていた友だちのことにしようかな。

好きすぎて、髪型を真似してしまった、女優・麻生久美子さんのこともいいよね。

だめだ、決められない。

わたしの周りに「かわいい」は溢れすぎている。願わくば、このまま、たくさんの「かわいい」に埋もれて、窒息死したい。

あの子は「かわいい」をむしゃむしゃ食べる

「かわいい」をむしゃむしゃ、か。

むしゃむしゃ。むしゃむしゃむしゃ。

ちょっと、むしゃむしゃした後、マグカップをとって、閃いた。

わたしの思う「かわいいを『むしゃむしゃ』食べる」女の子のことを書こう。


かわいいを「むしゃむしゃ」食べる女の子

ここから遠く離れた異国で生まれ育った彼女は、思ったことを、そのまま口に出す。

正直なだけでなく、言葉のチョイスもたまらなく良い。物事の核心をつく、彼女の言葉は、チクリとしても、グサッとは刺さらない。彼女の鋭さは、凶器の持つそれではなくて、あくまで棘なのだ。

小さいながら、世の中の理をよく理解していて、ひとのこころの動きにも敏感。

好奇心旺盛で、「何かあったら、その時に考えればいいのよ!」で物事を始めてしまう。誰かの秘密を探ることが趣味だけれど、むやみに暴いているわけではない(つもり)。彼女には、じっとしているなんて無理なんだろうな。


そんな彼女は、めちゃくちゃかわいい。

彼女自身も、自分が「かわいい」と自覚している。

どんな言いにくいことも、まっすぐ言う。

どんなひどいイタズラだって、してのける。

彼女のお姉さんは、彼女のやることなすこと全てに、いつも手を焼いている。

わたしが心配してるのは、あの子のために、とんでもない目にあう人たちのほうよ!(『ムーミン谷の夏まつり』より)

それでも、彼女がひとりぼっちになることはない。かわいい彼女を、みんな、許してしまうから。

彼女は、きっと、木苺ジャムをたっぷり塗ったパンケーキと一緒に、かわいいを「むしゃむしゃ」食べている。

むしゃむしゃしながら、時々、歯を見せて、笑っているに違いない。

玉ねぎヘアーと真っ赤なワンピース。

ムーミンシリーズの登場人物「ちびのミイ」が、わたしの思い浮かべた「かわいいを『むしゃむしゃ』食べる」女の子だった。

ムーミンシリーズで、彼女が初めて登場したのは、1950年。彼女のかわいさは、北欧独特の色づかいのように、70年経っても、鮮やかで、色褪せない。


かわいい彼女からもらったもの

わたしは、かわいい彼女の虜だ。

(スナフキンも、かっこよくて、すきだけれど。)

持ち物は「ちびのミイ」だらけ。マグカップも、部屋着のTシャツも、腕時計も。

もちろん、ムーミンの小説は自宅に揃っていて、入院するとき、必ず1冊以上持っていく。

展覧会があれば、誰かに頼んで、都会のほうまで連れて行ってもらう。わたしひとりじゃ行けないからね。


家族は「『ちびのミイ』と幼い頃のわたしは似ている」と言うけれど、ある程度の年齢になってから、わたしと出逢ったひとたちには想像できないかもしれない。

わたしは変わった。病気になっただけではなくて、大人になるにつれて、いろいろなものを取捨選択してきた結果でもあると思う。

「ちびのミイ」は、わたしがどこかに置いてきたものを持っていてくれている。気がする。

わたしが言えない本音も、彼女が堂々と言ってくれる。

わたしには許されない、好奇心ゆえの行動も、彼女なら許してもらえる。

迷うことも、不安になることも、彼女は受け入れて、背中を押してくれる。

自惚れや格好つけを叱ってくれることもある。

わたしが「ちびのミイ」からもらったものを書こうと思ったけれど、たくさんありすぎて、結局は書ききれなかった。

せめて、かわいい彼女への愛だけでも、叫ばせてください。

「かわいいを『むしゃむしゃ』食べる」彼女のことがだいすきだ。


書き終えて、今まで、恥ずかしさやら嫉妬やらその他諸々で、そんなに言葉にできていなかった「かわいい」30年分を、ここで使った気がした。