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15 バラの散り際
身にまとうのは静寂
白いキャンバスに 物語りが紡がれていく
遠い異国の地から舞い降りた オーロラ姫の物語か
それとも雪と氷に閉ざされた 凍てつく山頂で
誰かを待ちわびる妖精の物語か
冴え冴えとした光を放つ三日月は
人々の願いを切れ切れに
映し出しているのかもしれない
バラはバラであることを知っているのだろう
だから その散り際でさえ
気高く美しくあろうとしている
花びらがひとひら 湖面に触れる
その瞬間
みなもが息を呑み 静寂が時を止める
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