健康被害に至るという科学的根拠はありません?
原発事故の影響を論じるとき、御用学者が最もよく使う姑息な言い回しをご紹介しよう。
ここから引用しよう。
詭弁が満載である。
権威ある放射線医学総合研究所の研究員の発言に異を唱えたくはないのだが、どうしても意見しておかなければならない。この主張を聞いた人はどう思うか?福島原発事故の影響を受けた東北の農作物による体内被曝はごくわずかと断じているのだから食べても問題ないと考える人が出てきても不思議ではない。しかし、それは事実か。
「健康被害に至るという科学的根拠はありません」
ここで逆説的に、健康被害に至らないという確固とした根拠があるのかを問い質したい。放射線は人体のDNAを切断し、細胞の癌化や遺伝的影響をもたらすことはよく知られる。もちろんそれだけでなく、急性症状として白血球の減少、下痢嘔吐を発症する。
レントゲン博士がX線を発見し、初期の頃、放射線の危険性を理解していなかった研究者の末路はどうだったか。米国のラジウムガールズはなぜ裁判を起こすまでして闘ったか。現代の整形外科医の手指はなぜ変色しているか。放射線が安全なんてのは眉唾物であることは理解できるはずだ。
新しい科学技術に遭遇するとき、危険性が含まれるもの、未知のもの、結論が出ていないものには、予防原則が世界共通の認識である。
次、天然放射性核種のカリウム40や炭素14を引っ張り出し、原発事故で放出された人工放射性物質と比べることについて。
自然放射線による被ばくは、我々の生活からすると意識することはない。それはどうやっても避けられないことだからだ。ただ、原発事故は違う。ウラン235、プルトニウム239などの猛毒の人工放射性物質は人体組織に沈着し、体内被曝で最も注意しなければならないα線を放出する。ヨウ素131は天然のヨードと同じく甲状腺に蓄積し、甲状腺がんを引き起こすことは周知の事実である。カリウム40が、炭素14が何か悪さをするというのか?
私は、そもそも実効線量のシーベルト(Sv)で比較していることから理解できない。実効線量は不確かな個人の放射線影響リスクを定量化した概念である。そのリスクの程度は個人差があってしかるべきであり、「ごくわずかである」とか「影響は極めて小さい」などと結論付けることはできないのである。
内部被ばくの評価であれば正しくベクレル(Bq)単位で表示しなければならない。