【梅園魚品図正】(9) 鯵屬(ひらあぢ)/王餘魚(かれい)
鯵屬 ヒラアヂ
鯵屬 ギチ ヒラアヂ ヱサトリ
此魚、其口 飼を食ふ時 長く出、其唇 長きこと、他魚に無 類、其口 結べば 常の魚の如し。
王餘魚 比目魚
『和名鈔』云 王餘魚
和名 加良衣比 俗云 加礼比
朱厓 云 南海 有 王餘魚
昔 越王 作 鱠
不 盡 餘半 棄 水
因 以 半身 為魚
故 曰 王餘魚 也
※ 「蝋月」は、陰暦十二月の異称。
※ 「鱠」は、料理のなますのことと思われます。膾。
『本草綱目』曰 比目魚 カレイ 鰈
異名 鞋底魚
予曰、此魚皆黒く腹白し。魚の半片の如し。加多和體魚の略語なり。鞋底魚を関東にて平目と云。同 名、而 品別也。又、比多鰈、星鰈、蒸鰈等の種品あり。蒸鰈は 魚の 名 不 有、而 丹波の魚人、鰈を取、塩水に蒸し半熟す。海濱に多く集め、沙土に置て藁席を覆ひ、温湿の気を以て蒸して後、少し干物たるを 蒸鰈也。今は魚の名として通称す。玉餘魚を以てカレイ云。
※ 「沙土」は、砂土。
※ 「藁席」は、筵のこと。
『和泉名所図會』 王餘魚は、鱠残魚なり。
可考。
又、日比目魚、『本草』 掲 無鱗魚 部 非也。是、有鱗魚。
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筆者注 『梅園魚品図正』は、江戸時代後期の博物家、毛利梅園による魚図鑑です。説明文書は漢文体が中心のためパソコンで表示できない漢字が多く、漢文の返り点と送りがあります。読みやすさを考え、パソコンで表示できない漢字は □ とし、名称の場合はできるだけ [■は〇+〇] の形で示すようにしました。
また、漢文の返り点と送りはカタカナと漢数字、振り仮名と送り仮名はひらがなで記載しています。
この作品に引用されている文献については、こちらの note を参照してください。 → 【梅園魚品図正】文献まとめ
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