おやすみなさいトムさん ミシェル・マゴリアン
世界各地で戦争が今も続いています。その中でいつも犠牲になるのは市井の人々、とりわけ弱い子供たち これから、”疎開と図書館と子ども”をテーマに3冊紹介させてください。1冊目です。
第二次世界大戦中のイギリスの疎開児童をめぐる物語。
戦争が激化してきたロンドンの子どもたちの田舎へ疎開が始まった。
ウイリアムという名の少年は、骨と皮のようにやせ細り、
何に対してもおどおどとしていた。
一方、預かり先のトムは かつて妻子を亡くして以来
人嫌いとなった頑固な老人だった。
国民の義務ならばと預かることになった。
トムはウイリアムの体中にある痣を見つける。それから・・・
人と人が出会う時、どちらか一方が助けるという関係ではなく
相互に影響しあい、良い方向にむかうことがあると
痛感させられる。
ごく当たり前の日常の言葉としぐさが
心を癒してくれる。
子どもの成長には魅力ある大人が必要だと
つくづく思う。又サミーという犬の存在が
ウイリアムとトムさんばかりでなく読者にも
安堵感を与えてくれる。
厚い本であるが、最後まで一気に読ませる。
トムが時折言う「すべてに時あり」と言葉を
ウイリアムもいつしか口癖になっている。
ぜひ読んで欲しい。
1981年ガーディアン賞受賞を作品。