実効線量に関してICRPの見解

ICRP(国際放射線防護委員会)
マスメディアでも度々報じられているので知らない人はいないだろう。
このICRP、NPO団体でありながら原子力エネルギー利用を推進する各国政府から運営費用を拠出されている。決して中立な機関ではないことに留意すべきである。

前置きはこのくらいにしておこう。
ICRP は、「実効線量は、個々人の線量ではなく、(線量評価モデル等を含めた)Reference Person のものである」ことを明確にした。

実効線量を用いる主な目的は、
・防護計画策定及び最適化のための事前の線量評価
・線量限度、線量拘束値等を満足していることを示すための事後評価 であるとし、疫学調査や個々人のリスク評価に用いるべきではない。

http://anshin-kagaku.news.coocan.jp/hobutsu2007_yoshizawa.pdf

これはとても重要なことだ。

そして、外部被ばく線量測定には実用量を用いることができると勧告している。すなわち、実効線量は1cm線量当量を代用できるということだ。
ガイガーカウンターや個人用ポケット線量計の読み値はそのまま被ばく量として考えて構わない。計器の表示単位もSv(シーベルト)もしくはSv/h(シーベルト毎時)になっていることがほとんどなはずだ。

本題だ。医療用画像診断で使用されるCT、レントゲン、歯科用パノラマ装置、マンモグラフィ、アンギオグラフィなどの被ばく線量がかの有名な放医研の「放射線被ばくの早見図」に記載がある。

これが大罪である。
何故か?

吸収線量と実効線量を同じ軸で描かれているからである。
その定義からして全くの別物であるのに、同じ図式に重ねて描かれているのは全く道理に合わない。
しかも、注意書きがないためか、医療現場では医師や診療放射線技師までもがこの早見図を参考に個人の浴びる被ばく量を患者説明に使用しているのである。

もう一度書く。

「実効線量は、個々人の線量ではなく、(線量評価モデル等を含めた)Reference Personのものである」

頭に入れておいてほしい。これの意味するところは、実際に数学的に標準モデルを基に吸収線量から実効線量を導き出したとしても、それはあくまでも概算値であり個人の被ばく線量として扱えないのである。これを誰も言わない。私以外の誰も言わない。個人の被ばく線量を論じる際の最も根幹部分でありながら黙殺されているのだ。

※Reference Person=標準人


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