歯科におけるX線撮影時の被曝防護
表題について全国歯科大学、附属病院を統括するトップに質問した。
Q.
「防護メガネ、もしくは甲状腺カラー(首に巻き付けるタイプの防護具)を貸し出している医療機関をご存じでしょうか。
もし具体的な数値など統計データがあるのであればご教示ください。
患者様(一般の方)の認知度を知るため理解しておきたいのです。
よろしくお願い致します。」
回答はこうだ。
A.
「防護メガネ、甲状腺カラーにつきましては、私が所属している○○大学歯学部附属病院では使用しておりません。他施設でも使っていないところがほとんどかなとは思っているのですが、統計データを見たことがないのでなんともいえません。
患者持ち込み分に関しましては、歯科放射線学会の下記リンク先ガイドラインにも「防護エプロ ンの装着は、患者の被ばく線量を低減するためというより、患者の心理面への 配慮のためと考えた方が適切である」とありますように、患者が納得いく方法で見たいところが見えるように撮影してあげればそれで良いのではと思っております。」
https://jsomfr.sakura.ne.jp/wp-content/uploads/2019/09/apron_guideline.pdf
統計も取られたことはなさそうだ。
大方予想通りの答えが返ってきたのだが、これで今の日本の被曝防護に対するリテラシーが少しはご理解できるかと思う。
患者のために「防護の最適化」が実施されなければならない。
しかし、実施者である診療放射線技師は線量を下げることを考えている場合はあるが、診断に寄与しない体の部位を鉛プロテクターで防護しようとする意識は何故か稀薄なのだ。技師でも甲状腺カラー、防護メガネ、鉛手袋、防護ハットを使用したことがない人もいるだろう。信じられないかもしれないが事実である。