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【日本シリーズ2021】第2戦を終えて思った「1992年の再現じゃね?」【最高のシリーズ】

おいら的に、4回目の入院で迎えた2021年11月は、いよいよ我が腎臓の機能もレッドラインを超え、自力での生体維持が不可となったという主治医の宣告で始まった。
腹膜透析で己の命日を引き延ばすことが決まった月、と言い換えてもいい。

・・・などと深刻ぶって書き始めたが、こうなることは随分昔からわかっていて、覚悟はできていた。透析は、専用の機械を身体につなぐもので、2日に1回病院へ通い、約半日をかけて体内に溜まった老廃物を体外へ濾し出す延命法だ。
だが、これがルーティンになると社会生活が大きく制限されるので、一定期間を自分の腹膜を使って老廃物の集積をさせ、外に吐き出す方法がとられる。おいらは今月、それを始めることになった、というわけだ。

実は、今年の2月にも入院していて、その時に自分の腹へカテーテルが打ち込まれていた。今回は、いよいよそれで実戦が開始されるにあたり、腹膜透析の運用を訓練する為に設けられた入院だった。だから、膨らんだ自分の腹を見る度に、何となく自分が死ぬシーンをイメージしながら過ごすすることが多くなっていたのだなw

世間は新型コロナで窮屈さが増していて、こんな状況でコロナ感染から命を失うなんてやりきれない、という思いで去年は過ごしていた。それが今年も続いた上に感染したら重篤化しやすい「持病持ち」においらもなって、大げさな話ではなく気分はずっとブルーなままだった。

しかし、そんな中で我がヤクルトが大健闘のシーズンを駆け抜けていた。
2年続けてリーグ最下位だったのに、今季は「負けないチーム」へ変貌して、日々の試合結果で喜ぶ展開が多くなった。なので、つば九郎のブラックな笑い以外にも、ヤクルトナインには大いに励まされてもいたのだ。腎臓やら何やらの不安を一瞬でも忘れられたことには何度も感謝をしたものだ。ずっとAクラスで首位をキープしていた阪神にしがみついている姿を見て、そんなに興奮させられたらおいらは死んじまうぞ?とニヤニヤ笑っていたしねw

サイボーグになる為の入院が決まり、いよいよ病室へ入った日の夜に、我がヤクルトはCSファイナルステージで巨人を2勝1分で下し、セ・リーグを制した。そして退院する20日にはオリックスとの日本シリーズが開幕し、今を迎えている。

●2021年日本シリーズは1勝1敗のタイになり、舞台は東京ドームへ●
セ・リーグ優勝が決まった時点で、日本シリーズへ進出できたとしても我がヤクルトが神宮球場で試合ができないことはわかっていた。1978年と同じように、大学野球の神宮大会がスケジューリングされていて、当時は後楽園球場で代替開催されて話題になった。今回はそれが東京ドームになる、ということだった。
ヤクルト自身も優勝して日本シリーズをやることになるなど予想できなかったんだな(だって今まで一度も優勝したことがなかったからw)と笑われたものだが、その後楽園で大杉は「人生で唯一ホームランを打つと決めて」打席に入り、その通りに決勝ホームランを放ち、広岡監督は胴上げされて宙に舞った。

今回はシーズン中に東京五輪休みがあった関係で、オリックス側もシリーズの主催試合全てを大阪ドームで開催できず、6戦目以降はほっともっと神戸を使用することになった。11月末という時期だけでなく、両軍どちらも前年最下位だったチームで日本一を争う、異例尽くしな1週間になっていた。

第1戦はオリックスが「令和の大エース」山本由伸が、ヤクルトは次世代エースの名をほしいままにした奥川の先発で試合が始まり、8回に村上が2ランを放って3-1となって迎えた9回裏に、オリックス打線が守護神マクガフを捕まえて一挙に逆転し、4-3でサヨナラ勝ちをした。地力のある両軍ががっぷり四つに組みあった緊張感の中、最後は土俵際でうっちゃりが飛び出して決着がついた、そんな一戦だった。

第2戦は、オリックスが令和の山本昌だと個人的に見ている宮城とヤクルトは元AKB神7のともちんと新婚生活を送っている高橋という、フレッシュな左腕二人が先発のマウンドに立った。7回まで両投手が無失点で抑え合う、これまた神経が磨り減る投手戦の末にヤクルトが青木のタイムリーで先制、9回にもオスナがタイムリーを放って2ー0とした後、高橋がプロ入り初完投、初完封勝利を飾った。
これで、セ・リーグは2018年から続いていた13連敗を脱出しただけでなく、ようやく令和初白星も飾っている。

●ん?1992年のシリーズと同じ展開になったぞ?●
この「初戦はサヨナラ負け、2戦目は勝利」という流れは、西武とヤクルトが初めて対戦した1992年のシリーズと同じ展開だと気がついた。
あの年もものすごい戦いが展開され、第1戦は9回表に西武が3-3の同点に追いつき延長にもつれ込んだ末、12回裏に杉浦がシリーズ史上初めてとなる「代打サヨナラ満塁ホームラン」で勝った。だが第2戦は西武が2-0で勝利して、ここから歴史に残る激闘が始まることになったのだ。

この時の試合結果は以下のようになった。

第1戦 ヤク7ー3西武(12回サヨナラ)
第2戦 西武2-0ヤク
第3戦 西武6-1ヤク
第4戦 西武1-0ヤク
第5戦 ヤク7-6西武
第6戦 ヤク8-7西武(10回サヨナラ)
第7戦 西武2ー1ヤク

第4戦以降は全て1点差決着で、共に捕手出身の森監督と野村監督が知略を駆使し合うという、手に汗握る瞬間ばかりの心臓に悪いシリーズだったという記憶が強い。
後に、ヤクルトの古田は3勝4敗で敗退が決まった時に「来年もう一度西武とやるんだ」と確信していたというほど、もう一歩で勝てたのに、という悔しさにまみれた7試合になったと振り返っている。自分たちだけでなく、西武も必ずまた勝ちあがってくると疑いなく思えたほどの「拮抗した両軍の強さ」が伝わってくるエピソードだ。

事実、93年もこの組み合わせでの日本シリーズになり、今度はヤクルトが日本一になっている。
92年にセンターフライを落球した飯田が、93年には伝説となる「ベンチの指示を無視した前進守備」で鈴木健が放ったヒットをワンバウンドで捕球後、矢のようなバックホームで西武の得点を阻止する超ファインプレイを見せている。飯田も古田と同じように「シリーズの借りをシリーズで返す」を実現すべく奮闘した一人だったのだ。

●あれ?そういえばこのパターンって?●
シリーズの初戦がサヨナラで決着したケースは、最近で言えば2003年だった。ダイエー対阪神のシリーズは、究極の内弁慶シリーズと言われ、両軍がそれぞれの本拠地で勝った末の4勝3敗でダイエーが日本一になっている。
だが、つまりこの時はダイエーが2連勝して始まっているというわけで、今年とは違う。

調べてみると、1戦目にサヨナラ負け→2戦目勝利は92年の西武も含めて過去に4回あり、驚いたことにこの流れで3戦目に入ったチームは全て日本一になっていたのだ(初戦サヨナラ勝→2戦目も勝利、は2003年以外に1970年の巨人対ロッテ、1962年の東映対阪神がある。こちらは全て連勝したチームが日本一だ)。
残り3つのケースは以下の通りになる。

1981年の巨人対日本ハム
第1戦 日ハ6-5巨人(9回サヨナラ)
第2戦 巨人2-1日ハ
第3戦 日ハ3-2巨人
第4戦 巨人8-2日ハ
第5戦 巨人9-0日ハ
第6戦 巨人6-3日ハ
巨人が4勝2敗で日本一

1974年のロッテ対中日
第1戦 中日5-4ロッ(9回サヨナラ)
第2戦 ロッ8-5中日
第3戦 中日5-4ロッ
第4戦 ロッ6-3中日
第5戦 ロッ2-0中日
第6戦 ロッ3-2中日
ロッテが4勝2敗で日本一

1953年の巨人対南海
第1戦 南海4-3巨人(12回サヨナラ)
第2戦 巨人5-3南海
第3戦 引分2-2
第4戦 巨人3-0南海
第5戦 巨人5-0南海
第6戦 南海2-0巨人
第7戦 巨人4-2南海
巨人が4勝2敗1分で日本一

まぁ、さすがにサンプル数が少なすぎるので、だから何?というだけの話だがw
オカルト的に楽しんでいただけたなら幸いだw

●おまけ:2021年第3戦はどうなる?●
はっきり言えば、ここまで登場した4人の先発投手たちは、全員が最高のパフォーマンスを披露している。今回は予告先発が行われないので、両軍の先発は予想の域にしかないが、オリックスは田島、ヤクルトは小川という声が有力だ。当然、これまでの4人のように試合を支配するような投球を見せる、とは言いにくい。移動日で空気も変わることを思えば、そろそろ自慢の打線が序盤から暴れ出しそうな気配が漂っている。
仮に試合が早々に動いた場合はブルペン勝負になるが、6回からの継投パターンであればヤクルトに分がある印象だ。オリックスがシーズン最終盤までロッテを引き離せなかったのは、やはりブルペンが元メジャーの平野頼りという状況にあった為だとも言え、対戦が少ないとはいえどこまでヤクルト打線を「騙せるか」がポイントになるような気がする。

このシリーズの傾向として、四球が失点につながるケースが挙げられる。いわば「歩かせたら負け」の緊張感が延々続いていくと言ってよく、常に投手陣の精神力が試される展開だとおいらは見ている。
逆に言えば、四球を選べば即チャンスだとも言え、両軍打者はここをポイントとして打席に入ると局面打開の糸口を掴めるような気がする。

それでも、ここ2年に渡ってソフバンが巨人を圧倒してきたシリーズとは、今年のオリックス対ヤクルトは別次元の戦いになっていると断言できる。ファンでなくても野球が改めて好きになるような、新たな発見と驚きに溢れていると言ってしまうのは言い過ぎだろうか?極上の頂上決戦を心行くまで楽しみたいと思う。

最後に。
がんばれ、ヤクルトスワローズ!

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多々野親父
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