もみの木を持ってきた男
事務所に来た男は、カバンからおもむろに何かを取り出した。
もみの木のサンプルです。初めて見るもみの木これにどれだけの効果があるのか見た目では柾目の奇麗な白い木にしか自分の目には映りませんでした。
フローリング材は表面が凸凹加工【浮造り加工】してありました。そんなフローリングは今まで見たことはありません。浮造りは和室の床の上に使う落とし掛けしか使ったことがありませんでしたし初めて見る加工でした。
栂の木に似ているが第一印象でした。
うんだらすんだらと呪文のようにな説明が続きます。身構える自分には全く呪文が入り込まない様に一層ガードを強めます。
事務所には妻が鎮座していますから勝手に決めるとひどい目に合う事を自分は、よく承知していますので逆鱗に触れないように流すことを試みますがこの男はとにかくしぶとい!!もみの木の効果やすばらしさを語ることが続きます。話が終わりこれで帰るのかと思いきや・・・・
腰を上げるそぶりを全く見せずに次にシラス壁の説明へと進んでいきます。
まだあるの~テンションダダ下がりです。そこまでの熱意は何か何が彼をここまで突き動かすのか??
ガラス越しに車のナンバーを見ると、なんと香川ナンバーわざわざ海を渡って四国から兵庫県に着ていました。
「う~ん おそるべし」富山の薬売りなら子どもの頃家に置いてあった常備薬を補充のため来ていましたが目的もないまま飛び込み営業です。
何か必死さを感じましたが、それが何かは分かりませんでした。
何時間もいた末に、また来るとの事で帰っていきます。
「あんた変なんに入らんときよ」厳しいお言葉ありがとう御座います。
で一回目の訪問が終了します。